浮気/不倫の調査自分で浮気調査するのは危険?違法な調査方法とは?
パートナーに浮気の気配を感じた時、それが事実かどうかをすぐにでも自分で確かめて、素性調査したい、白黒はっきりさせたいと思うのは自然な心理だろう。しかし、浮気調査には様々な法的制約があり、違法性について知らない人が自分で調査をすると法律を犯すようなことをして罪に問われたり、相手から訴えられたりすることにもなりかねない。 また、調査のプロとしての資格を持つ探偵とは違い、一般の人には認められていない調査手法がある上、時間をかけても浮気の証拠がつかめなかったり、相手に気づかれてすべてが水の泡になってしまう恐れもある。そういう事態を回避するには、法律の基礎知識をしっかり頭に入れて、一線を越えないようにしなければならない。浮気調査が違法になるケースや違法調査を行った時のリスク、プロの探偵に調査を依頼するメリット、違法調査をしそうな危ない探偵の見分け方などを紹介する。
浮気調査が違法になるケース
浮気の調査をするということは、個人の秘密を探り出すということでもある。そのため、本人に断りなく、個人情報を盗もうとすれば、個人情報保護法違反やプライバシーの侵害になりかねない。また、浮気調査に限らず、他人の平穏な生活を脅かすような無茶な行動をすれば、探偵であろうと一般人であろうと、罪に問われるのは当然の話だ。浮気調査をする上で、違法と見なされる可能性がある行為について取り上げる。
スマホのロックを解除して中を見る
浮気の疑いを持った時、パートナーのスマホのメールなどをチェックすることを誰しも考えるだろうが、いくら夫婦であっても勝手にスマホのメールを盗み見るのはプライバシーの侵害に当たる。特にロックがかかった状態を、不正な方法で解除した場合は問題だ。ただし、スマホにロックがかかっていなかったり、あらかじめパスワードを教えてもらっているような場合は、大目に見てもらえるのが通例のようだ。
しかし、ネットを介して不正にパスワードを入手し、パソコンやスマホのロックを解除した場合は、不正アクセス禁止法違反の罪に問われる可能性がある。例えば、GoogleアカウントやYahoo!アカウントの履歴からパスワードを入手して、スマホのロックを解除したり、ラインやカカオトークといったSNSにログインしたりすると不正アクセス禁止法に抵触することになるので、十分に注意しなければならない。
パートナーの持ち物にGPSを仕掛ける
GPSは、パートナーの行動や位置情報をチェックし、浮気の事実を突き止める上で非常に有力なツールになるが、パートナーのカバンや衣類に無断でGPSを仕込むのは、プライバシーの侵害になるし、状況によってはストーカー規制法に引っかかる恐れもある。ただし、パートナーが車で浮気相手と密会している場合、その車が家族で使っているものであれば、車にGPSを取り付けるのは許される。夫婦共有の財産にGPSを設置するのは、違法にはならないのだ。
しかし、パートナーと別居しているような場合は、パートナーが載っている車にGPSを取り付けるのは違法行為になる。また、共有車であっても、第三者に頼んでGPSを取り付けさせるのは許されない。GPSを使う場合は、探偵社などから機器を借りて自分で設置するか、自分の立ち会いの下で探偵に設置させるようにしよう。
GPSアプリを勝手にインストールする
スマホのGPS機能を使ってパートナーの行動を監視しようとする人もいるだろう。iPhoneなら「Find iPhone(iphoneを探す)」、Androidスマホなら「Androidデバイスマネージャー」など、スマホには端末を紛失した時に探し出すことができるアプリ(無料)が搭載されている。これを利用すれば、パソコンを使ってスマホの現在位置を知ることができるため、パートナーがラブホテルなどにいたりしたら、すぐに浮気がバレてしまう。しかし、パートナーのスマホを無断で操作して、これらの機能設定をオンにするのはプライバシーの侵害だ。
また、最近ではさらに強力なアプリが出回っている。特に有名なのは「ケルベロス」で、GPSで現在位置のチェックや移動した経路の記録ができるだけでなく、パソコンからスマホの録音機能やカメラ機能も遠隔操作することができる。まさに浮気調査のためにあるようなアプリだが、これをパートナーのスマホに勝手にインストールして使用すれば、プライバシーの侵害では済まされない。不正アクセス禁止法違反や不正指令電磁的記録供用罪など重い罪を犯すことになるのだ。
盗聴器を取り付ける
自宅や家の車に盗聴器を仕掛けたり、ボイスレコーダーやICレコーダーを忍ばせたりして会話を録音することは罪にはならない。日本には、盗聴行為を取り締まるための法律がないからだ。しかし、電話回線に盗聴器を仕掛けて会話を傍受する行為は、夫婦であっても許されない。相手の同意なく電話の内容を盗み聞いた場合は、有線電気通信法違反に問われる可能性がある。また、浮気相手の行動を探るために、相手の家に忍び込んで盗聴器や監視カメラを設置したりすれば、住居侵入罪で罰せられることになるだろう。
尾行や張り込みをする
パートナーが浮気相手とホテルに出入りしているシーンなどを上手く撮影することができれば、浮気の事実を裏付ける決定的な証拠になる。そのため、探偵のように自分で尾行や張り込みを行って、パートナーの浮気を暴きたいと考える人もいるだろう。確かに、浮気の証拠をつかむために夫婦間で尾行や張り込みをするのは違法ではない。しかし、相手に気づかれないようにしながら、自分1人で長時間にわたる尾行や張り込みを1日中に渡って行うのは至難の業だ。どこまで近づいてよいかの判断も難しいし、体力が続かない場合もあるだろう、トイレに行きたくなっても交代してくれる人もいないのだ。東京駅に来たと思ったら、関西方向の新幹線に乗ってしまった! 列車の到着先だけでは大阪で降りるか京都かはわからない。
それなら友人に手伝ってもらえばいいと思うかもしれないが、尾行や張り込みを第三者が行うと、プライバシーの侵害に問われる可能性が出てくる。結果的に、友人に大きな迷惑をかけてしまうこともあるので、安易に巻き込むべきではない。また、浮気相手ではないかと疑われる人物であっても、パートナー以外の人を尾行したり張り込んだりすると、ストーカー規制法や迷惑防止条例違反で相手に訴えられる恐れもある。また素人が尾行や張り込みをしても、その行為がバレる可能性が高い。相手にわかってしまっては大失敗、元も子もない。
無断で相手の家に入る
パートナーのスマホを盗み見て、メールやLINEのやり取りなどから浮気相手の存在を知った時、何としてでも真相を確かめて白黒はっきりさせたいという気持ちになるのは無理もないことだ。パートナーが浮気相手の家で密会しているような気配がある場合は、家の中の様子がわかれば浮気の事実を突き止めることもできるだろう。しかし、浮気相手の家を四六時中見張っているわけにはいかないし、近所の人に怪しまれるかもしれない。思い余って、無断で家に忍び込み、浮気の証拠を探したり、盗聴器を仕掛けたりする者もいるのだ。
前にも触れたように、人の住居に侵入するのは立派な犯罪だし、盗聴器を発見されたら警察に被害届を出されるリスクもある。さらに、盗聴器を仕掛ける際に、調度品を壊したり改造したりすると器物損壊罪というオマケまでつくので、絶対にやってはいけない。
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違法調査をしたらどうなるか
これまでにお伝えしてきたように、GPSにしても仕掛ける人や設置場所によって違法かどうかの判断が異なるし、グレーゾーンの行為などもあって線引きが難しい。しかし、司法の判断によって浮気調査の方法が法律違反と見なされたら、罪に問われるリスクがあるし、慰謝料などの請求で裁判になった際に、不利な立場に立たされるケースもある。ウソを見破るつもりでも、不利な立場になることもある。違法な調査に対して科される処罰やペナルティについて、具体的に見ていこう。
プライバシーの侵害
プライバシーとは、個人の私生活の事実や公開されたくない事柄、未公開の事柄を指し、プライバシーをみだりに第三者に公開されない権利のことを「プライバシー権」と呼ぶ。正当な理由もなく私生活の事実を暴き、相手に精神的苦痛を与えた場合は、プライバシーの侵害と見なされる可能性があり、人のスマホの内容を盗み見たり、持ち物にGPSを仕込んだり、浮気相手を付け回したりする行為もそれに該当する。
プライバシーの侵害には刑事罰はないが、民法上の責任を追及することができ、損害賠償の対象となる。侵害されたプライバシーの内容によっては、100万円を超える請求が認められるケースもある。さらに、口コミで聞いたかのように「この人は浮気している」などと浮気相手のことをネットに書き込んだりして、他人の名誉を傷つけると名誉毀損罪に問われ、有罪になれば3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が科される。
個人情報保護法違反
個人情報保護法は、個人情報の有用性は活かしつつ、その不正利用を防ぐために作られた法律だ。ここで言う「個人情報」とは、氏名、生年月日、住所、顔写真などにより特定の個人を識別できる情報を指す。浮気相手と思われる人のことについて、近所の人にしつこく尋ねたり、相手の勤務先に電話をするなど、相手の情報を無理やり手に入れようとすると、個人情報保護法違反に問われるのだ。その場合、刑事罰の対象ともなり、1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科される可能性がある。
不正アクセス禁止法違反
IDやパスワードを不正に入手して、他人のパソコンやスマホのロックを解除したり、そのID・パスワードでSNSなどのサービスにアクセスすると不正アクセス禁止法違反になる。不正に他人のパスワードを取得した場合は、1年以下の懲役または50万円以下の罰金、ID・パスワードを使って勝手にアクセスした場合は、3年以下の懲役または100万円以下の罰金だ。
また、他人のスマホに無断で遠隔操作やGPSのアプリなどをインストールすると、不正指令電磁的記録供用罪に問われる可能性がある。この法律は、コンピュータウイルスを作成・利用して、パソコンやスマホの使用者が意図しない動作をさせるような行為を防ぐためのもので、有罪になれば3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科せられることになる。
有線電気通信法と電波法
自分の家や車に盗聴器を設置し、会話を聞くのは違法ではない。しかし、電話やメールによる個人や企業間でのやりとりなどの「通信の秘密」は守られなければならないことが、法律で定められている。そのため、有線の電話回線に盗聴器を仕掛けて会話を傍受すれば、有線電気通信法違反になり、1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科せられる可能性がある。これに対し、携帯電話やコードレス電話は無線式の通信手段なので、盗聴しても有線電気通信法違反にはならない。ただし、無線通信を盗聴して知った内容を第三者に漏らすのは、電波法に違反する行為となり、同じく1年以下の懲役または20万円以下の罰金を科せられる。
住居侵入罪
住居侵入罪は、現行犯逮捕だけでなく、令状なしで警察官が容疑者を緊急逮捕することもできる重大な犯罪で、起訴されれば3年以下の懲役または10万円以下の罰金を科される危険性がある。ここで言う「住居」とは、一軒家や集合住宅の建物内はもちろん、塀で囲われた敷地内や庭、ベランダ、ホテルの部屋なども含まれ、そこに盗聴器や盗撮カメラを仕掛けるために、住人・管理人の許可なく立ち入ると、住居侵入罪に問われることになる。住所以外でも、盗撮目的などでビルやレストランに忍び込んだ場合は、建造物侵入罪が成立する。
また、盗聴器や盗撮カメラ、発信機を設置するために、家具に穴をあけたりコンセントを壊したりすれば、器物損壊罪になる。器物損壊で科される罰は、3年以下の懲役または30万円以下の罰金だ。
入手した証拠が裁判で使えない
浮気が原因で精神的な苦痛を受けた場合、浮気相手に慰謝料を請求できるし、パートナーが離婚を拒否しても裁判に訴えて離婚を請求することができる。しかし、裁判で勝つためには、浮気を裏付ける証拠を請求者側が提出しなければならない。その際、パートナーと浮気相手の密会現場を撮影した写真や、メールやLINEなどのやりとりも、浮気の証拠になり得るが、それが違法な手段で入手したものであることがわかると、裁判所が証拠として認めないケースもある。住居への不法侵入など、刑事罰の対象になるような行為をしたのであれば、なおさらのことだ。浮気問題を速やかに解決するためにも、違法な調査をすることは絶対に止めなければならない。
探偵に調査を依頼するメリット
浮気調査を自分でしようとすると、様々な制約やリスクがあることがわかった。一方、探偵は、「探偵業法」という特別な法律に基づいて業務を行うことになっており、公安委員会に正式に届出をすれば、一般の人には許されない調査方法も駆使することができる。また、探偵業法では、探偵がやってはならないことなども細かく定められているため、そのルールを順守している探偵であれば、違法な調査に手を染めることもない。
高度な調査スキルと専門的な法律の知識を身に着けたプロの探偵は、合法的な手段で浮気の事実を確実に突き止め、依頼主に不利益をもたらすこともないはずだ。探偵に浮気調査を依頼することにどのようなメリットがあるのか、紹介しよう。
探偵の尾行や張り込みは違法ではない
最初にお伝えしたように、友人などに頼んでパートナーや浮気相手を尾行したり張り込みをしたりすると、プライバシーの侵害になるだけでなく、ストーカー規制法や迷惑防止条例違反で訴えられるリスクがある。一般の人が他人の尾行・張り込み調査を行うことは、基本的に許されていないのだ。それに対して探偵は、探偵業法によって、他人からの依頼を受けて面接による聞き込みや尾行、張り込みなどの調査を行ってもいいことが認められている。つまりは、探偵業法をきちんと守っている探偵に調査を依頼すれば、合法的に調査を進めることができ、依頼主がトラブルに巻き込まれる心配もないわけだ。
裁判で使える証拠を集められる
浮気相手に対する慰謝料請求やパートナーに対する離婚請求をするためには、浮気の事実を裏付ける証拠を用意しなければならない。浮気の証拠として認められるものは様々あるが、特に有力なのがパートナーと浮気相手がラブホテルに出入りしているシーンをカメラやビデオで撮影した映像だ。ラブホテルは性行為をするための場所なので、そこを利用したということは、パートナーと浮気相手が肉体関係を持っているという決定的な証拠となる。
このような決定的なシーンをとらえるには、長時間にわたる尾行や張り込みを行い、暗がりの中でも2人の顔や行動がはっきりわかるように撮影をしなければならない。一般の人には困難な作業でも、高度な専門スキルと高性能の撮影機材を備えたプロの探偵なら難なくこなせるはずだ。
気づかれることなく調査できる
自分の夫や妻が尾行をしていれば、途中でバレてしまう確率は非常に高くなる。しかし、探偵なら顔を知られていないし、通常1チーム2人以上の体制で調査に当たるため、入れ替わりながら尾行や張り込みを行うことで気づかれるリスクを抑えられ、ターゲットを見失うことなく調査を進められる。
また、パートナーが浮気していることを他人に知られたくないと思うのは当然の心理だが、正規の探偵は、探偵業法や個人情報保護法にのっとって業務を行っており、調査の過程で入手した情報を口外してはならないことになっている。この守秘義務は、探偵事務所で働いている現職の従業員だけでなく、事務所を辞めた従業員にも適用される。さらに、調査データは鍵のかかる保管庫やセキュリティ対策が講じられたパソコンで保管し、一定期間後シュレッダーで廃棄するので、情報が漏洩する心配はないと考えていいだろう。
早期に問題解決ができる
スタッフが充実し、調査体制が整っている大手の探偵社であれば、教育にも力を入れているため、高い専門スキルを身につけた探偵が揃っており、早期に浮気の事実を突き止めることができる。特に、あらかじめターゲットの行動パターンや行き先がわかっているような場合は、短期間で調査を完了できるが、中には難易度の高い案件もある。しかし、そのような場合にも、豊富な経験とスキルを備えた探偵であれば、ターゲットの行動を予測し、最も効率的な調査プランを立てて浮気の証拠を押さえるだろう。また、データ解析やネット捜索の専門スタッフを置いている探偵社もあり、浮気の手がかりを迅速につかんで調査に活かすことができる。
アフターフォローがある
調査によって浮気の証拠をつかむことができたとしても、そのあと何もフォローがなければ、この先どうしていいのか、途方に暮れてしまう依頼者もいるだろう。その点、大手の探偵社であれば相談員なども配置していて、つかんだ証拠を使ってパートナーや浮気相手に対してどんなアクションを起こせばいいのか、過去の事例も参照しながら、経験に基づいたアドバイスをしてくれるはずだ。
また、離婚するかどうか悩んでいるのなら、離婚カウンセラーに相談する方法もあるし、離婚調停や慰謝料の請求などを行う際は、その手続きについて弁護士にレクチャーを受けるとともに、裁判になったら代理人としてサポートしてもらうことも必要になる。そういう時に、探偵社のアフターフォローがあれば、カウンセラーや弁護士探しに困ることもないだろう。
違法行為をする恐れのある探偵
多くの探偵は誠実に業務を行っているが、中には探偵業法を守らない悪質な探偵も少数ながらいる。間違ってそのような探偵を選んでしまうと、高額な料金を取っておきながらまともな調査をしなかったり、手っ取り早く証拠をつかむために違法な手段を使ったりすることも考えられる。そうなれば、大金をドブに捨てることになるばかりか、依頼主まで罪に問われることにもなりかねない。こうしたリスクを避けるためには、探偵の対応や調査方法などをよく確認し、信頼できる事務所を選ぶことが重要だ。危ない探偵を見分けるチェックポイントをピックアップする。
探偵業の届出をしていない
繰り返しになるが、探偵は探偵業法という法律に従って業務を行わなければならず、探偵業を営むには公安委員会にその届出をしなければならない。逆に言うと、探偵業の届出をしていない業者は、探偵の看板を掲げているだけで実際は無許可で探偵業務を行っていることになる。一般の人が尾行や張り込みをすることは許されないので、そのような偽探偵に浮気調査をさせること自体がそもそも違法だ。
法律を守って届出が行われていれば、公安から探偵業届出番号が割り当てられるとともに、「探偵業届出証明書」が交付され、探偵はその証明書を事務所内の見やすい場所に掲示することが義務付けられている。事務所を訪れた際には、証明書が規定通りに掲示されていることを確認しておく必要があるし、自社サイトの拠点紹介ページなどに証明書と届出番号を掲載している探偵社もあるので、事前にチェックしておきたい。これは注意点のNo.1と言える。
探偵業法を守らない
探偵業法には、探偵が守るべきルールが細かく定められている。調査の目的にしても、ストーカーや犯罪者を手助けするようなものは許されていないので、依頼の目的も確かめずに何でも引き受けるような探偵は避けるべきだ。また、手っ取り早く調査を済ませるために、ターゲットの持ち物にGSPを仕込もうとする探偵も信用してはならないし、聞き込みの際に警察や弁護士などと身分を偽るのも違法調査となる可能性がある。
ましてや、浮気相手の家の敷地に忍び込んで盗聴器や盗撮カメラを仕掛けるなどの行為はもってのほかだ。違法な調査と知っていながら、探偵の口車に乗ってそれを許せば、依頼者自身も法の裁きを受けなければならなくなることをしっかり認識しておかなければならない。
別れさせ工作をする
「別れさせ工作」とは、カップルを別れさせるために、交際相手に別の異性を接近させて誘惑するもので、世の中にはこの仕事を専門に請け負っている「別れさせ屋」も存在する。別れさせ工作は、違法行為ではないものの、公序良俗に反するグレーな業務と言えるのでおすすめしかねる。しかも、結婚していないカップルに別れさせ工作を仕掛けるのとは違い、浮気しているとはいえ既婚者であるパートナーを誘惑して親密な関係になるのは、夫婦の貞操義務を侵害する不法行為だ。
一部の探偵や調査業者が、業務の一環と称して別れさせ工作を行っているケースもあるが、まともな探偵であればそのような仕事を引き受けることはないので、もし別れさせ工作を勧められ、それを受け入れてしまったりすると、後々大きなトラブルになることも十分考えられる。
行政処分を受けている
公安委員会は、探偵が探偵業法を守って適正な業務をしているかどうかをチェックするために、報告や資料の提出をさせたり、立ち入り検査をしたりする。そして、法律に違反していることがわかれば、その業者に対して行政処分を行うことができる。行政処分には、「指示」「営業停止」「営業廃止」の3つがある。「指示」は、その中で最も軽い処分で、違反を行った探偵に、必要な措置を取るように命じるものだ。次に重いのが、「指示」に従わなかったり、適正な業務運営に重大な支障が出るような違反をした営業所に対する「営業停止」処分で、6カ月以内の定められた期間中、探偵業務の全部または一部を停止しなければならない。
「営業廃止」は行政処分の中で最も重く、犯罪者や破産者、暴力団員などが探偵業を営んでいた場合に適用される。営業廃止処分を受けた者は営業許可を取り消され、その後一切探偵業務を行うことができない。また、これらの処分を受けた業者は、3年の間、公表されることになっている。事務所の所在地の警察や公安委員会のホームページに、業者の名前や処分内容が掲載されるので、事務所選びの際にチェックしておきたい。
料金が安すぎる
ホームページなどで「格安料金」を謳っている探偵事務所も要注意だ。前にもお伝えしたように、ターゲットに気づかれずに確実に浮気の証拠をつかむには、2人以上の探偵がチームを組んで調査を行わなければならないため、それなりの費用が掛かる。調査員1人あたり1時間の料金としては、7000円~1万円といったところが相場だが、それに比べてあまりにも安い料金を掲げている場合は、まともな調査をする気がなかったり、見積もりを安くしておいて後から高額な追加料金を請求してきたりする疑いがある。クレジットカード払いができない探偵事務所も、信用面で問題がある可能性があります。
また、そもそも調査能力が低く、低料金だけを売りにしていることも考えられ、そういう探偵事務所に調査を依頼してしまうと、前払いや即日払いで料金を全額支払わされた挙句、何の成果も得られず、返金にも応じないという羽目になる。そのようなトラブルを避けたいなら、調査費用の後払いが可能な探偵事務所を選んだ方がいいだろう。
きちんと説明しない
最初の相談の際に、すぐに契約させようとする探偵事務所もある。実際には浮気の可能性が低いのに、調査の必要性や調査方法、料金システムについてきちんと説明もしないまま、「早く調査を始めなければ手遅れになる」などと言って依頼者を不安にさせ、契約を急がせるのだ。そういう時は、その場で返答することは避け、いったん話を持ち帰って他社からも見積もりを取った上で結論を出そう。
また、探偵業法では、契約の際に調査費の概算と支払方法、契約の解除、秘密保持などについて記した「重要事項説明書」を依頼主に渡し、その説明をすることが義務付けられている。書類に不備が目立ったり、いい加減な説明しかしないようであれば、契約を考え直した方がいいかも知れない。
調査を引き延ばそうとする
良心的な探偵なら、浮気の状況や依頼主の希望をじっくりと聞き、それに合わせた最適な調査プランを提示して、依頼主が納得した上で調査を開始するはずだ。また、調査の過程でも、進捗に応じて適宜依頼主に中間報告を行うだろう。ところが、不誠実で調査能力も低い探偵は、行き当たりばったりの調査をした上に、上手くいかなくなれば依頼主の同意も得ずに勝手に調査を延長しようとするし、中には調査が難航しているように見せかけて、わざと引き延ばしを図る悪質な業者もいる。
そういう業者の言いなりになっていると、雪だるま式に追加費用が膨らんでいき、高額な料金を請求されることにもなりかねない。調査を引き延ばそうとする姿勢が見えた時は、それまでにどのような調査を行い、どんな進展があったのかをきちんと報告させ、説明に納得がいかなかったらすぐにでも調査を打ち切ろう。
まとめ
パートナーに浮気の疑惑がある時、自分の手で事実を確かめたいと思う人もいるだろう。しかし、一般の個人が浮気調査を行う場合、様々な法的制約があり、それを知らずに行動すると、プライバシーの侵害や個人情報保護法違反などの罪に問われる可能性がある。被害を受けた相手から訴えられれば、罰金や懲役まで覚悟しなければならない。また、違法な手段で入手した証拠は、裁判所から無効とみなされ、慰謝料の請求などもできなくなる。 一方、探偵業の届出をしている正式な探偵であれば、尾行や張り込みをすることが許されており、合法的な手段で浮気の証拠をつかむことができる。ただし、中には探偵業法を守らず、違法な調査をしたり、詐欺まがいのことをしたりする探偵もいるので注意が必要だ。法律の基礎知識を身に着け、悪質な探偵業者に引っかからないようにしよう。
監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣
- 2001年11月
- 司法書士試験合格
- 2002年3月
- 法政大学法学部法律学科卒業
- 2004年4月
- 中央大学法科大学院入学
- 2006年3月
- 中央大学法科大学院卒業
- 2006年9月
- 司法試験合格
- 2007年12月
- 弁護士登録(新60期)
- 2008年1月
- AZX総合法律事務所入所
- 2010年5月
- 平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
- 2013年2月
- 伊倉総合法律事務所開設
- 2015年12月
- 株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
- 2016年12月
- 株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
- 2020年3月
- 社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2020年10月
- 株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
- 2021年6月
- 社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2022年4月
- HRクラウド株式会社、
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※2023年11月16日現在
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