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浮気/不倫からの離婚裏切り行為は許せない!不倫に対して加えられる制裁と注意点を知ろう!

離婚届を前にして泣き崩れる男性

パートナーの不倫は、愛する人を裏切るという、許しがたい行為だ。そんな不倫をされた日には、裏切った相手に対し、慰謝料をはじめとした制裁を加えたいと考える人が多いのは当然だろう。しかし、制裁を加えることに関してはいくつかの注意点もある。ここでは、不倫が発覚した際に、相手に加えられる制裁について詳しく解説する。

1.不倫はれっきとした違法行為

不倫は、法律上れっきとした違法行為である。そもそも不倫とは、婚姻関係を結んでいる状態であるにも関わらず、そのパートナー以外の異性と体の関係を持つことと定められている。そのため、配偶者以外の異性とのキスやハグ、デートなどは、不倫には当てはまらないともいえる。もちろん、パートナーが自分以外の人とキスやハグなどをしてほしくない、と考えるのは一般的だ。

ただし、法律上においての違法行為となる不倫は「不貞行為が認められた場合のみ」となる。不貞行為を具体的にいうと、配偶者以外の異性と肉体関係を結んでしまうことだ。そのため、慰謝料や離婚請求といった合法的な制裁を相手に加えたい場合は、違法行為となる不貞行為が行われているかどうかが、重要なポイントとなるのだ。いくら相手が不貞行為を疑わせる行動があったとしても、不貞行為を裏付ける決定的な証拠がないと、合法的な制裁を加えるのは難しいといえるだろう。

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2.不倫に対して加えられる2つの制裁とは?

不倫をされた側は、不倫をした側に対し、主に2つの制裁を加えることができる。それは「離婚請求」と「慰謝料請求」だ。ここからは、その2つの制裁について詳しく見ていこう。

2-1.制裁1:離婚請求

不倫に対して加えられる制裁として、まずは「離婚請求」がある。不倫をされた側は相手に対しての信用がなくなり、もう二度と夫婦関係を続けたくないと思うことが多いだろう。法律上、不倫は離婚事由として認められている。どのような理由があるにも関わらず、不倫をした側が悪いと認定されることが多いのだ。そのため、不倫をしたパートナーが離婚はしたくないといっても、不倫をされた側が離婚を希望すれば、比較的簡単に離婚が可能である。ただ、このようなケースの場合、相手が不倫をしたという不貞行為の証拠が必要になることも多い。

パートナーの不倫が原因で離婚をした場合は、もちろん財産分与が認められる。たとえ被害者側が働いておらず、不倫をした側がずっと生活費を稼いでいたとしても、それまでの貯蓄や財産はきっちりと折半されることが多い。また、子供がいるケースでは、相手に対し養育費を請求することができる。不倫が原因で離婚をするカップルの場合、子供自身も「浮気をしたお父さんとは一緒にいたくない」などと言って、浮気をされた側が子供の親権を取ることが多いだろう。そうした場合、浮気をした側の父親に、養育費を請求することが可能だ。このようなケースでは、浮気をした父親は日常生活において子供と会いにくくなる。離婚によって子供に会えなくなるということも、相手に対しての制裁となるだろう。

2-2.制裁2:慰謝料請求

不倫に対して加えられる制裁としての2つ目が「慰謝料請求」だ。慰謝料請求は、不倫によって被った精神的ダメージに対して、不倫をしたパートナーやその不倫相手、もしくはその両方に対して慰謝料を請求することが可能である。信じていたパートナーが他の異性と不倫をすることは、残された配偶者にとってはあまりにも辛い。その精神的ダメージに対し、不倫をしたほうは慰謝料を支払わなくてはならないのである。

不倫による慰謝料は、状況によって大きく金額が異なる。例えば、結婚1年目と20年目の夫婦の場合、20年目の夫婦のほうが精神的ダメージは大きいとされ、金額は高くなる傾向にある。また、不倫によって妊娠が発覚したり、家庭の生活費を使い込んだりした場合は、悪質性が高いと判断される。こうしたケースは、慰謝料が高くなることも多いだろう。ただし、具体的な金額にルールはないため、基本的には両者が合意できる金額に決めることとなる。また、裁判によって慰謝料を請求する場合は、不倫の程度や夫婦の生活状況、収入によって金額が決められることになる。いくら悪質性の高い不倫でも、不倫をした側が無収入といったケースでは、それほど高額な慰謝料は期待できないだろう。

3.請求できる慰謝料の相場とは?

慰謝料のイメージ

請求できる慰謝料の相場は、状況によって大きく異なる。全体的な慰謝料の相場は50~500万円と幅広いのが特徴である。具体的に見ていくと、不倫をしたものの、今後も夫婦関係を続けていく場合は50~100万円が相場だ。そして、不倫が原因となり、別居した場合は100~200万円が相場である。いずれにせよ、慰謝料全体と比較すると、離婚しない場合は慰謝料が低い傾向になる。この理由としては、精神的ダメージは被ったものの、離婚をしないということは、今後もパートナーから生活費や養育費などは支払われることが予想されるからだ。これまでの生活と同じように生活費が支払われるのであれば、慰謝料の金額はどうしても低い傾向になる。

その一方、不倫が原因となり、離婚した場合の慰謝料は150~500万円が相場となる。離婚をすると、それまでパートナーから支払われていた生活費等がもらえなくなるだろう。また、離婚をする場合、別れを決意するほどの精神的ダメージを受けたとも判断される。こうしたことから、離婚をした場合の慰謝料は高くなる傾向がある。そして、金額はさまざまな要素で決められるため、なかには相場を大きく超えるような金額が請求できる場合がある。芸能人カップルが不倫で離婚をした場合、慰謝料が数千万円といったケースも見聞きするだろう。こうしたケースは、不倫をした側がかなりの高収入であり、慰謝料に関しても、収入に応じた金額を判断されることが多いのだ。

4.制裁を加えるためには条件がある!

不倫をしたパートナーへ制裁を加えるためには、主に4つの条件がある。それは「不貞関係にあった証拠を残す」「夫婦関係が破たんしていないこと」「自由意思による不倫であること」「時効が過ぎていないこと」の4つである。ここからは、制裁を加えるためのこれらの条件について詳しく見ていこう。

4-1.条件1:不貞関係にあったことの証拠があること

不貞行為で制裁を加えるためには、パートナーが言い逃れできないような「証拠を押さえておく」必要がある。例えば、毎日パートナーの帰りが遅い、スーツに女性の香りがする、メールで不倫をにおわせる内容があるなど、不倫をうかがわせるようなことが続いたとする。しかし、これだけの状況では「異性と不貞関係があった」という証拠にはならないのだ。帰りが遅いのは仕事だと言い訳され、スーツについた香りは満員電車によるものだとされ、メールの文言も恋人ごっこをしているだけだ、と否定されるかもしれない。離婚や慰謝料を請求したいとなれば、不貞関係があった決定的な証拠を集めなくてはならない。証拠がないと、不貞関係を否定されてしまい、制裁を加えられない場合も出てくる。

そこで、まず始めに動かぬ証拠を押さえることが重要だ。具体的には、パートナーと不倫相手がホテルから出入りする画像、相手のマンションに泊まっている様子の写真や動画などである。これらの画像を集めることは素人には難しく、状況によっては興信所や探偵に依頼をしたほうが早いだろう。また、証拠がそろう前に問い詰めてしまうと、相手が言い訳をしやすくなってしまう。確実に制裁を加えるためには、言い逃れできないような効果的な証拠をたくさん集めることが必要だ。継続的に不倫が続いていたことを証明することで、確実に慰謝料や離婚請求などを申し立てることができるだろう。

4-2.条件2:夫婦関係が破綻していないこと

不倫相手に制裁を加えるためには「夫婦関係が破綻していないこと」といった条件もある。例えば、不倫をされる前に、すでに夫婦が数年に渡る別居をしていたとする。別居している状態では、会話やスキンシップといったコミュニケーションがないのはもちろんのこと、一方が不倫関係を他人と持ったとしても、それを容認していたと受け止められてしまうのだ。夫婦関係が破綻している状態では、離婚や慰謝料請求が却下される可能性がある。夫婦関係が破綻しているということは、すでに結婚によって生じる貞操義務を果たしていないことになるだろう。

ただし、不倫によって夫婦関係が破綻した場合は、慰謝料の請求ができる。例えば、夫側が3年にも渡る不倫を続けていたとする。妻はその不倫の事実を1年目に知り、話し合いの結果別居に至ったとする。この後の2年間は、妻は夫の不倫を知ったうえで別居をしていることになるのだが、このような状態であっても妻側から夫への慰謝料請求などは可能である。不倫が原因で夫婦関係が悪化した場合は、基本的に制裁を加えることが可能なのだ。

4-3.条件3:自由意思による不倫であること

制裁を加えるための条件として「自由意思による不倫である」ということもある。これは、パートナーが「自らの意思で不倫をした」という事実だ。パートナーが不倫をしても、その理由が「相手に脅されていたから」といった状況だと、自由意志には当たらない。例えば、不倫相手が会社の上司で「付き合わなければ会社をクビにする」といった脅しをかけていたことが分かれば、パートナーは被害者となり、慰謝料を請求することはできないだろう。また、不倫相手が、パートナーのことを「独身である」と思っていた場合、不倫相手は共犯ではなく、被害者となる。

不倫関係にあるどちらか一方が、強制的に自分の意思に関係なく不貞関係となった場合は、慰謝料を請求することができない。もちろん、無理やり肉体関係を持たされるといった強姦などの場合は、不倫行為として認められることはなく、制裁を加えることは不可能だ。ただし、不倫が自由意思であったかどうかは、証明することが難しい。不倫をした人によっては「自分はその気がなかったが脅されていた」などと、言い訳をするケースもあるだろう。自由意思による不倫であることを証明するためには、なるべく多くの証拠を集めることが必要だ。

4-4.条件4:時効が過ぎていないこと

ガベルと目覚まし時計

不倫における制裁には「時効」がある。例えば、10年前にされた不倫の慰謝料を請求したいといっても、時効が過ぎているため慰謝料は請求できないのだ。不倫の時効は、次のような2つの規定がある。まず「パートナーの不貞行為や不倫の事実を知った日から3年間」という時効だ。例えば、3年前に妻が会社の男性と1カ月間だけ不倫関係にあったとする。たった1カ月で別れたとしても、その事実を夫が3年以内に知れば、不貞行為に対する慰謝料を請求することは可能だ。逆に、妻が犯した1カ月だけの不倫を、夫が5年後に知ったとする。いくら悔しくても、知った日から3年間という時効を過ぎているため、このケースでは慰謝料を請求することはできない。

そして、もう1つの規定は「不倫関係が始まった日から20年間」である。具体的にいうと、夫が長年にわたり不倫を続けていたとする。妻がその不倫に気づいたのが、不倫を始めて15年目にあった場合は、不倫関係が始まった日から20年以内に当てはまるため、慰謝料請求は可能だ。逆に、夫が20年以上にも渡る不倫をしており、妻が25年目に慰謝料請求をしても、時効が適用されるため慰謝料請求をすることはできない。このように、不倫における制裁には時効があり、「不貞行為や不倫の事実を知った日から3年間」と「不倫関係が始まった日から20年間」という規定がある。これらのどちらか短いほうを基準として時効が設けられることになるため、不倫が疑わしい場合は、なるべく早く行動したほうが安心といえる。

5.制裁を加えるために必要な証拠とは?

不倫をした側へ制裁を加えるためには、決定的な不貞行為の証拠が必要となる。しかし、その証拠に不十分な点があった場合は、制裁を加えられない可能性もあるのだ。ここからは、制裁を加えるために必要な証拠について、詳しく見ていこう。

5-1.制裁を加えるために有効な証拠

慰謝料などの制裁を加えるための証拠は「不貞行為があったことを証明できる証拠」である。これは、極端にいえば、不倫相手とパートナーが肉体関係を持ったと強く推測されるものである。具体的には、2人でラブホテルに出入りする様子の写真や動画、ラブホテルに宿泊したことがわかる領収書やレシートなどの内容である。不倫相手との逢瀬は、ラブホテルで行われることが多い。そのため、ラブホテルに出入りしている決定的な証拠があれば、非常に有効な証拠となるだろう。

また、不倫相手が独身だった場合、相手のマンションやアパートで逢瀬を重ねているケースもあるだろう。そのため、不倫相手の自宅に泊まったことがわかる写真や動画も、有力な証拠となる。そして、不倫の事実を認めた会話や手紙、メールやラインなども、ときには大きな証拠となる。「また会いたい」といった内容では証拠として足りないが、「またあの温泉旅館に一緒に行こう」といった、かなり不倫をにおわせる内容の文章があれば、不倫の証拠として使えることも多いだろう。ただし、これらの証拠を自分1人で集めるにはかなり厳しい面もある。証拠は多ければ多いほどいいため、探偵などのプロに集めてもらうという方法もおすすめだ。

5-2.制裁を加えられない可能性がある証拠もある

制裁を加えられる証拠は、不貞行為があったことを証明できる証拠である。しかし、それを手にするため違法行為を行ってしまうと、その証拠は無効となるケースが多い。例えば、単身赴任の夫の部屋に盗撮用カメラを仕掛けたとする。仮に、そこで不倫現場をおさえられたとしても、行った行為はプライバシーの侵害にあたる。本人が知らないうえでの盗撮や盗聴などを行った場合、それは違法な行為と認定されて証拠にはならないのだ。同じように、他人の家に入っての盗撮など、著しく違法性が高いものは証拠として認められにくい。

そして、改ざんの可能性がある証拠も、証拠としての正当性は認められにくい。当然ながら、パートナーと不倫相手の写真を、ラブホテルの前で合成させて作った写真などは証拠にはならない。ただ、注意したいのは、デジタルデータはこのように改ざんできるというデメリットがある。そのため、デジタルデータで不倫の現場を撮影しても、証拠としての効力は弱いのである。証拠として使えるのは、改ざんが難しいアナログな方法での証拠集めが有効だ。探偵などのプロが撮影する写真や動画は、基本的に改ざんをすることは難しい。こうしたことから、使える証拠をしっかりと集めたい場合は、はじめからプロに依頼することが望ましいのである。

6.不倫相手に慰謝料を請求できないケースとは?

慰謝料は、浮気をした自分のパートナーからだけではなく、その不倫相手にも請求することができる。心情的には、パートナーよりも、その不倫相手へ怒りをぶつけたい人もいるだろう。しかし、状況によっては、不倫相手に慰謝料を請求できないこともあるのだ。ここでは、不倫相手へ慰謝料を請求できない具体的なケースを見ていこう。

6-1.ケース1:パートナーから相当額の慰謝料をもらっている場合

夫から慰謝料を受け取る女性

不倫相手に慰謝料を請求できないケースとして「パートナーから相当額の慰謝料をもらっている場合」がある。例えば、妻が浮気をし、夫が裁判をして300万円の慰謝料請求ができたとする。その後、パートナーである妻から300万円の慰謝料をきちんともらえた場合、不倫相手から別途慰謝料をもらうことは難しいのだ。慰謝料はパートナーへも不倫相手へも請求可能だが、すでにパートナーから相当額をもらっている場合は、不倫相手への慰謝料請求ができない。

基本的に、慰謝料の額は総合的に見ていくらという考え方となる。そのうちの、いくらをパートナーに、いくらを不倫相手に請求するのかを決めるのが一般的だ。先ほどの300万円を例に見ると、不倫をした妻に対し200万円、その相手の男性に100万円といった内訳になっていることが多い。不貞行為においては、パートナーと不倫相手の2人一緒で行為に及んだため、連帯で損害を賠償する必要があるのだ。しかし、妻に200万円、相手男性に100万円といった内訳があったとしても、妻が300万円を支払うといった場合、相手男性からそれ以上の慰謝料を請求することは難しい。つまり、パートナーと不倫相手双方に対して、必要以上の慰謝料を請求することはできないのだ。

6-2.ケース2:不倫相手に故意や過失がない場合

不倫相手に「故意や過失がない場合」は、不倫相手に慰謝料を請求することは難しい。例えば、妻が不倫をしつつも、その相手男性に対しては「自分は独身だ」と嘘をついていたケースである。相手男性にとっては、妻は既婚女性ではなく、独身女性である。そのため、将来は結婚をしたいと本気で付き合っていることもあるのだ。このように、不倫相手に対して、既婚者なのに独身者であると嘘をついていた場合には、不倫相手も被害者といえるだろう。

慰謝料に関しては、不倫を取り締まっている法律のなかの「婚姻共同生活の平和の維持という権利又は法的保護に値する利益」を侵害しないことが大切である。いくら不倫相手に慰謝料を請求したくても、相手もだまされていたようなケースでは、請求することが難しい。ただ、はじめは独身と嘘をつかれていても、途中で「既婚女性だった」と不倫相手が知るケースもある。既婚者だと途中で知りながらも関係を持っていた場合は、慰謝料請求ができる可能性もある。このような状況で慰謝料を請求するには、不倫相手も言い逃れできないような、有力な証拠を押さえておくことが重要だ。

6-3.ケース3:不倫相手が自己破産している場合

不倫相手に慰謝料を請求できないケースとして「不倫相手が自己破産している」ケースがある。不倫相手が自己破産している場合、いくら慰謝料を請求しても、実質的に払えないことが多い。一部例外はあるものの、慰謝料については請求しても免責されてしまうことが多いのだ。不倫においては、関係を持つ相手に対し、金銭面での援助を求めているケースもある。そのため、不倫相手がそもそも無職だったり、ギャンブルなどが原因で自己破産していたりすることも少なくないのだ。経済力が全くない相手とパートナーが不倫をしている場合、不倫相手への慰謝料請求はかなり難しいだろう。

また、不倫相手だけでなく、パートナーが自己破産した場合も慰謝料の請求はできなくなる。ただし、パートナーも不倫相手も、すでに自己破産していれば慰謝料の請求は最初からできないが、請求したことによって、自己破産してしまうケースもあるのだ。車やマンションといった資産を持ちながらも、慰謝料を支払いたくないので自己破産を選ぶ人もいるだろう。こうしたことがないように、不倫相手の経済状況は、あらかじめ調べておくと安心である。

7.慰謝料が払えないといわれた場合の対処法

不倫をされたことによる慰謝料を払ってもらいたくても、簡単に相手が応じるとは限らない。「不倫をされた側にも責任がある」と反発されたり、「支払えるお金がない」など、言い逃れをされたりすることもあるだろう。ここからは、慰謝料が払えないといわれた場合の対処法を、2つ紹介する。

7-1.対処法1:法的手続きに進む

慰謝料が払えないといわれた場合の対処法として、まずは「法的手続きをして慰謝料の支払いを要求する」という方法がある。慰謝料を要求する際、はじめは口頭などで相手に伝え、支払うことを要求することが多いだろう。しかし、口頭や、ただの手紙やメールなどで慰謝料を請求しても、相手によってはのらりくらりとかわされることも多い。そのようなときは、まずは「内容証明郵便」を送付して、慰謝料の請求や、状況によっては法的手続きに入ることを伝えるのが良いだろう。

内容証明郵便は、日本郵便が取り扱うサービスであり「このような内容の手紙を送付した」ということを5年間証明してくれるものである。送っただけで慰謝料の義務が必ずしも発生するわけではないが、内容証明を利用すると法的な手続きをちらつかせることになり、こちらの本気度を示すことになるのだ。そのため、内容証明を送ったことにより、相手側が慰謝料を素直に支払うケースは多い。また、内相証明を送ったあとも、相手側から反応がなかったり、話し合いで解決しなかったりする場合は、裁判などの法的手段に訴える必要がある。これにより、調停や訴訟上の和解をすることも可能だ。

しかし、調停や訴訟を起こすと時間とコストが非常に掛かるケースも多い。特に、慰謝料を支払う側は、慰謝料にプラスして調停費用などが掛かるため、デメリットも多い。それらのことを承知のうえで調停になると、解決には時間が掛かることもあるだろう。最後に、法的手続きをしても相手が慰謝料を支払わない場合は、給与や口座を差し押さえる「強制執行」をすることもできる。稀なケースではあるが、強制執行をされた場合、加害者側の勤務先が手取り給与のおよそ4分の1を天引きし、毎月被害者側への指定口座に振り込むといったケースが多い。

7-2.対処法2:財産を調査する

虫眼鏡と電卓とお札

慰謝料が払えないといわれた場合のもう1つの対処法として「相手側の財産を調査する」ことがある。慰謝料の支払いを拒否し、最終的に裁判所の強制執行が行われても、相手の財産についての調査は、裁判所が行うわけではない。特に、不倫相手の財産を独自に調査することはとても難しいのだ。例えば「慰謝料を支払う資産がない」と不倫相手が主張をしても、実際には高級外車を乗り回していたり、不倫デートには高級店で食事をしていたりするケースも少なくない。いくら本人がお金はないことを主張していても、その生活ぶりから、主張している資産に疑いがあるケースは多いのだ。

相手側の本当の資産を知るためには、裁判所の「財産開示手続き」を利用すると効果的である。財産開示手続きをすると、債務者である不倫をした側は、期日に裁判所へ出頭し、嘘をつかないことを宣誓したうえで財産を開示することとなる。そして、万が一開示拒否や宣誓拒否、虚偽開示をした場合は、30万円以下の罰金が科せられることもあるのだ。また、相手側の財産を知るには、弁護士に依頼して調査を頼む方法もある。相手側は本当の資産を開示することにより、状況によっては慰謝料の支払いを拒否することが難しくなるだろう。

8.制裁を加える際の注意点を3つ紹介!

不倫をされた側としては、パートナーやその不倫相手に対し、決して消えることのない怒りを持つだろう。そのために慰謝料請求といった制裁を加えるのだが、怒りに身を任せ、違法的な制裁を加えないように注意しよう。ここからは、制裁を加える際の注意点を3つ紹介する。

8-1.注意点1:違法行為をしない

慰謝料請求は、不倫をした相手に対しての制裁であるが、それだけで気分がスッキリするという被害者は少ないだろう。そのため、不倫をしたパートナーやその相手に対し「暴言」「暴力を振るう」「ネットなどで悪口を拡散する」といった行為を行ってしまう人も少なからずいる。しかし、これらの行為はすべて違法行為に当たり、行った場合は刑事罰が適用されることもある。違法行為によって制裁を加えると、逆に自分が違法行為で訴えられることとになるのだ。

例えば、浮気をされた腹いせに、不倫相手に対して殴る蹴るなどの暴力を加えてしまうと、暴行罪に問われる。また「この2人は不倫をしました」などの情報をネットに乗せることは、名誉棄損罪に問われる可能性がある。同じように、パートナーの不倫を会社や周囲の人へ公表して回ることも、名誉棄損罪となるだろう。また「不倫をしたのだから1千万円を支払え」といったこちら側の一方的な要求は、相手を脅す行為となり、脅迫罪に当たるケースにもなる。このほかにも、必要以上に相手を暴言で攻め立てるような行為をすると、侮辱罪や恐喝罪が適用されることもあるのだ。

8-2.注意点2:仕返し不倫をしない

相手に不倫をされたからといって、「仕返し不倫」をしてはならない。不倫をされた側のなかには、悔しくて自分も他の異性に走ってしまうケースもある。しかし、不倫されたから自分も不倫をするという仕返しは、なんの解決にもならないのだ。特に、仕返し不倫の場合は「相手は誰でも良い」と自暴自棄になるケースが多く、他人と関係を持つことにより、自分自身がさらに傷ついてしまう。また、慰謝料を求める際にも、自分も同じように不倫をした立場であれば、立場が平等になってしまう。これにより、慰謝料の支払いはゼロになってしまうことも十分考えられる。

仕返し不倫をすると、裁判などでも自分が優位に立って交渉を進めることができなくなる。どれだけ「自分は傷ついたので仕方なく他の人と関係を持った」と主張しても、調停では同じ行為をしたとみなされ、主張を認めてくれることはないだろう。また、仕返し不倫をしたことにより、パートナーが心から反省して自分のもとに戻ってくる、といったケースは少ない。むしろ、仕返し不倫をした側はパートナーから軽蔑され、距離はどんどんと広がることにもなるだろう。

8-3.注意点3:離婚する場合は自分が背負うリスクも考える

制裁を加える際の注意点として「離婚を選ぶ」ことがある。不倫をされた事実を知ったあとは、頭に血がのぼってしまい、離婚しか考えられなくなることは多い。どれだけ相手から謝られても、どれだけ子供たちが両親を必要としていても「不倫なんかするあなたとは絶交だ!」という気持ちになるケースは多いだろう。しかし、冷静になって考えてみて欲しい。離婚は、必ずしも最善の方法というわけではない。

まず、夫側が不倫をし、妻が離婚をしたいというケースでは、妻が一人になった後、経済的に困窮する可能性も高い。特に、子供がいて妻が子供を引き取る場合、親子で生活が厳しくなることも予想されるだろう。いくら夫から慰謝料や養育費をもらっても、一緒に生活をしていた頃と比べると、生活費が足りなくなるケースは多いのだ。逆に、妻が不倫をして夫が離婚を求めたとしても、その後妻がいない生活は想像以上に寂しくなることも多い。子供がいて引き取った場合は、母親のいない家庭に子供たちが不安定になることもあるだろう。いずれにせよ、離婚をすると、今後は1人で生活を続けていかなければならないというリスクがある。勢いで離婚を選択するのではなく、離婚後の自分の状況をしっかりイメージし、最善の判断をする必要がある。

9.離婚する以外の制裁方法もある!

不倫をした側への制裁方法は、離婚や慰謝料請求だけではない。例えば、離婚請求は相手にとって悲しいものではないケースもある。むしろ、離婚をしてくれることにより、パートナーと不倫相手にとっては再婚できるチャンスとなるのだ。そのような場合は、状況を逆手にとって「別れる気がない」ことを伝える方法もある。離婚をして一緒になれると思っていた2人にとって、離婚をしてくれないことが制裁となる場合もあるだろう。パートナーは不倫したことで有責者となることから、いくら離婚したくても、自分からは離婚請求ができないのだ。このような状況が続けば、不倫相手がパートナーと一緒になることをあきらめるケースも多い。

そして、不倫が発覚したあとも一緒に暮らすことを選んだ場合、その後の生活の主導権は、被害者である自分が握れることも多いだろう。一度不倫をした側は、自分の過ちがあることから、立場上弱くなるケースも多いのだ。そのうえで、二度と不倫をしないという誓約書を書かせることも制裁となる。パートナーだけでなく、不倫相手にも書かせておくことで、今後2人が密会をするような確率はかなり減るだろう。

まとめ

愛しているパートナーだからこそ、不倫は許せないものである。パートナーや不倫相手に対し、離婚や慰謝料請求といった制裁を加える方法はあるが、あえて離婚をしなかったり、誓約書を書かせたりする制裁方法もある。不倫を見つけた際はあまり感情的にならず、今後自分がどうしたいのかをじっくりと考えることが必要だ。パートナーや不倫相手に対しては、注意点を踏まえたうえで、納得できる制裁を科すようにしよう。

監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣

2001年11月
司法書士試験合格
20023月
法政大学法学部法律学科卒業
20044月
中央大学法科大学院入学
20063月
中央大学法科大学院卒業
20069月
司法試験合格
2007年12月
弁護士登録(新60期)
20081月
AZX総合法律事務所入所
20105月
平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
20132月
伊倉総合法律事務所開設
2015年12月
株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
2016年12月
株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
20203月
社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
2020年10月
株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
20216月
社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
20224月
HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)

※2023年11月16日現在

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