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浮気/不倫からの復縁不倫は罰が付きもの!代償として社会やパートナーから受ける罰とは?

不倫した罰を受け涙する男性

不倫は配偶者に対する不貞行為というれっきとした違法行為だ。不倫をすれば、社会的な信用を失い、パートナーや家族への償いとして何らかの罰が与えられることになる。この記事では、不倫の行く末にどのような罰が待ち構えているのか、パートナーの不倫が確定したら、どのような罰を受けさせることが可能なのかを解説する。

1.どこからが不倫になるのか?

不倫にはどのような罰が待ち受けているのかを知るためには、どのような行為が不倫に当たり、罰の対象になるのかを知る必要がある。通常不倫と浮気は同じような意味で用いられるが、実は別物だ。浮気は法律用語ではないが、不倫は民法において、特定の相手と不貞行為を繰り返している状態を指すと定義されている。結婚すると、夫婦がお互いに貞操義務を負うことになるため、不貞行為は不法行為に当たるのだ。

不貞行為とは、肉体関係を持ったかどうかが焦点になる。異性とデートやメールのやりとりをした、手をつないだという程度では、法律上の不貞行為とは認められない。また、1回限りの肉体関係の場合、不貞行為とは認められるが、罰の対象となるのはまれだ。しかし、ラブホテルで長時間2人で滞在したなど、明らかに肉体関係があったことがうかがえるような状態であれば、実際の行為が確認できなくても不貞行為とみなされる。なお、貞操義務が認められる関係は、婚姻届を出している夫婦だけではない。事実婚といわれる婚姻届けを出していない内縁関係の夫婦や、婚約中のカップルなども含まれる。

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2.罰を受けさせるための証拠とは?

パートナーに不貞行為があったことがわかり、精神的な苦痛を味わった場合、それ相応の罰を受けさせたいと考えるのは自然な流れだ。しかし、合法的に罰を受けさせるためには、実際にパートナーに不貞行為があったことと、それにより自分が精神的苦痛に追い込まれたことを証明しなければならない。十分な証拠のない状態で、罰を受けさせようとすると、かえって名誉棄損などで訴えられてしまう可能性がある。きちんと不法行為があった事実を証明できるように、確たる証拠をつかむまでは、不倫が発覚しても水面下で証拠を集め続けることが重要だ。

不倫の証拠となり得るものには、不貞行為を確認できるメールのやり取りや、不倫相手と一緒に写った写真やビデオ、パートナーが不倫を認めた録音音声、ラブホテルのカードや領収書などがある。ただし、どんな写真や動画でも証拠になるのではなく、認められるポイントを押さえていることが必要だ。不貞行為の証拠集めは自分ですることも可能だが、裁判でも採用されるような質の高い証拠を集めることは簡単ではない。そのため、写真や動画撮影など、決定的な証拠集めは探偵事務所に依頼するケースが多い。探偵事務所は、尾行や張り込みなどを通じて、ラブホテルに出入りする場面や、旅行の様子、相手の部屋に出入りする様子など、決定的な証拠を集めることを得意としている。

3.不倫が原因で受ける法的な罰とは?

パートナーが違法性のある不貞行為を行った場合、法的にはどのような罰を課すことができるのだろうか。この段落では、不貞行為を行ったパートナーが、通常受けることになる法的な罰にはどのようなものがあるのかを紹介する。

3-1.離婚請求

不倫をしたパートナーが受ける罰として、まず離婚請求が挙げられる。不倫された側が制裁として課すことができる罰だ。通常であれば、離婚は一方的な判断で勝手にすることはできない。お互いが離婚することに合意することで離婚が成立する。このような離婚の方法を協議離婚という。しかし、不貞行為があった場合は話が別だ。不貞行為によって損害を被った側からの希望だけで離婚することが可能になる。

離婚請求は、不貞行為によって損害を被った側にのみ認められている権利で、不貞行為を行った側からの請求は認められていない。不貞行為を受けた側の希望により、調停や審判、離婚裁判などを通して離婚の請求が可能だ。一方的に離婚を請求することができるうえに、不貞行為をした側は、請求された離婚を拒否することができないという点が、不倫の罰としては大きなポイントになる。

3-2.慰謝料請求

封筒に入った札束

不倫によって精神的苦痛を味わったパートナーは、慰謝料を請求することが可能だ。慰謝料とは、不貞行為によって味わった精神的苦痛に対して支払われる賠償金のことをいう。慰謝料請求の相手は、不倫したパートナー、あるいは不倫相手、もしくはその両方だ。慰謝料は、離婚する場合だけでなく、夫婦関係を継続する場合も請求することができる。離婚しない場合でも、不貞行為によって精神的な苦痛を受けているからだ。

慰謝料請求することで、違法性のある不貞行為に対して、賠償金の支払い義務を負わせることができる。そのため、慰謝料の請求は口約束ではなく、法的な手続きを取るようにすることが大事だ。慰謝料の金額には相場はあるが、ルールはないため、基本的に夫婦間で決めることができる。夫婦間の話し合いで、慰謝料の金額が決まらない場合は、裁判手続きをして、客観的な形で決めるようにする。慰謝料は、不貞回数、不貞行為の期間、不貞に至った経緯、未成年の子供の有無、婚姻期間などを考慮して算定されるのが普通だ。もし、支払いが決まった慰謝料の支払いに応じない場合は、強制執行として財産を差し押さえることができる。なお、不倫による慰謝料の一般的な相場は、およそ100万~300万円だ。

3-3.財産分与

不倫が原因で離婚する場合でも、財産分与は発生する。不貞行為をしたパートナーには財産を1円たりとも渡したくないという心情はもっともだが、財産分与は法律上認められている権利だ。離婚をするなら財産を分けなければならない。財産分与は目的によって「清算的財産分与」「扶養的財産分与」「慰謝料的財産分与」の3つに分けられる。そのうち「慰謝料的財産分与」とは、慰謝料請求とは別に、精神的苦痛に対して財産を請求するものをいう。そのため、慰謝料と財産をまとめて、財産分与として請求することもできる。

財産分与の対象になるものとは、不動産や家具、車、預貯金、有価証券などのうち、婚姻中に取得したものだ。名義人がどちらか一方であっても、個人の固有財産以外は共有財産として分与が認められている。何をどのように分けるかは、夫婦間の話し合いで決めることが可能だ。話し合いがまとまらない場合は、調停や審判、裁判を通して、客観的な判断で取り決めていくことになる。

4.不倫が原因で受ける社会的な罰とは?

不倫は法律に違反する行為だ。不倫が不法行為のひとつとであることを認識している人が多いため、不倫をすると世間一般からもバッシングを受けることになる。この段落では、社会的な面から受ける不倫の罰について紹介する。

4-1.親権を持つことが不利になる

不倫が原因で離婚に至った場合、子どもがいれば、親権はどちらか一方が獲得することになる。ただし、親権を考慮するにあたり、法律上の観点からいうと、不倫と離婚は無関係だ。そのため、不倫した側が親権を取得することもあり得る。しかし、不倫された側は、社会的信用を失っているパートナーには絶対に親権を渡したくないという強い気持ちを持つのが道理だ。親権を争うことになった場合、不倫した側は不利な状況になりやすいのは明らかだ。

一般的には、親権者をどちらにするかは、夫婦間の話し合いで決めることができる。しかし、話し合いで親権が決まらない場合は、調停や裁判に決定をゆだねることになる。調停や審判などの場で、客観的な判断を待つ場合、重視されるのは子どもにとってどちらが親権を持つのが幸せかという点だ。不倫のために家出をした、不倫相手と会うために子育てがおろそかになっていたというような状況であれば、親権を獲得できない可能性は高くなる。

4-2.職場での処遇の悪化

不倫が職場や業務に多大な悪影響を及ぼした場合には、会社での処遇が悪化することを覚悟しなければならない。不倫が発覚した時点で、処遇についての検討がなされ、何らかの処分が下されることになるだろう。業務に悪影響を及ぼすような不倫とは、相手が社内や取引先の従業員だった場合、社内や勤務時間に不倫行為が行われていた場合などだ。不倫の噂が社内や取引先をはじめ、関係各所に広く伝わってしまうと、会社としての信用を失うことにもなりかねない。会社は不倫した当人に対して厳重な処分を下すことで、失った信用を取り戻そうとするだろう。

不倫に対する処罰が、口頭や文書による注意喚起、減給、出勤停止などで済む場合もある。しかし、ごく軽い処分で済むことは珍しい。不倫した者同士が顔を会わさないように、部署を異動させられることが多い。会社が被った被害が甚大な場合には、解雇という決定になることもある。不法行為を起こした者として、どのような処分を下されたとしても文句はいえないだろう。

4-3.人からの信頼を失う

信用を失い頭を抱える女性

不倫によって多くの人からの信頼を失うことになる。少なくとも、パートナーや子ども、親などの家族や親族の信頼は大きく損なうことになるはずだ。ひどく傷つけてしまったパートナーや子どもたちには、何をやっても何を言っても信じてはもらえなくなるだろう。不倫後、離婚を回避できたとしても、家族との関係はぎくしゃくした状態が長く続くはずだ。失った信頼は簡単には取り戻せない。下手をすると気まずい思いは一生続くかもしれない。

職場の人にも不倫の事実が知られたら信頼されなくなる。職場での評価が下がり、働きづらくなってしまうことは間違いないだろう。子どものころから付き合い続けてきた仲の良い友達とも、不倫がきっかけで疎遠になってしまう可能性がある。家の近所の人や家族の知り合いにも話が広まったときにはさらに複雑だ。不倫をした本人が信頼されなくなるだけでなく、家族も冷ややかな目で見られることになる可能性がある。そうなると、家族との溝はさらに深くなってしまうだろう。

5.再構築を図る際の罰とは?

不倫されたからといって、必ずしも離婚という結末を選ぶとは限らない。さまざまな状況により、関係の再構築を図る夫婦もある。この段落では、不倫をしたパートナーを再度信頼するためには、どのような罰を課すことが有効なのかを解説する。

5-1.性病検査を受けさせる

夫婦関係を再構築する際のステップとして、まずは性病検査を受けさせよう。他人と肉体関係を持ったパートナーと再び安心して夫婦関係を構築するためには、性病に感染していないことを確認する必要がある。代表的な性病はクラミジアや淋病、カンジダ症、トリコモスなどだが、他にもさまざまな種類の性病が存在する。どんな性病に感染しているかわからないままでは、再び夫婦として関係を持つのが不安だとハッキリ伝えるといいだろう。性病は自然治癒しないため、放置すると不妊症やほかの病気になる恐れもある。感染の可能性があるなら、早めに確認して治療することが重要だ。

性病検査は病院で受けなければならない。通常ではなかなか受ける機会のない検査なので、わざわざ性病の検査を受けに病院まで足を運ぶこと自体が罰になり得る。恥ずかしい思いや悔しい思いを感じさせることができれば、不倫を後悔させるのに十分な精神的なダメージを与えることができるだろう。パートナーが不貞行為をしていた間にも夫婦生活があった場合には、不倫された側も検査を受けておくことが大切だ。安心して関係を再構築するための第一歩として性病検査を受けに行くようにしよう。

5-2.家事を任せる

普段家事をしてこなかったパートナーが不倫した場合には、家事のほとんどを任せるという罰を課すのもおすすめだ。専業主婦などもともと家事を任されていたパートナーに課してもたいした罰にはならないが、ほとんど家事をしていなかったパートナーには効き目がある。パートナーが不倫をしていた裏で、どれだけ大変な家事をひとりでこなしてきたかを実感してもらうことが可能だ。

不倫したパートナーに、今まで自分がしてきた家事を命じてやってもらうことになるが、いきなりすべてを任せるのはかえって落ち着かないということもあるかもしれない。それなら、少しつずつ増やしていく形でもかまわない。最終的にはできるだけ多くの家事をやらせるようにするといい。多くの家事をこなすためには、職場での仕事が終わったらすぐに帰宅しなければならなくなる。再び不倫できるような暇を作らないことにも役立つ。家事をすることで家にいる時間が長くなれば、家族ともコミュニケーションを取りやすい状況になる。家族の近くにいる時間が増えれば、夫婦だけでなく子どもたちとの関係も再構築しやすくなる。罰としても関係を修復する方法としても効果的だ。

5-3.お小遣いカット

夫婦で家計を共にしていて、どちらか一方が財布を管理している場合には、浮気したパートナーが自由に使えるお小遣いを減らすという罰も有効だ。お小遣いを減らすことで、外で遊ぶための経済的な余裕をなくすことができる。まったくお小遣いを与えないというのではなく、金額を減らすというやり方がいいだろう。程よい圧迫感になるように金額を調整することが大事だ。

同じ家計で生活している場合は、慰謝料をお小遣いの中から払い続けるという方法もある。単純な罰としてお小遣いの金額を減らされたという形ではなく、お小遣いの中から慰謝料を支払う形にすることで、きちんと償いを続けているという感覚を持たせることが可能だ。不倫したことをきちんと反省させ、二度とさせないようにするためには、お小遣いの中から慰謝料の支払いをしていることを意識させるのがおすすめだ。

5-4.外出禁止

不倫していたパートナーに、不要な外出をさせないようにするのも効果的な罰になる。一度信頼を裏切っているため、友達との飲み会や遊ぶ約束など、不倫につながりそうな外出は禁止するという方法だ。外出して良いのは出社のみにするなど、厳しい外出禁止の罰則を設けて、反省を促すことができる。ただし、本人が抵抗しているにも関わらず、一歩も外へは出さないというようなことを続けると、監禁などの違法行為と判断される可能性がある。また、度を越えた厳しい束縛をすると、相手からの愛情が薄れる原因になるかもしれない。そうなると逆効果だ。期間を決めたり、条件を付けたりするなど工夫することが必要だ。

6.刑事責任を問われる罰には気を付ける

ペケマークを持った裁判官

パートナーの不倫によって傷つけられると、なるべく厳しい罰を与えようと思ってしまうかもしれない。しかし、いきすぎた罰を与えてしまうと、逆に刑事責任を問われることにもなりかねないので注意が必要だ。この段落では、気を付ける必要がある罪になり得る罰について解説する。

6-1.暴力をふるう

感情的になって暴力をふるうと、罪に問われるので注意が必要だ。不倫された側がもっとも多く問われることになる罪が暴力、いわゆるDVだといわれている。たとえば、叩いたり、殴ったりしてケガをさせてしまうと、適用されるのは傷害罪だ。いくら腹立たしく思っても、手を上げてはいけない。手や足を出さなくても、暴言を吐いて精神的に追いつめれば暴行罪が適用される。たとえ言葉でも相手が傷つけば暴行罪に問われるので気を付けよう。

体に傷を負わせる暴力も罪だが、言葉の暴力はノイローゼなど精神的なダメージが大きく、回復するまでに長い期間がかかる。不倫の被害者が一瞬にして加害者という立場になってしまうので、くれぐれも注意したい。ちなみに、傷害罪は15年以下の懲役、または50万円以下の罰金、暴行罪の場合は2年以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられる。

6-2.所有物の破損や盗む行為

不倫したパートナーが大事にしているものを無理やり売ったり壊したりすれば、強烈な罰になってちょうどいいなどと思ってはいけない。パートナーの持ち物を壊したり、無断で外に持ち出したりすることは犯罪になる。たとえば、不倫しているパートナーが普段使っているパソコンやスマートフォンを壊すと器物損壊罪になるという具合だ。壊すまでには至らなくても、勝手に持ちだして売りさばいてしまった場合は窃盗罪になる。車やアクセサリーなど、パートナーが大事にしているものを売って懲らしめてやろうと思うと痛い目に合う。

不倫しているパートナーが大事に集めているコレクションや趣味のものなどには、一見価値がないように見えるものがあるかもしれない。しかし、パートナーや関心がある人にとっては宝物同然ということがある。それらを壊したりごみとして捨てたりしたときには、やはり犯罪として扱われることになってしまうので注意しよう。ちなみに、器物損壊罪は3年以下の懲役、または30万円以下の罰金、窃盗罪は10年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる。

6-3.不倫をSNSなどで大勢の人に言いふらす

自分が不倫をされたことを、不倫していたパートナーや不倫相手の職場などに言いふらす行為は、多くの人に事実を公表することになり、名誉棄損やプライバシー侵害に当たる。名誉棄損やプライバシー侵害は犯罪だ。職場に乗り込んで、ビラを配ったり、噂を広めたりする行為は自分を貶めることにもつながるので、絶対にやらないようにしよう。

特にインターネット上に個人情報を特定できる内容の書き込みをするのは厳禁だ。広まる過程で尾ひれがつき、真実とは違う内容で伝わってしまう可能性がある。何よりも、一度広まった噂は簡単には消えないという点が問題になりやすい。下手をすると何年にも渡り間違った情報がネット上に掲載されたままになってしまうことになる。意図せず行ったことでも、名誉棄損は3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられる罪だ。気を付けよう。

6-4.復縁を目的としない報告

復縁するつもりはないのに、不倫のことを周りに報告することは罪になるということに案外多くの人が気付いていないのではないだろうか。実は自分の両親やパートナーの両親、兄弟姉妹などは、法的には第三者という立場になる。そのため、もしも、パートナーが不倫していること安易に相談してしまうと「言いふらした」ということになってしまう可能性があるのだ。たとえ親や兄弟姉妹などの肉親でも、不倫のことを話してしまうと、それがまたほかの誰かに伝わり、結果的に無関係な人にまで話が伝わってしまうことになりかねない。知られたくないことを報告することは、名誉棄損やプライバシーの侵害に当たる。

ただし、復縁を目的とした相談である場合は、罪に問われない。不倫したパートナーとやり直すために、周りに協力を求めるという形なら問題はないというわけだ。罪に問われるのは、復縁を求めない場合の報告だ。復縁しないということは、将来他人になる人のプライバシーを暴いて、不特定多数に広めていることになるからだ。名誉棄損になるため、3年以下の懲役、または50万円以下の罰金が科せられることになる。

6-5.不倫した事実を使って脅す

パートナーの不倫相手を脅迫しようとする既婚女性

不倫が発覚した際、パートナーや不倫相手に対し、不倫をネタに脅迫した場合は脅迫罪に問われる。たとえば、感情的になるとやってしまいがちなのが、「不倫の証拠写真をネットに流出させてやる」「不倫の証拠を職場にばらまいてやる」などの言い方で脅してしまうことだ。「されたくないなら言うことを聞け」というような言い方も脅迫に当たる。

本人に明らかな脅迫の意思があったかどうかは関係ない。相手が脅迫と感じれば脅迫したことになってしまう。不倫したパートナーや不倫相手を問い正す際に、感情的になっていると、つい脅迫めいた言葉遣いになりがちだ。話し合いをするなら、できるだけ頭を冷やして、冷静になってから行うようにしよう。不倫したパートナーや不倫相手に罰を与えるつもりが、罰を受けるのが自分になってしまいかねない。脅迫罪は2年以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられるので要注意だ。

7.慰謝料が減額、または認められない状況とは?

不倫の代償として不倫をしたパートナーや不倫相手に慰謝料を請求できる。ただし、請求しても減額されたり認められなかったりする場合があるため注意が必要だ。この段落では、不倫の慰謝料が減額されたり認められなかったりするケースについて解説する。

7-1.別居理由や夫婦の状況

慰謝料請求をしても、請求内容よりも金額を減額されたり、請求自体が認められなかったりする場合がある。慰謝料は不倫によって被った精神的な苦痛に対して支払われる賠償金だ。請求した金額よりも減額されるのは、実際に被った苦痛が請求内容よりも小さかったと判断されていることがうかがえる。一方、請求自体が認められないのは、不倫によって賠償が必要なほどの苦痛は被っていないと判断されたケースだ。

たとえば、夫婦が離婚を前提とした別居中であった場合、「すでに夫婦関係が破綻している」と認定される状況なので、そのような状況下で不倫があったとしても、パートナーは賠償が必要なほどの精神的苦痛は被っていないと判断される。パートナー自身も不倫して、ダブル不倫だった場合も同様だ。お互いに不倫しているのだから、相手の不倫によって精神的な苦痛は味わっていないと判断されても当然だろう。

残念なのは、証拠が不十分で不貞行為を証明できなかった場合だ。実際に精神的な苦痛を被っている場合でも、不貞行為があったという事実を立証できないため、慰謝料請求が認められない。さらに、SNSでつながった場合など、不倫相手がパートナーのことを未婚者だと思い込んで付き合っていた場合などは、不倫相手に対しての慰謝料請求は無効になる。

7-2.慰謝料請求権に時効がある

不倫の慰謝料請求権には時効があり、請求可能な期間を過ぎてしまうと慰謝料をもらうことができなくなる。時効は大きく分けて2つあり、ひとつは不倫を始めてから20年経過したとき、もうひとつは不倫の事実を知ってから3年経過したときだ。不倫の事実を知ったときとは、不倫相手が特定できていたときのことをいう。写真などで相手の顔はわかるけれど、名前や住所は知らないという場合は、特定できていないものとして、カウントされない。

時効が過ぎてしまった場合、不貞行為の証拠が十分揃っていても、慰謝料請求は認められなくなってしまう。十分な証拠を集めたうえで請求することが大事だが、あまりのんびり構えていると、請求権自体を失ってしまうことになる。時効がいつ成立するのかをきちんと意識したうえで、証拠を集めて請求することが大事だ。

7-3.莫大すぎる慰謝料額の場合

慰謝料の金額が常識的に考えて莫大過ぎると判断される場合にも減額される。慰謝料の金額設定には決まったルールはないため、高額な慰謝料の請求も認められるのは確かだ。しかし、一度金額を決めてしまった場合でも、被った損害に比べて明らかに額が大きすぎる場合は、減額を要求することができる。ただし、請求側に減額を希望する旨を伝え、なぜ減額したいのか、理由を伝えなくてはならない。単に支払いを拒否するだけでは、強制執行の対象になってしまう。一度決まった金額を減らすのだから、相手を怒らせないように丁寧に説明しなければならない。誠意ある態度で減額を願い出ることがポイントになるだろう。

慰謝料を支払う側にまとまったお金がないときは、分割払いも検討するように交渉する。夫婦間で金額の折り合いがつかない場合には、弁護士を間に立てることもひとつの方法だ。弁護士を入れると弁護士費用がかかることになるが、あまりにも莫大な金額を要求されている場合は、妥当な慰謝料額に減額できれば損することはないだろう。

7-4.夫婦関係の再構築による慰謝料回避

不倫発覚後も離婚せず、夫婦関係の再構築に努める場合は、パートナーに対する慰謝料は請求しづらいと感じる人もいる。離婚を選べば、慰謝料や養育費を支払わなければならないが、夫婦関係を再構築するなら慰謝料の請求がなくなったり、減額されたりする可能性もある。夫婦関係を再構築するなら、高額な慰謝料を取るよりも、生活を共にする中で、謝罪の気持ちや誠意を示してもらったほうが、不倫された側にもプラスになるからだ。不倫したパートナーが本気で夫婦関係を修復したいという意思を見せれば、慰謝料を回避したり減額されたりする可能性は十分にある。

少なくとも未成年の子どもがいる場合は、離婚せずに済めば養育費の支払いを回避することができる。ただし、不倫した側がいくら夫婦関係の再構築を図っても、相手が不倫されたことを理由に再構築を拒めば、離婚に至り、慰謝料が発生することになる。夫婦関係の再構築を望めば必ず慰謝料の回避や減額ができるなどと思ってはいけない。不倫がパートナーに与えたダメージが大きければ、離婚を回避できず、通常の慰謝料が発生することになるということを覚悟しておく必要はあるだろう。

8.不倫という罪を犯した後に信頼できるか決断を下すポイント

不倫後のパートナーとどのような関係になっていくことを選ぶのか、今後の在り方について真剣に考えて答えを出す必要がある。この段落では、一度罪を犯したパートナーを再び信頼できるかどうか、最終的な決断を下すためのポイントを紹介する。

8-1.誠実さを見る

パートナーを信頼できるかどうかは、誠実さを確認して決めるようにしよう。誠実さを見るためのポイントは、本人が自分の犯した罪を自覚し、反省しているかどうか、日頃から反省の色を見せているかという点だ。パートナーの態度を見極めるときは、冷静に判断しなければならない。感情的になってすぐに離婚という決断を下さないように気を付けよう。

浮気をしたパートナーの誠実さを確認しながら、「場合によってはこの先離婚するかもしれない」と伝え、早めに離婚に向けた準備をしておくことも効果的だ。誠実さを確認しながらも、何が原因で不倫に至ったのかということも考えてみるといいだろう。話し合いを持つ際は、心の中に怒りがこみ上げていても、表面は冷静を装って相手の話を聞くことが大事だ。冷静に分析する姿勢を見せて、常に優位な立場を保つようにしよう。

8-2.自分が再構築したい気持ちを持っているかよく考える

浮気したパートナーに対して、自分がどのような気持ちを持っているのかを考えることも重要なポイントになる。浮気したパートナーに関係を再構築する誠意があるかということを確認するのも大事なことだが、浮気された側に関係を修復したい気持ちがなければどうにもならない。自分にパートナーとの関係をやり直す気持ちがあるかどうかのほうが大切だ。不倫をして自分の心を深く傷つけたようなパートナーには愛情がまったくなくなってしまったというのでは、関係の修復は困難だろう。

先を考えたとき、不倫したような相手との将来は考えられないというのであれば、離婚という選択肢もありだ。身近な人に相談して、客観的な立場からアドバイスをもらうといいだろう。カウンセリングなど専門家に相談するのもおすすめだ。第三者の立場で話を聞いてくれるため、本音が引き出され、気持ちの整理も楽にできるはずだ。子どものことや経済力のことなど、悩むポイントは多々あるが、自分の気持ちを一番に考えることはとても重要なことだ。

まとめ

不倫をしたパートナーには、それまでの生活を一変させてしまうような大きな罰を与えたいと思うかもしれない。そのぐらいの罰を与えなければ怒りは収まらないだろう。しかし、いきすぎた罰を与えてしまうと、自分自信が罪に問われる可能性がある。パートナーの罪を終わらせるための罰にしなければならない。どのような罰を与えれば自分自身が苦しみから脱却できるかを冷静に考えて最適な罰を与えよう。

監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣

2001年11月
司法書士試験合格
20023月
法政大学法学部法律学科卒業
20044月
中央大学法科大学院入学
20063月
中央大学法科大学院卒業
20069月
司法試験合格
2007年12月
弁護士登録(新60期)
20081月
AZX総合法律事務所入所
20105月
平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
20132月
伊倉総合法律事務所開設
2015年12月
株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
2016年12月
株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
20203月
社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
2020年10月
株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
20216月
社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
20224月
HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)

※2023年11月16日現在

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