その他浮気と不倫って何が違うの?知っているようで説明できない2つの違いを紹介
浮気や不倫という言葉をニュースのワイドショーなどでよく耳にする人も多いだろう。しかし、これら2つの言葉の意味の違いについてまで正しく理解できているだろうか。パートナーの浮気を疑っている場合は、まず浮気と不倫の正しい意味を知っておくことが重要だ。そこで、この記事ではこれらの単語の違いと、浮気や不倫に該当する行為について紹介していく。
1.国語辞典上の定義
浮気や不倫という言葉の意味は、国語辞典ではどのように記載されているのだろうか。まずは、デジタル大辞泉に登録されている浮気や不倫について、関連ワードである不貞と共に紹介していくことにする。
1-1.浮気
デジタル大辞泉に記載されている浮気の意味については、最初に「一つのことに集中できず心が変わりやすいこと。また、そのさま。移り気。」と記載されている。この段階では、パートナーが別の人物と恋愛をする行為というよりは、単なる気持ちの移り変わりを意味しているのが特徴だ。しかし、2つ目では、「(性愛の対象として)特定の人に心をひかれやすいこと。また、そのさま。多情。」となっていて、世間一般的に言われる浮気に近い意味となっている。
そして、3つ目では「配偶者・婚約者などがありながら、別の人と情を通じ、関係をもつこと。」という、より具体的な行動をイメージできる説明となっているのだ。浮気には、そのほかにも「心が浮ついて、思慮に欠けること。また、そのさま。」「浮かれて陽気になるさま。また、そうなりやすい気質。」という意味が記載されている。総じて、恋愛や結婚に限定されるわけではなく、気持ちが移り替わったり、浮ついた気持ちになったりすることを意味する言葉だといえるだろう。
1-2.不倫
不倫はデジタル大辞泉では、「道徳にはずれること。特に、配偶者以外と肉体関係をもつこと。また、そのさま。」と記載されている。ここでのポイントは、「婚姻関係のある配偶者以外と肉体関係があるかどうか」だ。浮気は、あくまでも「気持ちの移り変わり」を指す言葉であったのに対して、不倫は「肉体関係を持つ」という具体的な行動にまで言及しているのが特徴だ。このことから、単に恋心を抱いている場合は浮気、肉体関係に発展している場合は不倫という具合に使い分けることができるだろう。
1-3.不貞
デジタル大辞泉に記載されている不貞は、「配偶者や恋人がいながら性的純潔を守らないこと。また、そのさま。」となっている。不倫のように肉体関係という直接的な言葉ではないが、「性的純潔を守らない」という表現が使用されているのが特徴だ。パートナーの浮気を疑っている場合、裁判で慰謝料請求や離婚を認めてもらうためには、不貞行為があったことを示さなければならない。どこまでが「性的純潔」に該当するのかをよく把握して、証拠を集めていくことが重要だといえる。
2.法律上の区分け
浮気や不倫について、法律上の取り扱いはどのようになっているのだろうか。そこで、この段落では、浮気や不倫の法律上の取り扱いについて説明していく。
2-1.浮気という言葉は法律上存在しない
パートナーが配偶者や恋人以外の人物に気持ちが移ってしまった場合、世間一般的には浮気という言葉がよく使われる。しかし、実際には法律上で浮気という言葉は存在しない。なぜなら、浮気という行為は言葉の定義上、あくまでも気持ちの移り変わりでしかないからだ。たとえば、「一緒にご飯を食べに行ったら浮気」と感じる人もいれば、「手をつないだら浮気」だと考える人もいるだろう。人によって感じ方がバラバラなものを法律上で画一的に定義することは難しいのである。
また、浮気は不倫と違って夫婦であるかどうかは定義されていない点も特徴だ。つまり、婚姻関係にあるからこそ義務が課される貞操義務の制限を受けない言葉である。これらの理由から、浮気をして関係が崩れることがあっても法律上で罰せられることはないといえる。
2-2.不倫は民法上の違法行為となる
浮気は法律上で罰せられないが、不倫における不貞行為は民法上で違法行為になることがあるので気を付けなければならない。なぜなら、結婚した相手との間には「お互いに純潔を守る」という貞操義務があるからだ。不倫における不貞行為は、貞操義務を破ったとみなされて離婚の訴えや慰謝料請求を行うことが可能な違法行為に該当する。たとえば、民法第770条には「配偶者に不貞な行為があったときは離婚の訴えを提起することができる」と記載されているのだ。また、民法第710条では「損害賠償の責を負う(慰謝料の請求を受ける)」と記載されている。浮気と不倫の大きな違いは、民法上で罰せられるかどうかだということもできるだろう。
ただし、不倫における不貞行為は犯罪には該当しないので、逮捕されて罰せられることはない。あくまでも離婚や慰謝料の正当事由になるというだけである。
3.浮気と不倫の関係性
浮気と不倫という言葉は、単語の関連性においては似ているようで異なる部分もある。しかし、実際にはやはり関連を持った言葉であるので、その点について説明していく。
3-1.配偶者に対する不貞行為であれば不倫
浮気と不倫の関連性のうち、不倫行為とは「浮気をした男女のいずれか片方が既婚者である場合に該当する」のが特徴だ。デジタル大辞泉でも「配偶者以外と肉体関係をもつこと」と記載されている。つまり、双方が独身である場合には不倫にはならず、浮気に該当するということである。浮気になるということは、法律上の違法行為ともみなされないということだ。しかし、いずれにしても浮気も不倫も倫理的には良くない行為なのは間違いない。そういう意味においては、違いはないといえるだろう。
3-2.浮気行為の中に不倫が含まれるイメージ
浮気と不倫には似ている部分と違う部分がある。それは、浮気という大きいカテゴリの中に、不倫が含まれているイメージであることが原因だ。浮気という行為は「どちらかが既婚者であるか否かに関わらず、パートナー以外の人に気持ちが移ること」を意味している。それに対して、不倫は「どちらかが既婚者であり、パートナー以外の人と肉体関係を持ってしまう」ことである。つまり、不倫も浮気の一種であり、共通する部分はあるといえる。そのため、世間的に混同されて使われることがあるのだ。
4.不倫と判断される行為
不倫は民法上の違法行為とみなされるが、具体的にどのような行為が該当するのだろうか。そこで、不倫となる行為について具体的に紹介していく。
4-1.既婚で配偶者以外と肉体関係を持つ
不倫行為でポイントとなるのは、「既婚の状態で配偶者以外と肉体関係を持つこと」だ。ここで言う既婚者は、自分と相手のどちらでも該当する。つまり、自分が結婚しているか否かに関わらず、夫や妻以外と肉体関係を持つと不倫になるのだ。自分が既婚者である場合はもちろん、相手が独身であろうと既婚者であろうと関係なく不倫に該当する。それに対して、自分が独身である場合には、相手が既婚者であった場合は不倫になるが、相手が独身であった場合は浮気に該当するということだ。
4-2.既婚者同士で肉体関係を持つ
お互いが既婚者であり、配偶者が存在する場合に肉体関係を持ったパターンは、当然のことながら不倫に該当する。いわゆるダブル不倫と呼ばれるパターンであり、自身の家庭が壊れるだけでなく、相手の家庭まで破壊してしまう行為だといえる。慰謝料はお互いの配偶者それぞれが請求する権利を持っているので、各配偶者から自分と不倫相手の両方に慰謝料請求が行われる可能性があることを理解しておかなければならない。
4-3.既婚者と肉体関係を持つ
不倫行為は、あくまでも「既婚の状態で配偶者以外と肉体関係を持つこと」が該当する。既婚状態であるかどうかの判断は、自分だけでなく相手の状態も考慮されるので、自分が独身であっても相手が既婚者で配偶者が存在する場合も肉体関係を持ってしまえば不倫だ。ただし、相手が既婚者であるかどうかは事前に確認していないと分からないこともあるだろう。そのため、相手が既婚者であることを知らずに過失がないと判断された場合は、慰謝料請求の対象にならないこともある。
ただし、明らかに既婚者であることを確認できたにもかかわらず、知らないふりをした場合には本人にも過失があると考えられ、慰謝料請求の対象になるケースもある。当然のことながら、相手が既婚者であることを知った上で浮気を行っているのであれば、慰謝料請求の対象になることは留意しておくべきだろう。
5.不倫のリスク
不倫は違法行為であり、リスクは確実に付きまとうものだ。これから不倫のリスクについて紹介していくので、よく考えてみようではないか。
5-1.離婚されてしまう
不倫にはさまざまなリスクがあるが、一番可能性の高いリスクは離婚されてしまうことだろう。不倫をすると、パートナーに「気持ち悪い」「だらしない」「自分にはもう気持ちがない」と愛想をつかされて、離婚へとつながるケースは多い。不貞行為を行っていた場合は、民法第770条によって不貞行為が離婚原因として認められているので、不倫された側から離婚請求が行われる。客観的な証拠が残っていれば認められる可能性も高く、結果的にそれまでの幸せだった家庭に自分の居場所がなくなってしまうことだろう。また、家族からの愛情を感じることもなくなって、喪失感を抱えて過ごすことになってしまう恐れもある。
5-2.慰謝料請求される
不倫のリスクとしては慰謝料請求されることも挙げられる。不倫をされた側は精神的に苦痛を負ったとして損害賠償請求する権利があり、それを一般的に慰謝料請求と呼ぶ。不倫をした場合の慰謝料請求の相場は100万円~500万円ほどだ。慰謝料の金額は不倫をした状況や相手の収入などを基準に決まるが、一般的には平均すると200万円前後が多くなっている。自身が独身であった場合でも、相手が既婚者であることを知ったうえで不貞行為を行ってしまった場合には、不倫相手と共に慰謝料請求の対象となる可能性がある。一方、自身が既婚者で、不倫相手に対して既婚の事実を知らせずに付き合っていた場合でも、不倫相手側にも慰謝料請求をする権利はあることも知っておくとよいだろう。
5-3.親権をなくす
不倫をすると離婚されてしまうケースが多く、子供のいる家庭の場合は親権をどうするかで裁判を起こすこともあるだろう。しかし、不倫をした側には、違法行為を行った人物という客観的に見て悪いイメージがつきまとうものだ。そのため、たとえ裁判で争ったとしても、不倫をされた側に親権が移る可能性は高いだろう。不倫行為を行っていたが、子どもへの愛情を失っていたわけではないという場合には、非常につらい状態になってしまうはずだ。また、子ども自身も小さいうちは何が起こったかよく分からないかもしれない。しかし、大きくなるにつれ、大人の事情が分かってくるような年代になると、家庭を壊したことを恨まれる可能性もある。
5-4.職を失う危険性
不倫のリスクとしては、職を失う危険性も該当する。不倫は基本的に当事者同士の問題である。一般的には当事者のパートナーも含めて離婚や慰謝料を支払うことで解決を目指すものだ。しかし、相手を懲らしめるために、不倫をされているほうが不倫の事実を勤務先の会社に意図的に知らせるケースも珍しくない。そうなった場合は、社内で肩身の狭い思いをして過ごさなくてはいけないこともよくあるのだ。また、社内規定に抵触していると、最悪の場合では退職を命じられたり、左遷されたりする可能性もある。特に社内不倫であった場合には、職場に与える影響も大きいので処分内容が重くなるケースが多い。
5-5.社会的な信頼を失う
不倫をしてしまうと、社会的な信用まで失ってしまうので気を付けなければならない。会社を解雇されるリスクがあるうえに、不倫の事実が周囲に知られてしまうと、自分の親類や友人・知人などからの信用も同時に失ってしまうことだろう。そうしたうわさが広まるのは早いもので、たとえ地元に帰って一からやり直そうと思っても居場所がなかったり、働こうと思っても解雇理由から不倫があったことを知られたりする。たとえ、会社を解雇されていなくても、社内はもちろん、社外からの信用も失われているだろう。結果的に、満足な成績を残すことはできず、左遷や降格など重要な役職から外される可能性が高くなる。不倫をすることによって、人生計画が大きく狂ってしまうのは大きなリスクだといえるはずだ。
6.浮気と判断される行為
不倫としての証拠がなくても浮気行為になりえるときもある。この段落では、そうした行為について紹介していくことにする。浮気と判断される行為は法律上の罰則は受けないが、友人関係やパートナーとの関係を著しく損なうケースが多いので、十分に注意したほうがよいだろう。
6-1.異性と二人きりで遊びや食事に行く
異性と二人きりで遊びや食事に行くといった行為は浮気行為だと判断されやすいのが現実だ。会社の付き合いや趣味、友人関係など、異性と浮気以外の理由で食事に行く機会がある人もいるだろう。なかには、なんでも話せる異性の親友がいて頻繁に会っているケースもあるかもしれない。付き合いで異性と二人きりで出かけることがどうしても必要な場合は、パートナーに対して事情説明を事前に必ず行うとよい。隠してしまって、あとからその事実が発覚した場合には疑いがさらに強まってしまうことだろう。浮気ではないことを信じてもらえるように、真摯に隠し事はせず、出かける前に伝えることがポイントだ。
6-2.手をつなぐ
手をつなぐという行為は、浮気行為だとより強く断定されやすくなるので注意しなければならない。一般的に異性と特別な関係になっていないのにもかかわらず、手をつなぐことはほとんど考えられないものだ。そのため、街中を異性と手をつないで仲良く歩いている場合は、浮気と断定されても仕方のない行為だといえる。確かに、スキンシップを積極的にとる異性と歩くこともあるかもしれない。しかし、そのようなときは、気軽な気持ちで手をつながないように、少し距離をとって歩くようにしたほうがよいだろう。なお、本人の意思と関係なく手をつなぐ状況になってしまったときは、できるだけ早くパートナーに事情を説明したほうがよい。誰かに見られてパートナーに告げ口される前に、正直に自分の口で報告したほうが信じてもらいやすいからだ。
6-3.定期的に会いに行く
異性と二人きりで出かけることも、頻度が少なければ友人や知人が多い場合にはあるかもしれない。一度や二度くらいであれば異性と食事をしても、浮気を疑われることはあっても断定されることは少ないだろう。しかし、毎月一回など、決まったタイミングで定期的に食事に行っていた場合、お互いに会わないといられない関係だと思われて、浮気だと断定される可能性がある。定期的に会っている場合は、会わないといけない理由があるからだ。そうした理由を、パートナーは知らされないと不安に思ってしまうことだろう。たとえば、ビジネス上でどうしても異性と二人きりで定期的に会わないといけない場合は、その旨をパートナーに事前に説明して了承を得ておくことが望ましいといえる。
6-4.連絡を頻繁にとりあう
特定の異性と連絡を頻繁に取り合っている場合も浮気を断定されることがある。特に、スマートフォンでLineやメール、SNSなどで特定の異性とだけ頻繁に連絡を取り合っている場合は浮気だと疑われてしまう可能性が高い。また、基本的にパートナーは自分を一番大切に扱って欲しいと思っているものだ。パートナーを差し置いて、異性とのやりとりを優先してしまうと、浮気だとは断定されないまでもクロに近いグレーだと判断されるかもしれない。友人としての付き合いやビジネス上のやり取りであるなら仕方がない場合もあるだろう。もしも潔白であるにもかかわらず、疑われた場合は事情を詳しく説明して理解を得る必要がある。
6-5.バイクや自転車の二人乗りをする
パートナー以外の異性と二人きりで出かける時点で浮気を疑われる可能性は高いが、出かける手段がツーリングやドライブというのはさらに疑いを濃厚にする可能性がある。パートナー以外の異性とバイクや自転車で二人乗りをする場合、安全のために体を密着させなくてはいけないだろう。一般的に特別な関係になっていない人同士が体を密着させることには抵抗があるものだ。そうした抵抗がないということは、浮気をしていると判断されても仕方がないといえる。
また、車でドライブに出かける場合は体を密着させることはないだろうが、クローズな空間に長い間二人きりでいることが浮気の疑いを助長させる結果になりやすい。送り迎えのために短時間だけ二人乗りをするといった場合でも、外から見れば恋人同士であるかのように見えてしまうので、注意しなければいけない行動だ。
6-6.パートナー以外を好きになってしまった
浮気行為には二人で出かけるといった物理的な浮気だけでなく、精神的な浮気も含まれる。たとえば、パートナー以外の異性を実際に好きになってしまった場合だ。このケースでは、二人で出かけるといった物理的な浮気をしているわけではないが、パートナー以外の人を好きになっているという点で、精神的な浮気だと判断される。気持ちに折り合いがつかずに、パートナーよりも好きになってしまった異性を選ぶ場合には、浮気行為を行う前に関係の清算をパートナーに提案するべきだろう。パートナーのことを大切に思うなら、相手の気持ちを考えた行動を起こすように心がけるとよい。
6-7.気軽にハグをしてしまう
スキンシップに抵抗がない異性の友人と気軽にハグをしてしまうと、浮気行為だと判断されやすい。スキンシップの基準は人それぞれで、ハードルの低い人のなかには街中であっても気軽にハグをしてくる人もいるのも事実だ。また、ハグ自体は海外では日常のあいさつの一種でもあるので、そうした文化圏で育った人と交流がある場合は、あいさつ代わりにハグをしてくることも考えられるだろう。そうした場合でも、事情をよく分かっていないパートナーは、体が触れ合う行為をしているという時点で浮気だと判断するかもしれない。
ハグという行為にやましい気持ちがないのは当然ではあるが、自分以外の異性のハグに抵抗があるという人もいることを知っておくとよいだろう。パートナーとよく話し合って、どうしても受け入れられないという場合は、ハグではなく握手やタッチをするなど、スキンシップの取り方を工夫してみるとよい。
7.離婚理由にできない不倫
不倫が行われたとしても、必ずしも離婚できるとは限らない。なかには離婚の理由にできないパターンもあるのだ。ここからは、それらのパターンについて紹介していく。
7-1.肉体関係があっても一度だけ
肉体関係があることは不倫行為の重要なポイントだが、一度だけの場合は離婚の理由にならないことがある。お酒で理性を失った場合や魔が差した場合など、一時の気の迷いなどで異性と肉体関係を持った場合は、当然不貞行為とみなされる。しかし、一度だけであった場合には、離婚裁判をする際に離婚理由として認められる可能性は、実際のところ低いのが現実だ。離婚理由として認めてもらうためには、継続的に不貞行為が行われた事実が求められる。ただし、一度の不貞行為でも精神的に著しい損害を受けた場合や、婚姻関係が破綻したと判断できる場合には、婚姻を継続しがたい重大な事由として扱ってもらえるケースもある。
7-2.夫婦関係が破綻している状態で不貞行為が行われた
夫婦関係が破綻している状態で不貞行為が行われた場合も、離婚の理由にできないことがある。不貞行為はあくまでも、夫婦関係が問題なく持続しているときに行われたときに違法行為として認定されるものだ。つまり、不貞行為よりも前から夫婦関係が実質的に破綻していて、長期間にわたって別居しているなどのケースでは離婚理由にはならないのである。この場合は、不貞行為を理由として離婚や慰謝料の請求を行っても、認められない可能性があるので注意しておかなければならない。不貞行為による離婚が認められるためには、不貞行為が原因で婚姻関係が破綻したという事実が必要だ。すでに破綻している場合には、不貞行為があったとしても夫婦仲に与える影響はないとみなされてしまう恐れがある。
8.不倫の証拠になるもの
不倫を証明するためには証拠が大切だ。しかし、すべての情報が不倫行為を立証するための証拠にならないことも理解しておくべきだろう。この段落では、不倫の証拠として扱うことができるものを紹介していく。
8-1.不貞行為を示す連絡内容の履歴
不貞行為を示すために、連絡内容の履歴は重要な証拠になる。たとえば、携帯電話やパソコン上でのメールやチャットアプリの履歴が証拠となるパターンだ。ただし、単に待ち合わせの連絡を記録として取っておいても、証拠としては弱いだろう。なぜなら、ビジネス上の関係や友人として、待ち合わせをしていたという口実で逃げられてしまう恐れがあるからだ。そのため、通常のスケジュールで伝えあうような内容のものは不貞行為の証拠にはならないと考えておくとよい。しかし、「一緒に寝た」「ラブホテルで待ち合わせをする」といった肉体的な接触を示すような履歴が残っていれば、証拠として認められやすいので記録を残しておくとよいだろう。
8-2.肉体関係がわかる写真や映像
不倫の証拠としては、肉体関係を持ったことが分かる写真や映像なども有効だ。たとえば、ラブホテルに出入りしている写真や映像は、不貞行為の証拠としては重要な意味を持つ。ラブホテルの利用を証明できる時点でかなり有効な証拠となるが、さらに決定的なものとしては、ベッドの上で裸で重なり合っている写真や映像だといえる。服を着ていない状態の写真は肉体関係を表す証拠として該当する。実際には第三者がベッドの上で裸で重なり合っている状態の写真を入手することは難しいだろう。しかし、本人のスマホやパソコン内に保存されている場合もあるので、探してみるとよい。
8-3.肉体関係を示すことができる領収書
領収書はその施設の利用やサービスの提供などを受けていたことを示す証拠としての効力がある。それは、不倫を暴くための証拠としても有効だ。たとえば、ラブホテルの領収書のように、不貞行為を行うことを目的として利用したことが明らかな場所の領収書であれば、証拠として十分機能する。食事に行ったときの領収書であっても浮気の判断材料のひとつになることはあるかもしれない。しかし、不倫の大切なポイントである肉体関係を表す証拠としては弱いので、注意が必要だ。
8-4.探偵事務所の調査報告書
浮気の証拠としては、探偵事務所の調査報告書も有効である。浮気や不倫行為は、一般的に本人たちも問題のある行為であることは理解しているものだ。そのため、基本的にバレないように工夫して行っていることが多く、素人が自分の力だけで証拠を集めることは難しいケースが多い。浮気調査を専門にしている探偵事務所に依頼すれば、調査をしていることがバレずに証拠を押さえる可能性が高まるだろう。浮気の調査を自分で行っていると、どうしても感情が抑えきれなくなって暴走してしまうことがある。その結果、不法侵入などの違法行為をしてしまうと、かえって調査をしている側が不利になる可能性があるので、注意しなければならない。専門家であれば冷静に的確な証拠を集めてくれるので、浮気の調査は探偵事務所に依頼することをおすすめする。
9.不倫や浮気を防ぐためには
不倫や浮気は夫婦関係を破綻させる大きな要因となってしまう。そのため、できることであれば不倫や浮気を未然に防止し、パートナーとの関係を良好に保っていきたいものだ。これからは不倫や浮気を防ぐために役立つ情報をいくつか紹介していく。
9-1.パートナーにとって最良の異性であるように努める
不倫や浮気の防止策として、まず挙げられるのは「パートナーにとって最良の異性であるように努めること」だ。最良の異性であるように努めることは、男性側、女性側ともに大切な心掛けだといえるだろう。具体的には、相手の好む服装にしてみたり、相手の好む香水を身に付けたりするなど、常に魅力を感じてもらえるように努力するとよい。長い付き合いになると、絆が強くなる半面、マンネリ化してしまって悪い意味でドキドキ感がなくなってしまうものだ。長い付き合いであることにあぐらをかかずに努力を怠らないようにするとよいだろう。体臭があるにもかかわらず、なんの処理もせずに漂わせたままにしておくようなことは、マナーという観点からもよくない行為だといえる。パートナーであったとしても、最低限のマナーは守るようにしていきたい。
9-2.パートナーを認めてやさしく接することを心掛ける
不倫や浮気を防止するのであれば、パートナーを認めてやさしく接することを心がけるとよいだろう。長い付き合いになると、お互いの遠慮がなくなってしまうこともあり、相手を否定することが多くなるかもしれない。そうした自覚がある場合には、否定するだけでなく、ときには相手の人格を認めたうえでほめてあげるようにするとよい。人格を否定され続けた結果、家庭内に居場所がないと感じてしまうと寂しさを感じて不倫や浮気に走ってしまう人もいる。相手を否定する癖がついていないか、自身の言動を振り返ってみてはいかがだろうか。
9-3.パートナーの趣味へ理解を示す
パートナーの趣味へ理解を示すのも、不倫や浮気を防止するのに効果的である。いくらお互いのことを認めて付き合っているといっても、パートナーの趣味は理解できないこともあるだろう。しかし、趣味は誰にとっても大切であり、ストレス発散をするのに役立つものだ。趣味を認めない態度をしているとパートナーのストレスが発散できず、不満が溜まってしまうかもしれない。家庭内にもかかわらず、ストレスを発散できなくなってしまうと、家庭の外でストレスを発散する方法を探そうとしてしまう人もいる。結果的に不倫や浮気に発展する可能性が高まってしまうのだ。そうした状況にならないように、どのような趣味であっても認めてあげて、楽しめるように暖かく接してあげることが大切だといえる。
9-4.二人の時間を作る
不倫や浮気を防止するためには、二人だけの時間を作ることも有効だ。仕事が忙しくなると、家では休むだけの生活となってしまうこともあるだろう。また、子どもができると、子どもを優先しなくてはいけなくなり、無意識のうちに夫婦二人きりの時間を過ごすことができなくなっていることがよくある。意識的に二人の時間を作ることで、お互いを見つめなおすきっかけにすることができるだろう。幸せを感じるだけでなく、何が不満で何が寂しいのかといった普段話せなかった本音を伝えることもできるはずだ。お互いの理解を深めることで信頼関係を強化して、不倫や浮気の防止へとつなげていくとよい。
まとめ
浮気と不倫の意味は似ているようで、違う部分がある。その違いについて理解できただろうか。不倫については明らかに肉体関係が存在するが、浮気については二人で出歩いただけでも判断されてしまうことがある点には注意しなければならない。パートナーを誤解させないためにも不倫や浮気について正しく理解して、疑われるような行動は慎むべきだろう。
監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣
- 2001年11月
- 司法書士試験合格
- 2002年3月
- 法政大学法学部法律学科卒業
- 2004年4月
- 中央大学法科大学院入学
- 2006年3月
- 中央大学法科大学院卒業
- 2006年9月
- 司法試験合格
- 2007年12月
- 弁護士登録(新60期)
- 2008年1月
- AZX総合法律事務所入所
- 2010年5月
- 平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
- 2013年2月
- 伊倉総合法律事務所開設
- 2015年12月
- 株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
- 2016年12月
- 株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
- 2020年3月
- 社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2020年10月
- 株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
- 2021年6月
- 社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2022年4月
- HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)
※2023年11月16日現在
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