その他パートナーの浮気相手を破滅に追い込む事は許される?
パートナー(配偶者)が浮気しているのに気づいたとしたら、あなたはどうするだろう。「パートナーが浮気を認めるのなら今回は許す」という人もいれば、「浮気は絶対に許せないので、1回でも浮気したら即離婚」という人もいるかもしれない。「本音を言えば許せないが、子どもいるので今回に限ってはしぶしぶ水に流そう」と考える人もいるだろう。そのような人以外に、パートナーはたしかに許せないが、それはそれとして、それとは別に浮気相手を破滅に追い込みたい」と憤慨する人もいるのではないか。そこで、このコラムで「浮気相手への復讐」について解説していくことにする。
1.浮気相手への仕返しは「あり」か「なし」か?
「自分のパートナーを浮気相手に奪われた」ととらえれば、『浮気相手に仕返し』をしたいと思う人もいるかもしれない。紀元前にバビロニアを統治したハンムラビ(ハムラビ)王が発布した「ハムラビ法典」に記されたといわれる「目には目を」「歯には歯を」ではないが、「やられたらやり返す」「やられたらやり返してもいい」という考え方じたいはわからないではない。
それはそうだろう。愛する妻や夫を浮気相手に奪われた場合、奪われた本人にしたら許せることではないはずだ。パートナーを奪われた当人の気持ちを考えれば、当然だろう。しかし、だからといって実際は何をやってもいい、何をやり返してもいいというわけではない。『やっていいこと』と『やってはいけないこと』があるのだ。そのあたりについて、次章で説明していくことにしよう。
2.浮気相手への仕返しはやってはいけないと肝に命じる
前章で「やっていいこと」「やってはいけないこと」があると書いたが、基本的に仕返しはすべきではない。なぜなら、それが民主主義であり、法治国家とはそういうものだからだ。法治国家とは国による判断や決定は、国が定めた法律をもとに行われるというものだ。
つまり、「やられたらやり返す」というように、仕返しをすることは基本的に認められないと考えていいだろう。人間の感情を優先して「やり返す」という権利は認められていない、といっていい。江戸時代以前には「あだ討ち」「敵(かたき)討ち」が認められ、いわば「仕返し」「復讐」をする権利が社会的に確保されていたわけだ。とはいえ、それも昔の話。少なくとも現在、ここ日本において「仕返し」や「復讐」が法的に認められているとはいえない。
3.パートナーの浮気相手にやってはいけない「仕返し」
パートナーと浮気をしていたことが許せないからといって、次のような「仕返し」「復讐」は絶対にいけない。ただし、いけないことではあるものの、次に挙げるような仕返しをする人もいないわけではないのである。良くない行為をいくつかピックアップしておこう。
パートナーと浮気をされて絶対に許せないくらい腹が立っているとしても、次のような行動を取るのはいけない。反面教師として目を通し、悪い実例として記憶にとどめておくのがいいだろう。
3-1.浮気相手の職場に知らせてクビになるようにする
パートナーの浮気相手の職場を調べ、浮気について、浮気相手の上司や同僚に知らせるという行為に出る人がいる。自分がつらい目にあったのだから、その仕返しとしてパートナーの浮気相手に恥をかかせたり、職場にいられなくしたりする行動を起こす人が実際にいるのだ。
パートナーの浮気相手が勤める会社に直接出かけていき、浮気をしていることを広めたり、電話や手紙、メールなどで浮気を知らせたりする。その結果、浮気相手が会社に居づらくなったり、退職に追い込まれたりすることを狙って行動するというものだ。
そのような仕返しをしたい気持ちもわからないではないが、はっきりいっておすすめはできない。なぜなら、『名誉毀損罪』に問われる可能性があるからだ。どう考えたとしても、浮気は良い行為とはいえないが、だからといってパートナーの浮気相手に対して何をしてもいい、ということにはならないことを知っておくべきだ。
3-2.浮気していることを浮気相手の配偶者や家族に教える
これも、実は考えがちの行動といっていい。パートナーの浮気によって自分が傷ついたり、自分の家族がつらい目にあったりしたのだからと、相手やその家族にもイヤな思いをさせたいという思いからの行動だろう。気持ちはわからないでもない。自分が味わった気持ちを、相手の家族にも感じさせたいと考えるのは、不自然なことではないかもしれない。
特に浮気相手が若くて未婚である場合、浮気相手の親に浮気の事実を知らせて慰謝料を払うように迫るケースが見受けられる。しかし、これはNGだ。逆に「プライバシーの侵害」や「名誉毀損」で訴えられる可能性もあるからだ。しかも、名誉毀損で相手から慰謝料を請求されることも珍しくない。
浮気相手の配偶者、つまり「自分が味わったようにイヤな思いを、浮気相手の夫(または妻にも)させてやりたい」という感情が芽生えることを抑えるのは難しいかもしれないが、ぐっとこらえるべきだろう。頭の中で「仕返し」や「復讐」を想像するのと、実際に行動を起こすのはまったく別の行為だ。
3-3.SNSに浮気相手の実名を掲載する
Twitter(ツイッター)やFacebook(フェイスブック)、Instagram(インスタグラム)などSNSは一時的な人気というより、一般化しているといっていい。つまり、一部の人だけが利用しているわけでなく、ほぼすべての人が何らかのSNSを使っているといってもいいだろう。
このことが何を意味するか。SNSは公的な場と考えたほうがいいということだ。よって、パートナーの浮気相手の実名をSNS上で暴露したり、浮気していることがわかるような内容を投稿したりしたいと思ったとしても、考えるだけにしておいたほうがいい。
仮にパートナーとの浮気が事実であったとしても、名誉毀損で訴えられる可能性もあり、プライバシーの侵害にもなる。パートナーとの浮気によってイヤな思いをしていたとしても、その事実を広く知らしめてもいいことにはならない。また、もし浮気をしていなかった場合、事実無根の誹謗中傷ということになるので、名誉毀損罪に問われる可能性はいっそう高まるといっていいだろう。
浮気相手の家の近所に、「この人は浮気をしています!」と知らせるビラ(チラシ)を配ったり、貼り紙を掲示したりするような過激な行動に出るケースも見受けられる。そのような行為も、名誉毀損やプライバシーの侵害といった罪に問われる可能性があるので、浮気相手に仕返しをしたいからと軽率な行動は控えるべきだろう。
3-4.パートナーの浮気相手に直接的な危害を加える
パートナーの浮気相手を待ち伏せして暴力をふるったり、相手の家を突き止めて乗り込んだりするような行為はNGだ。相手に危害を加えると『傷害罪』に問われ、殴る・蹴るといった直接的な暴力でなくても、言葉による脅しによって『脅迫罪』などに問われることもある。
どれだけ傷つき、腹が立ったとしても、浮気相手に危害を加えるのは絶対にやめるべき。こっちが被害者だったはずなのに、逆に傷害罪や脅迫罪などに問われることになったら意味がない。パートナーに浮気をされて平静を保つのは容易ではないだろうが、熱くなりそうな気持ちを鎮(しず)め、落ち着いて対応することをおすすめする。
3-5.浮気相手のパートナーと浮気をする!?
これは言語道断だが、世の中にはそのような極端な行動に出る人もいないわけではない。たとえば、自分の夫がどこかの奥さんと浮気をしていたとしたら、その奥さんの配偶者、つまりその奥さんの夫に色仕掛けをし、その夫と自分が浮気をしてしまうというものである。
「目には目を」「歯には歯を」ではないが、「浮気には浮気を」といえばいいだろうか。「手のこんだ仕返し」ということもできるかもしれないが、この方法はまったくおすすめできない。
実際に、浮気相手の配偶者と自分が浮気する仲になるのにも大変な労力がかかるうえに、もしも本当に浮気をする仲になったとしても、仕返しという意味ではまだ不十分かもしれない。「自分のパートナーと浮気をされたから、その仕返しに浮気をしている」ことを相手が気づかないといけないのではないだろうか。つまり、浮気がバレる必要があるのだ。わざとバレるように仕向けるというのも変だが、「パートナーが浮気をされた場合のつらさ」を相手に思い知らせるためには、浮気がバレる必要性が出てくるのではないだろうか。
しかし実際のところ、「浮気に対し、浮気で仕返し」をして浮気がバレた(または、わざとバレるようにした)場合、パートナーの浮気相手に「浮気がバレる」だけにとどまらず、自分のパートナーにも浮気がバレることも十分に考えられる。そうなってしまったら、おそらくもう取り返しがつかない。相手から慰謝料を請求されるかもしれないし、それだけでなく、自分のパートナーに愛想をつかされるなど、大きなトラブルに発展したり、パートナーと破局を迎え、離婚したりすることにつながるかもしれない。
「パートナーの浮気相手と自分が浮気をする」という仕返しは、ドラマや映画、小説などの中では珍しくないかもしれないが、実際にはもっともやっていけない「パートナーの浮気への対処法」といえるのではないだろうか。
4.パートナーの浮気相手に対する合法的な仕返し
良くない仕返しを前章でいくつか紹介したが、パートナーの浮気相手に合法的に仕返しをする方法はあるのだろうか。結論から言えば、ないこともない。それが、パートナーの浮気相手に対する慰謝料請求だ。
浮気や不倫は、一般的に良くないこととされているが、刑法上の犯罪とはいえない。刑法上の犯罪でないということは、平たく言えば、警察に相談しても逮捕してくれるわけではない。ただし、民法上の『不貞行為』にあたり、慰謝料の請求をすることが可能だ。
不貞行為とは、浮気や不倫とイコールだと思われているかもしれないが、微妙に違うといってもいい。ほぼ正解だが、厳密には「配偶者としての『貞操義務違反行為』を意味し、民法第770条に離婚事由として規定されている」法律用語である。貞操義務違反行為とは「自由な意志に基づいて配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」を指す。つまり、結婚している人は、結婚相手以外の人と性的関係を結ぶことは貞操義務違反行為にあたり、その違反行為をした人に、基本的に慰謝料を請求できる。次章では、慰謝料の請求について述べよう。
5.慰謝料の請求先は一般的に3タイプ考えられる
浮気や不倫に関連して慰謝料を請求する場合、請求先は主3種類。それぞれ説明していくことにする。
5-1.浮気相手に慰謝料を請求する
これは、浮気や不倫に関して慰謝料を請求する場合、もっとも一般的なパターンといえるだろう。パートナー(配偶者)と浮気をされたのだから、その浮気相手に損害賠償=慰謝料の請求をするというのは理屈が通っている。
万が一、自分のパートナーが浮気をしたときは、浮気相手を特定し、慰謝料を請求することを考えよう。もちろん、慰謝料を払ってもらったからといって、浮気がなかったことにはならないが、合法的な手段として、パートナーの浮気相手に慰謝料を請求するのは一般的な方法だ。
5-2.パートナー(配偶者)に慰謝料を請求する
「えっ!?」と驚いた人もいるかもしれないが、実際、このパターンもあるにはある。ただ、結婚生活を続けていて、パートナー(配偶者)と経済的基盤をともにしている場合、パートナーが慰謝料を支払うといっても、家計の中でお金が移動しただけともいえる。
そのため、このパターンを選択するのは、離婚を決意した場合が多い。実際にはまだ離婚していないとしても、結婚相手(パートナー)に慰謝料を請求するのだから、浮気をしたパートナーが絶対に許せないと感じていたり、あるいはすでに吹っ切れてパートナーへの愛情がまったくなくなっていたりするケースといっていいかもしれない。
慰謝料をもらって離婚し、新たな独身ライフを始めよう、とすでに次の一歩へ目が向いているポジティブな人が、この選択肢をチョイスすることもあるだろう。
5-3.浮気相手とパートナー(配偶者)の両方に慰謝料を請求する
これも、離婚することになった場合のパターンといっていいだろう。慰謝料は、パートナーの浮気相手とパートナーの双方に請求することもできるが、慰謝料として決定した金額を、それぞれからもらえるわけではないので要注意。2人で分割して、つまり2人合わせてその金額になるように請求することになるのだ。
2人にそれぞれ請求したら、結果的に2倍もらえるのではないか、と勘違いしている人もいるかもしれないが、そんなことはない。
6.慰謝料が請求できない場合もあるって本当?
浮気の合法的な仕返しとして、慰謝料を請求することができる。と書いてきたが、慰謝料は必ず請求できるというわけではない。たとえば、次のようなケースでは慰謝料の請求が認められないので、知っておいてもいいだろう。
6-1.あなたのパートナー(配偶者)が既婚者であること知らなかった場合
既婚者であることを隠して、あなたのパートナーが浮気をしていた場合、浮気相手からしたら「自由な恋愛をしていると思っていた」ということになる。独身者、つまり既婚者でない人どうしの場合、基本的に法的な意味での不貞行為は成立しないからだ。
出会い系サイトやマッチングアプリで知り合った相手と浮気をしていたような場合も、おたがいのことをよく知らずに肉体関係を持った、ということが起こりやすい。そのような場合、「相手が既婚者だとは知らなかった」のであれば、不貞行為は成り立たず、よって「浮気である」という証明もしにくい。
一夜限りの遊びのような関係に限らず、たとえば、同じ会社で何度も顔を合わせる関係であっても、相手が既婚者だと知らなかったようなケースでは、相手からすると「結婚していると知りながら浮気をしていた」ことにならず、そのような場合は慰謝料の請求はできないだろう。
また、お酒を飲んでムラムラし、以前からの顔見知りをふと思い出し、ただ「かわいい」からと久しぶりに連絡を取り、浮気に発展したというような場合でも、相手が既婚者であることを知らなかったのなら、慰謝料の請求は難しい。出会ってすぐであっても、何年も前からの顔なじみであっても、既婚者であることを知っているかどうかがポイントになってくる。
6-2.パートナーとの結婚生活がすでに破綻していた場合
パートナーが浮気をしているとわかったとしても、その時点ではすでにあなたとパートナーの結婚生活が破綻(はたん)していたとしたら、不貞行為とは認められないことになる。
浮気が発覚した時点で、すでに別居していたり、離婚していないまでも夫婦仲が険悪な状態であったりするような場合、慰謝料の請求は認められない。浮気に対する慰謝料請求とはそもそも、円満な夫婦生活を傷つけられたことに対する損害賠償の意味合いから来るもの。よって、円満な夫婦生活がすでに損なわれているような場合、慰謝料の請求ができないのだ。
7.浮気や不倫に対する慰謝料の相場
浮気や不倫に関連した慰謝料は、一概にいくらとはいえないが、一般的には数十万円から、高くて300万円くらいだろうか。いずれにしても、かなり裕福でない場合、経済的な損失は小さくないといえるかもしれない。
ただ、浮気をされた側からすると、自分が味わった苦痛からすると、それなりの金額の慰謝料をもらわないと納得がいかないかもしれないし、相当の金額であっても許しがたいと感じる人もいるだろう。当たり前だ。
慰謝料とは、精神的苦痛を便宜上、金銭に置き換えたといえるもので、パートナーの浮気によって受けた心の傷は、本来は「いくらに換算できる」というようなものではないだろうから。
慰謝料や慰謝料の相場などについては『浮気の慰謝料を請求するには?条件や請求時のポイントを解説!』や 『慰謝料を請求したい!パートナーが浮気していた場合の相場とは』も参考になるかもしれない。
8.浮気相手に社会的制裁を加えたいと思ったら
ここまで読んできてもまだ、パートナーの浮気相手に仕返しをしたい、復讐をしたいと考える人はいるかもしれない。また、パートナーの浮気相手に社会的制裁を加えたい、という思いを抱くのは不謹慎なことではない。そんな気持ちが生じしてもおかしくないほど、浮気をされた側はときに、心に深い傷を負うものだ。
ただし、どれだけ腹が立っても、どれだけ許せないと感じても、直接的な行為によって社会的制裁を加えるのは控えてほしいあなたが傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪などに問われることになったら何にもならないから。
先ほど述べた慰謝料請求は、合法的な仕返しといっていいもの。なるべくなら、浮気に対する慰謝料を請求するという手段を選ぶことをおすすめする。ただし、慰謝料を請求するにも、浮気の証拠があったほうがいいなど、有利にことを進めるにはそれなりの手順を踏むほうがいい。
そこで助けとなるのが、探偵事務所や興信所などに一度、相談してみることだ。浮気調査はもちろんのこと、慰謝料請求の方法や証拠固めなど、経験豊富なプロフェッショナルによるアドバイスは何よりも心強いに違いない。
まとめ
パートナーの浮気相手に仕返ししたい、復讐したい、という思いからここまで読んできた人もいるかもしれない。仕返しをしたいという気持ちは理解できるし、パートナーに浮気された人を応援したい思いもある。ただし、何度も言うように、仕返ししたことによって、罪に問われるのは避けるべきだ。相談無料の探偵事務所などもあるので、まずは問い合わせてみるのがいい。浮気調査などのお願いをするかどうかは、相談をしてみてから決めればいいのだから。
監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣
- 2001年11月
- 司法書士試験合格
- 2002年3月
- 法政大学法学部法律学科卒業
- 2004年4月
- 中央大学法科大学院入学
- 2006年3月
- 中央大学法科大学院卒業
- 2006年9月
- 司法試験合格
- 2007年12月
- 弁護士登録(新60期)
- 2008年1月
- AZX総合法律事務所入所
- 2010年5月
- 平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
- 2013年2月
- 伊倉総合法律事務所開設
- 2015年12月
- 株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
- 2016年12月
- 株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
- 2020年3月
- 社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2020年10月
- 株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
- 2021年6月
- 社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2022年4月
- HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)
※2023年11月16日現在
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