浮気/不倫からの離婚浮気の慰謝料を請求するには?条件や請求時のポイントを解説!
配偶者の浮気が原因で離婚を検討している人もいるだろう。そのような場合は慰謝料をもらえるのが一般的だ。しかし、慰謝料を請求するには条件をきちんと満たす必要がある。慰謝料の計算がどうなっているのかも気になるだろう。そもそも何も行動しないと、結果的に1円ももらえないケースもあるので注意したい。逆に、しっかりと対策を取ることにより、より高額な慰謝料を請求できるケースもあるだろう。ここでは、主に浮気の慰謝料について、もらえる条件や請求時のポイントを詳しく紹介する。
そもそも「慰謝料」ってどんなもの?
「慰謝料」とは、精神的苦痛を金銭に換算し、損害を償うためのものである。浮気によって精神的苦痛を受けた場合も、慰謝料を請求することができる。結婚生活において、相手が違う人と恋愛関係になってしまうことは、残されたパートナーにとっては最大の苦痛であり、大きな悲しみを味わうことになるだろう。その精神的苦痛に対し、浮気をされた立場の配偶者は、浮気をした配偶者、もしくは浮気相手から慰謝料を請求することができる。
しかし、この慰謝料には明確な基準はなく、浮気の状況によって金額が決まるのが一般的だ。例えば、もともと夫婦仲が悪く、お互いが別居状態の家庭で、夫が浮気をしたとする。それが妻に発覚したとしても、それまでの夫婦関係は特に変わらず、離婚もしないといった場合は、浮気が原因で妻に大きな精神的負担が掛かるとはみなされるだろう。そのため、このケースでは慰謝料が発生しなかったり、もらえる額は少なかったりするのだ。
逆に、円満な夫婦生活を送っていたのに、夫が陰で浮気をし、それを知った妻がショックを受けて離婚に至るとする。このようなケースは、妻の今後の人生を大きく変えることにもなり、精神的なショックは大きいとみなされるため、慰謝料の額は増えることが多いだろう。このように、慰謝料を請求できるかどうかは、実際の状況によって大きく左右されるのだ。そして、浮気の慰謝料を請求するには、さまざまな準備や手続きが必要である。悪質な不倫である確固たる証拠や、裁判になった際に提出する書類だ。そのようなものを準備するには、探偵事務所の協力が必要だったり、弁護士に依頼したりするのが一般的だ。浮気の慰謝料を請求する際には、探偵などのプロに依頼することも検討しておこう。
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浮気の慰謝料を請求できる相手
浮気による慰謝料請求は、「浮気をした配偶者」と「浮気相手」の両方に慰謝料を請求できる。例えば、夫が会社の女性と浮気をしていた場合、妻は、浮気をした夫と、その浮気相手の会社の女性に慰謝料請求をすることが可能だ。また、夫に対して許せないという心情が強い場合、夫だけに慰謝料を請求しても良いし、その逆で、女性側だけに慰謝料を要求することもできる。
ただ、注意したいのが、2人に対して慰謝料を請求しても、金額が2倍になるわけではない。仮に、慰謝料請求を行って、その金額が300万円となった場合、双方から300万円をもらえて、合計600万円の慰謝料が手に入るわけではないのだ。請求額が300万円と決まれば、請求している相手の人数に関係なく、慰謝料は300万円までとなる。
そして、結婚していないパートナー(交際中の恋人)が浮気をしても慰謝料は請求できないが、婚約関係や内縁関係が認められる場合は慰謝料を請求できる。婚約をしたあとに彼氏(または彼女)が浮気をして婚約破棄となった場合など、慰謝料を請求できることもある。
ただし、内縁関係が認められているカップルというのは、事実上少ない。同棲して何年かが経過している、というだけのカップルでは、内縁関係が認められないのだ。認められているカップルというのは、夫婦別姓を希望しているので籍は入れていないが、一般的な夫婦生活を長く送っている、といったカップルに限定されることが多く、事実婚ともいわれる。内縁関係も事実婚も、未婚の状態だが、一般に内縁は婚姻届を出したくても何らかの理由で出せない場合を指し、事実婚は自分たちの意志で婚姻届を指す。
また、結婚していなくても、婚約をしたあとに彼氏(または彼女)が浮気をして婚約破棄となった場合、慰謝料を請求できる場合もある。
浮気の慰謝料の相場はどれくらい?
浮気に対する慰謝料の金額は、実際の状況に大きく左右される。そのため、慰謝料の相場を出すのは難しいのだが、一般的には50~300万円となっており、その金額は幅広い。慰謝料が低いケースの理由としては「浮気があっても離婚はしない」「浮気歴が短い」といったことが挙げられるだろう。あくまで事例だが、例えば、夫が上司に誘われたキャバクラで女性と仲良くなり、酔って一夜を共にしてしまったとする。一晩の過ちでだけで済み、夫も猛省して夫婦関係を立て直すことになったとしよう。この場合、たとえ妻が慰謝料を請求しても、少額になるか、慰謝料は認められない可能性もある。
逆に、慰謝料が高額になるケースは、「婚姻歴や浮気歴が長い」「浮気が原因で離婚に至る」といった状況である。例えば、結婚歴20年の夫婦で、妻(嫁)が他の男性と10年にもおよぶ不倫をしていたとする。それが発覚して離婚になった場合、妻の行った浮気は悪質とみなされ、慰謝料も高額になることがあるだろう。しかし、妻が専業主婦といった立場で支払い能力がない場合、慰謝料は減額される可能性もある。このように、浮気に対する慰謝料の金額は、実際の状況に大きく左右されるのだ。
慰謝料の金額を左右するさまざまな事情
基本的に、「婚姻期間が長いほうが慰謝料は高額になる」ことが多い。つまり、結婚1年目といった新婚夫婦よりも、結婚20年目といった婚姻期間の長い夫婦における浮気のほうが、慰謝料は高額になるのだ。これには、理由がさまざまあるが、新婚夫婦のほうが浮気が原因で別れたとしても、まだ若いケースもあって仕事などに就きやすく、人生にやり直しがきくと考えられているためである。次に、浮気相手が「婚姻の事実を知りながら浮気していた」というケースや、「浮気によって子どもができた」といった場合も、慰謝料は高額になる。浮気相手が、もともと既婚者と知りながら関係を持った場合、悪質な不倫とみなされて慰謝料の金額は高くなる傾向がある。そして、浮気相手との間に子供ができた場合も、浮気をされた側としては精神的なダメージが大きく、不倫は悪質とみなされるだろう。
ただし、配偶者が浮気した原因として「自分の落ち度が認められた」場合、請求した金額よりも慰謝料が減額されることもある。例えば、夫婦間において長年にわたり性交渉を拒否していた、といった事実があるとしよう。この場合、浮気をされても仕方ない実情があったとされ、慰謝料は減額されてしまうことも多いのだ。また、浮気をした本人が、すでに社会的制裁を受けている場合も、慰謝料は減額される可能性がある。これは、浮気をしたことが会社に知られ、居場所がなくなって退職を余儀なくされた場合などが、当てはまるだろう。
高額な慰謝料を請求するためのポイント
浮気をされた立場の場合、相手が許せず、高額な慰謝料を請求したいと考える人も多いだろう。高額な慰謝料を請求するためには、まず、不倫が悪質だと示す「客観的な証拠を示す」ことが重要だ。いくら調停で相手のやったことを糾弾しても、客観的な証拠がなければ悪質な不倫とは認められないことも多い。次に、不倫によって「大きな損害を受けたことを主張する」のもポイントだ。相手の不倫により、結婚生活が破綻してしまったり、子供に何らかの影響があったりする場合、不倫が原因で大きな損害を受けたことを主張できる。また、「診断書を取る」ことも有効だ。例えば、浮気が原因で精神的なダメージを受け、「うつ病」などと診断された場合は、浮気が悪質であることを認定することにもなるだろう。
そして、浮気相手の社会的地位が高かったり、収入が多かったりする場合も、高額な慰謝料を請求できる可能性がある。その場合、相手の状況を示す証拠を用意しておくとよい。具体的な収入の数字を把握するのは難しいこともあるが、何の車に乗っているのか、外食ではどのような店を利用しているのかなど、普段の生活状況を把握することで、相手の社会的地位を示す証拠になるケースもあるだろう。
浮気の慰謝料を請求できる条件1:肉体関係の証明
浮気とは、ズバリ、配偶者以外との「肉体関係があったかどうか」が焦点になる。浮気による慰謝料を請求するには、肉体関係があったことを示すのが重要なポイントだ。肉体関係を示す証拠としては、近年ではスマートフォンの普及などもあり、寝室にスマートフォンなどを設置して、浮気している様子の音声や画像を証拠として取っておくケースも増えている。しかし、そのような証拠を残すのは難しいのが現状だ。そのため、肉体関係があったと推測される「間接的な証拠」を集めておくのも良いだろう。
例えば、不倫をしている者同士の「メール」がそれに当たる。「いつもの部屋で待っている」とか「明日は泊まれるの?」など、肉体関係をうかがわせる内容のメールを証拠として取っておくのも有効だ。また、不倫の場所となるホテルや旅館の「領収書」や、いわゆるラブホテルに出入りするときの「写真」なども、肉体関係の証明となる。ただ、これらを用意するには自分一人で行うのには限界があるため、興信所などの利用も検討したほうが良いだろう。ちなみに、浮気による慰謝料請求は、肉体関係を証明できなくても、認められる場合もある。しかし、そのような場合、悪質な不倫とは認められにくく、請求できる金額は少なくなるだろう。高額な慰謝料を請求したい場合は、やはり不倫による肉体関係の証明をしっかりと残しておくのが重要だ。
浮気の慰謝料を請求できる条件2:夫婦関係への悪影響
浮気の慰謝料を請求できる条件として「夫婦関係への悪影響」がある。これは、浮気のせいで夫婦関係が悪化したことを示すことにより、慰謝料が請求できることだ。具体的な夫婦関係の悪影響としては、まず「別居」や「家庭内別居」などがある。浮気が発覚するまでは、夫婦円満で子育てもうまくいっていたのに、浮気が分かった後は、けんかが絶えず、睡眠薬を服用しないと眠れないといったケースだ。また、子供たちにも悪影響が及び、不登校になってしまうなどのケースでは、浮気による夫婦関係への悪影響が認められるだろう。そして、自分がアパートなどに移って別居することより、「住居費」や「光熱費」も必要になる。こうした金銭的なデメリットも、慰謝料請求が認められることにつながるだろう。
また、妻が妊娠中の夫(旦那)の浮気、というのもよくあるケースで、別居や家庭内別居に結びつかなくても、妻が受ける精神的苦痛を考えれば、慰謝料請求の対象となりやすい。
逆に、浮気の事実よりも前から夫婦関係が破綻していれば、慰謝料請求が認められないこともある。浮気をする前から夫婦関係は冷え切っており、会話や性交渉がなかったり、相手が何をしても構わなかったりする夫婦の場合、どちらかが浮気をしても、その後の夫婦関係にさほど悪影響はないだろう。特に、別居や家庭内別居などをしている夫婦の場合は、どちらかが浮気をしても慰謝料請求ができないことが多い。浮気の前にすでに2人が生活を共にしていないような状況ならば、慰謝料請求は認められないこともあるだろう。
浮気の慰謝料を請求できる条件3:確かな証拠の存在
慰謝料を請求するためには、誰が見ても浮気の事実が明確だと言い切れるような、「確かな証拠」を示さなければならない。例えば、浮気を疑う原因として「メール」があるだろう。たまたま相手のスマートフォンをのぞいたところ、浮気を疑うようなメールが届いていたとする。それを見ただけで「浮気だ!」と激高してしまう人も多いが、実際に慰謝料請求となると、そのメールの内容だけでは確かな証拠にならないことも多いのだ。
確かな証拠として認められるものは、ラブホテルを使用したと分かるクレジットカードの履歴や、探偵による調査報告などが挙げられる。もちろん、不倫相手との性交渉の現場を目撃した、となれば確実な証拠になるが、そのようなケースはまれである。そのため、浮気の慰謝料請求をしっかりと行うためには、自分1人では難しいことも多い。浮気の事実を相手に問い詰めれば問い詰めるほど、しらを切られることも多く、その後はさらに慎重に浮気をされて、なかなか確実な証拠がつかめないこともあるだろう。確かな証拠を取るためには探偵事務所などのプロに依頼し、ラブホテルに入るときの写真など、確実な証拠をおさえるのが重要だ。
浮気の慰謝料を請求できる条件4:時効の経過前
相手の浮気が発覚したら、慰謝料を取るためには早めに行動することが大切だ。浮気の時効は「発覚してから3年」となっている。それ以上経過すると、浮気を理由にした慰謝料請求はできなくなる。もう少し分かりやすくいうと、例えば夫の浮気を妻が2010年に知ったとする。そこで、慰謝料を請求しようか、どうやって証拠を集めようかなど、悶々と考えているうちに3年が経過してしまったとする。このようにして2013年を迎えてしまうと、「浮気の時効」が成立し、浮気を理由にした慰謝料請求はできなくなってしまうのだ。慰謝料を請求するのであれば、浮気を知ったあとになるべくすぐに行動したほうが良い。時効の経過前に行動すれば、慰謝料請求につなげることができるだろう。
ちなみに、発覚していない過去の浮気については、20年が経つまでは慰謝料請求ができる。例えば、結婚20年目の夫婦がいて、夫は妻が10年前に不倫をしていたことを知ったとする。10年前のことだから水に流そう、とは思えず、どうしても妻や不倫相手が許せない感情が沸き上がったとしよう。そんなときは、浮気の事実から20年が経過していないので、慰謝料の請求をすることができる。また、離婚後に発覚した場合でも、時効前であれば慰謝料請求は可能である。
浮気の慰謝料請求の基本的な流れ
浮気の慰謝料請求に流れとしては、まず「当事者同士による話し合い」から始まるのが一般的だ。口頭にて「慰謝料を支払え」といってお金をもらう、ということも不可能ではないが、実際には「内容証明郵便」を利用することが多いだろう。この方法は、浮気をした相手に対し、慰謝料を支払ってほしいという要求と、その金額を記載した手紙を送付することである。これにより、相手側から任意に支払ってもらえれば、慰謝料請求は完了となるのだ。
しかし、話し合いで慰謝料の支払いを受けられない場合、裁判を起こすことも可能である。裁判は、浮気があったことや、自分の受けた精神的苦痛などを記載した訴状を出すことにより、慰謝料請求が認められるか審議される。裁判で自分の言い分が認められるためには、浮気をしている客観的な証拠を提出する必要もあるだろう。また、判決が下される前に、「和解」を提案されることも多い。双方の言い分を裁判所が聞き、そのうえで妥協案を話し合い、最終的な慰謝料は和解にて決められることもあるのだ。
配偶者への慰謝料請求1:離婚しない場合
浮気をした妻や夫への慰謝料は請求しつつも、今後も離婚をしないで夫婦関係を続ける事例もある。浮気はされたが、まだ愛情があるので結婚生活は続けたいといった場合がそれにあたるだろう。また、夫婦で事業をしているので、なかなか離婚はできないといった状況のときには、離婚をしないで慰謝料だけをもらうこともできる。このようなケースは、裁判所に「民事一般調停」を申し立てることで、慰謝料請求ができるのだ。離婚しない場合の慰謝料請求の管轄は、「地方裁判所」または「簡易裁判所」となる。地方裁判所は、慰謝料が140万円を超えるケースであり、簡易裁判所は140万円以下の少額な慰謝料の取り扱いとなる。また、調停がまとまらなかったり、調停を利用しなかったりする場合は、慰謝料請求訴訟を提起することになる。
配偶者への慰謝料請求2:離婚する場合
浮気が原因で離婚をする場合、そのときの慰謝料請求に関する管轄は「家庭裁判所」となる。離婚問題も絡んだ慰謝料請求の場合、家庭裁判所へ「夫婦関係調整(離婚)調停」を申し立てる必要がある。浮気トラブルが原因で離婚をする場合、まずは「離婚訴訟だ!」と考える人もいるだろう。しかし、裁判においてはまずは調停を行うことが大事とされており、訴訟の前に調停委員と話し合うことが必須となる。
浮気をした配偶者へ慰謝料を請求するには、家庭裁判所における調停委員を仲介役とし、話し合いで慰謝料請求することになる。話し合いの内容は、浮気の事実確認や、これまでの夫婦関係について、双方の収入に関することや、子供がいる場合は親権についても話し合われるだろう。原則として、訴えた側と、訴えられた側の双方が同席のうえで話し合われることになる。しかし、ドメスティックバイオレンスといった、相手に会いたくない原因も含まれている場合は、状況を考慮して別室になることもある。話し合いがまとまらなければ、離婚訴訟を提起し、離婚と慰謝料請求を同時に行うことになる。
浮気相手への慰謝料請求1:裁判をしない場合
浮気相手への慰謝料請求の方法はいろいろあるが、まずは「裁判をしない」方法を見ていこう。浮気相手が話し合いに応じる場合は、面談をおこなって慰謝料請求することもできる。不倫当事者も含め、3人で話し合いをするケースもあれば、自分と浮気相手だけが会って慰謝料請求をすることも可能だ。しかし、こうした事例はまれであり、当事者同士が集まって話し合いをすることは感情的になることも多いので、あまりおすすめできない。せめて、第三者の立場である弁護士を立ち会わせたうえで、話し合いを進めたほうが良いだろう。
また、話し合いではなく、「内容証明郵便を利用して慰謝料請求する」という方法もある。内容証明郵便は、浮気をした相手に対して慰謝料を支払ってほしいという旨と、その金額を記載した手紙を送付することだ。この内容証明郵便を受けとった相手が、自分の望む通りの金額を支払えば、慰謝料請求は完了となる。しかし、内容証明郵便による慰謝料請求に、すぐに応じる人は少ないのが実情だ。特に、浮気相手の場合は「そちらにも浮気される理由がある」とか、「自分よりそちらの配偶者に慰謝料をもっと請求すべきだ」など、相手なりの主張が強いことも多い。そうなると、満額の慰謝料を受け取れる可能性は少なく、裁判をする必要が出てくるだろう。
浮気相手への慰謝料請求2:裁判をする場合
浮気相手の慰謝料を求めて裁判を行う場合、次のような流れになる。まずは、簡易裁判所で手続きを行い、「民事一般調停を申立てる」ことになる。これは、基本的に、離婚せずに配偶者へ慰謝料請求する場合と同じ流れだ。慰謝料の額が140万円を超える場合は地方裁判所が管轄となり、140万円以下の場合は簡易裁判所で行う。ここで調停委員を介し、双方の話し合いが行われるのが一般的である。調停では双方の言い分を聞き、最終的には合意にて解決させるのが目的であるが、まとまらなかった場合は慰謝料請求訴訟を提起することになる。
また、裁判では、証拠を提示して浮気の事実を明確にする必要がある。それらの資料をもとに、自分自身が被った損害について説明する必要があるだろう。そのため、確固たる証拠がないと、慰謝料請求がうまくいかないケースもある。例えば、不倫者同士のメール画像を証拠として挙げても、当人同士が「メール上では話しているが、実際に肉体関係を持った事実はない」などと否定をすれば、確固たる証拠がないため、悪質な不倫とは認められないケースもあるのだ。そのため、慰謝料をきちんと浮気相手からもらいたい場合は、肉体関係があった事実など、浮気の確たる証拠を事前に集めておくことが重要だ。
浮気の慰謝料請求にかかる費用
浮気の慰謝料請求には、弁護士に相談する費用や、収入印紙代など、必要な費用がいくつかある。まず、裁判所に訴える際には、訴状のほかにも、請求内容に応じた「収入印紙」と、書類関係を送付するための「郵便切手」を納付する必要がある。郵便切手は、合計で数千円程度を目安にしておくと良いだろう。そして、収入印紙に関しては、慰謝料の請求金額によって額が変わる。例えば、請求額が100万円の場合、印紙代は1万円となり、200万円の場合は1万5000円、300万円の場合は2万円となるのだ。請求額が高ければ高いほど収入印紙代も比例して上がることを覚えておこう。
そして、ばかにならないのが弁護士費用である。弁護士費用は、法律事務所などによっても異なるが、大体の目安金額は次のようになる。まず、慰謝料請求に関する具体的な「相談料」は、30分の相談でおよそ5000円、1時間で1万円程度である。また、慰謝料請求依頼時にかかる費用として「着手金」があり、相場は10万~30万円となっている。次に、弁護士が裁判所などへ出向いた際の出張費用、いわゆる「日当」は、1回につき1万~5万円であり、無事に慰謝料をもらえた場合の成功報酬である「報酬金」は、経済的利益の10~20%となっている。
ただ、近年では相談料無料で依頼を受けている弁護士事務所も増えており、実際に掛かる費用にはばらつきがある。また、実際に受け取れた慰謝料の額によってトータル的な弁護士費用を決めている事務所もある。弁護士に関しては、複数の事務所の費用などをあらかじめ比較し、自分にあった弁護士を選んだほうが良いだろう。
浮気の慰謝料請求に弁護士は必要?
慰謝料請求を行うには、特に、弁護士費用が大きくかかることが多い。弁護士費用がなければ、もらえる慰謝料の多くを自分が受け取ることになるので、いっそのこと弁護士はつけずに、自分だけで慰謝料請求を行おうと考える人も少なくはない。しかし、実際のところは、慰謝料請求を行うには弁護士がいてくれないと、難しくて前に進めないことが多いのだ。
まず、浮気の慰謝料請求が成功するかどうかは、「手続きの仕方」や「提出する書類」によって大きく左右される。特に、提出書類は膨大な量になることも多く、どのような書類をどうやって用意すれば良いか、素人には分からないことが多い。また、慰謝料を請求するにあたっても、これだけひどいことをされたのだから〇〇円請求する、という単純なものではない。浮気相手の収入や、浮気内容の状況、精神的苦痛がどの程度あり、家庭にどのような影響を与えたかなどを考慮し、慰謝料は算出されるのだ。
そのような理由を素人が考慮し、書面で用意するのは並大抵のことではないだろう。特に、裁判を起こす場合は、専門的な知識が必要不可欠である。相手側も弁護士がついていることが一般的なので、専門的知識で反論されたら、何も言い返せず、最悪の場合慰謝料をもらえないこともある。こうしたことを踏まえると、確実に慰謝料の支払いを受けるためには、専門家へ依頼したほうが良いのだ。
また、不倫が近所に知られたため移転せざるを得なくなった場合の引っ越し費用、浮気調査のための探偵を依頼した費用などを「示談金」として請求できる可能性もあるので、示談金も含めて弁護士に相談してみるのもいいかもしれない。
浮気の慰謝料請求で気を付けたいこと1:慎重に準備する
浮気の慰謝料請求で気を付けたいこととして、まずは「感情的にならず慎重に物事を準備する」ということがある。例えば、配偶者の浮気を疑った場合、よく見聞きするのが「携帯電話の盗み見」だ。確かに、メールの履歴などから不倫らしき会話を見つけたり、不倫現場の写真が発覚したりすれば、それが浮気の証拠を押さえることにもなるだろう。しかし、携帯電話を盗み見ることは、そもそもプライバシー権の侵害にあたるのだ。相手に確認せずに黙って携帯を調べることは、逆に損害賠償を請求される恐れもある。
また、慰謝料請求の話し合いでよくあるトラブルが「感情的になって相手を殴ってしまった」というものだ。それまで慰謝料請求がスムーズに進んでいたのに、相手からの何気ない一言でカッとなり、つい相手を殴ったり脅迫したりするケースだ。このような行為に及んでしまうと、脅迫罪や暴行罪に該当する可能性もある。そして、殴った事実を相手にとって好都合とばかりに普段からDVのトラブルがあったなどと言われてしまうと、慰謝料が減額されるなど相手にとって優位な状況に動く可能性も高い。慰謝料請求では、つい感情的になって物事を動かしてしまうこともあるが、結果的に自分にとって都合が悪くなることが多い。慰謝料請求では感情的にならず、慎重に準備をすすめていこう。
浮気の慰謝料請求で気を付けたいこと2:経済状況も考慮する
浮気の慰謝料請求においては「相手の経済状況も考慮」したほうがよい。つまり、慰謝料を請求された側の事情も無関係ではないということだ。いくら高額な慰謝料請求が認められたとしても、相手側に支払い能力がない場合、結果的にお金が受け取れない可能性もあるのだ。例えば、妻が浮気をして、夫が妻と浮気相手に対して慰謝料請求を行ったとする。不倫で子供もできたといった悪質なケースの場合、慰謝料は300万円ほどもらえることもあるだろう。しかし、妻はもともと専業主婦で、支払い能力がなかったとする。しかも、浮気相手が多重債務者といった場合は、300万円もの慰謝料を支払うことはほぼ不可能であろう。
こうした場合は、相手の預金口座などの情報を押さえておくことで、強制執行による慰謝料の受け取りもできる。ただ、もともと借金があるといった人の場合、一括で300万円もの大金を支払うのは無理があり、分割払いにて支払われることも多い。そうなると、お金が振り込まれる期間は長期に渡り、お金が振り込まれるたびに、浮気のトラブルを思い出すことにもなるのだ。慰謝料が支払われないといった長期のトラブルを抱えた場合、訴えた側の夫にとっても、精神的苦痛は大きくなる。そのようなことを考えると、最初から相手の経済状況も考慮し、一括でもらえるだけの金額に抑えて慰謝料請求をした方が、自分にとって良いこともあるだろう。
浮気の慰謝料請求で気を付けたいこと3:早期解決を意識する
慰謝料請求では、なるべく「早期解決」を目指すことが大切である。浮気した配偶者が許せない、浮気相手のお金を取ってやりたい、そう意気込んで、多額の慰謝料を請求しようとする気持ちは分かる。しかし、慰謝料請求の話し合いや裁判が難航すると、弁護士費用や手続きにかかる費用が増えてしまう。そうなると、実質的に取得できる金額は少なくなってしまうのだ。例えば、浮気をした相手から、どうしても200万円を請求したいとする。しかし、相手側はいろいろと理屈をつけて100万円で抑えようとする。それが納得できず、裁判を起こすとしたら、その分だけ弁護士費用などが増えるのだ。
特に、弁護士が裁判所などへ出向いた際の「日当」は、1回につき5万円ほどかかることもあり、2日裁判が伸びた場合の負担は10万円にもなる。意地になって長期の裁判を行い、相手から200万円の慰謝料を勝ち取ったとしよう。しかし、結果的には弁護士費用や手続きにおける費用がかさみ、実際に手にした金額はたったの数万円といった事例もある。慰謝料請求に関しては、できるだけ状況を客観的に判断し、なるべく早くに慰謝料の支払いが済むような請求をすることも大切である。
まとめ
浮気による慰謝料請求をするには、しっかりと準備を整えて条件を満たすことが大切だ。浮気相手の情報や証拠をきちんと集めることができれば、より高額な慰謝料請求ができる場合もあるだろう。ただ、浮気についての情報集めは、自分だけの力では難しいため、探偵に依頼すると確実である。慰謝料請求を検討するときは信用できる専門家の力を借りて、確実に慰謝料を受け取れるようにしよう。
監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣
- 2001年11月
- 司法書士試験合格
- 2002年3月
- 法政大学法学部法律学科卒業
- 2004年4月
- 中央大学法科大学院入学
- 2006年3月
- 中央大学法科大学院卒業
- 2006年9月
- 司法試験合格
- 2007年12月
- 弁護士登録(新60期)
- 2008年1月
- AZX総合法律事務所入所
- 2010年5月
- 平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
- 2013年2月
- 伊倉総合法律事務所開設
- 2015年12月
- 株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
- 2016年12月
- 株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
- 2020年3月
- 社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2020年10月
- 株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
- 2021年6月
- 社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2022年4月
- HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)
※2023年11月16日現在
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