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その他マザコン夫が家庭崩壊を招く?上手く別れる方法は?

マザコン夫とその母親

世の男性の中には、母親に強いこだわりや依存心を持つマザーコンプレックス、いわゆる「マザコン」がいる。もちろん、息子が母親思いであること自体は悪いことではないが、社会人になってからも母親に依存し続けるのは問題だし、妻を差し置いて母親の意見にばかり従っているような夫であれば、夫婦生活にも支障をきたしてしまうだろう。 住宅・不動産関連ポータルサイトを企画・運営する㈱オウチーノの調査によると、約23%の女性が「彼氏や旦那がマザコンだと感じたことがある」と答えている。マザコン夫の多くは、自分がマザコンだという自覚がないため、その態度を改めさせるのもなかなか難しい。嫁姑の仲が上手くいっていないのであれば、深刻なトラブルが起きる可能性も十分に考えられる。 そういう事態になるのをどうやって防げばいいのか? マザコン夫の特徴や、うまく付き合う方法、努力しても結婚生活を続けられない場合のマザコン夫との別れ方などを紹介する。

マザコン夫の特徴と問題点

マザコンとは、具体的にはどんな性格・態度のことを言うのだろう? マザコンは、表面的にはわかりづらいケースもあり、世間からは「母親思いのいい旦那さん」と見られていても、家庭にさまざまなトラブルの種を持ち込むマザコンの旦那だったりすることも珍しくない。自分の夫がマザコンなのかどうかを早く見極めて、適切な対処をしないと、義母に家庭の実権を握られて振り回され続けることにもなりかねない。

単に母親を大切にしているだけの親孝行な夫とマザコン夫との違いや、マザコン夫が持つ特徴、それによってもたらされる問題などをピックアップして、チェックしてみる。

マザコンと親孝行の違い

普通の孝行息子とマザコンの違いは、母親から自立しているかどうかだ。自立している成人男性なら、母親のことは大切にしながらも、自分の意思で決断し、行動しようとする。一方、母親に依存している男性は、何か困ったことがあると、自分で解決しようとせずに母親を頼ってしまうし、本当なら自分自身で下さなければならない人生の重要な決断も母親任せにしてしまったりする。母親との関係が深いといっても意味が違うわけだ。

そのため、結婚してからも、マザコン男性は家族全員の将来に関わる重要問題であっても、まず母親に意見を求め、それに従って行動しようとする。自立している男性であれば、妻や子供のことを第一に考え、母親が間違った意見を言えば、きちんと反論するはずだ。

母親に判断を任せる

「何事も母親に相談しなければ決められない」というのが、マザコン夫の特徴の1つだ。もちろん、判断に迷った時、人に相談するのは悪いことではないし、自分が悩んでいる問題について、詳しい知識を持っている人なら適切なアドバイスをしてくれるだろう。

しかし、自分の家庭の問題であれば、まずは家族に相談するのが道筋だ。特に自宅の購入や子供の進学など、重要な事項であればあるほど夫婦でしっかり話し合って決めなければならない。ところが、マザコン夫はそのような事項についてまで真っ先に母親に意見を求め、勝手に結論を出してしまったりするし、夫婦で決めたことでも、母親が反対意見を出せば、そちらを採用したりする。そうなると、夫婦の信頼関係も壊れてしまうだろう。

妻子より母親を優先する

マザコン夫にとって、一番大切にしなければいけない人は母親だ。そのため、いつも母親の都合や要求を優先して、家族のことは後回しになる。例えば、母親の用事と子供の習い事の発表会などが重なれば、迷わず母親の用事を選ぶし、妻の体調が悪くても母親のご機嫌伺いに行ってしまうかもしれない。

また、休日に家族と過ごす約束をしていたにもかかわらず、母親から「買い物に付き合って」と言われた途端に、手の平を返すように出かけていくマザコン夫もいる。

母親がすべて正しい

マザコン夫は、母親のことを「世界で一番優秀で正しい人」だと思っている。そのため、嫁姑の間にいさかいが起きた時には、必ず母親の肩を持ち、妻の味方になってくれることはない。マザコン夫にとって、母親は間違いを犯すことのない絶対的存在なので、妻が何を言っても耳を貸さないのだ。

さらに、マザコン夫は、何かにつけて母親と妻を比べ、妻のやり方に文句をつけようとする。マザコン夫は、母親を理想の女性だと考えているので、妻も母親のようになるべきだと考えているのだ。共働きでいつも時間に追われているのに、「ママが作ってくれるような本格的なカレーが食べたい」「ママの掃除の仕方は完ぺきだった」などと要求されたら、妻のストレスは溜まる一方だろう。

親子の距離感が近すぎる

通常、結婚して子供でも生まれれば、家族の生活を維持するので手いっぱいになる。母親と同居していない場合、夫が母親と連絡を取る頻度は自然と減っていくはずだ。しかし、マザコン夫は、週に何度も母親の家に顔を出したり、用もないのに毎日母親と電話やLINEでやり取りしたりする。

また、逆に母親がしょっちゅう家に押しかけてきて、夫の世話を焼くというパターンもある。夫が熱でも出そうものなら、熱を測ったりお粥を食べさせたり、まるで小さい子供を扱うように夫に付き添う。母親にいつも家に来られては、家族水入らずで過ごす時間もなくなるし、家事の指図などされたりしたらたまったものではない。

家族や夫婦の事情を何でも話す

マザコン夫は、家族や夫婦のことをすべて母親に話す。母親が一番の相談相手だと思っているし、自分の家族と母親は一心同体なので隠し立てすることなど何もないと考えているからだ。普通の人なら、誰しも人には言いたくないことがあるだろうし、夫婦といえどもお互いのプライバシーを尊重する義務がある。しかし、母親から自立していない男性には、プライバシーの重要性がわかっていない。

夫婦の間だけで秘密にしておきたい話や妻の失敗談まで義母に筒抜けになったら、妻の立つ瀬がなくなる。さらに、母子が妻の悪口で盛り上がるようなことになったりしたら最悪だ。

家事を手伝わない

マザコン夫は、これまで母親に全部面倒を見てもらっていたため、自分では家事がまったくできないし、家事をするのは女性の役目だと思っているので、妻にすべて任せっきりにする。靴下や服をそこらに脱ぎ散らかしたままにしたり、食器を並べることもせずに、料理が運ばれるのを座って待っていたりする。

子育てに関しても、母親がつきっきりでこなしてきたのを見ているので、一切手伝おうとはしない。しかし、これらは母親が専業主婦だったからこそできたことで、共働きなのに妻だけが家事・育児を負担しなければならないのなら、とても体がもたないだろう。

マザコンになる原因は?

マザコン夫の幼少期の家庭環境

母親のことが好きだという男性は少なくないだろうが、その全員がマザコンになるわけではない。それでは、なぜマザコン夫が生まれるのだろう? そこには、幼少期に夫が置かれていた家庭環境や母親の性格、親子のコミュニケーションの取り方などが関わっているケースが多く、夫本人が無意識のうちにマザコンの人格が形成されている可能性が高い。つまり、夫は意図してマザコンになったわけではないのだ。

男性がマザコンになるケースや原因を詳しく見ていこう。

過保護・過干渉

マザコンになる第1の原因は、母親が過保護に育て過ぎたということだ。幼少期からまるで王子様のように大切にされ、甘やかされて育つと、自分が何もしなくても親が代わりにやってくれると思うようになるので、自立心が芽生えない。また、母親が教育熱心で、厳しく教育してきたように見える場合でも、勉強のやり方や困難な状況になった時の対処法について、親が先回りして答えを与えていると、自分で考えて解決するという習慣が身につかない。

そのため、母親の言うことさえ聞いていればすべて上手くいくと思い込み、ことあるごとに母親に判断を仰ぐようになる。幼少期に刷り込まれた考え方や習慣は、なかなか変えることができないので、そのまま大人になってマザコン夫が出来上がってしまうのだ。

愛情不足

逆に、母親から十分に愛情を注いでもらえなかった時も、マザコンになってしまうケースがある。例えば、母親が子育てをほったらかして他所の男と浮気していたり、兄弟姉妹ばかり可愛がって自分のことをかまってくれなかったりすると、子供は愛情に飢え、情緒不安定になる。そして、愛情を取り戻すために、「いい息子」を演じて、母親の気を引こうとする。

こういう男性は、大人になってからも、いつかまた母親に見捨てられるのではないかと不安でならない。そのため、母親が気に入らないことは絶対にしようとしないし、母親の言いつけに逆らうこともできない。いつも母親を最優先に考え、機嫌を取るような行動ばかりするのだ。

母親が主導権を握っていた

生まれ育った実家で母親が主導権を握っていた場合や、母子家庭で育った場合もマザコンになる可能性がある。家の主導権を握っていたということは、何かを決定をする際に母親の意見がものを言い、家族はそれに従わなければならなかったということだ。5歳や6歳といった自意識が出てくる頃から、その記憶や習慣が身に染みついていると、大人になって自分で判断を下さなければならない場面でも母親の顔色をうかがうようになる。

また、母子家庭では、お互いに支え合いながら生活を営むため、一般的な家族以上に親子の絆が強くなる傾向がある。女手1つで自分を育ててくれた母親に感謝と尊敬の念を持つのは当然のことだが、その思いが強すぎると、母親への恩返しを優先して家族のことが後回しになってしまう恐れがある。

父親が厳しかった

母親が強かったのとは逆に、父親が非常に厳しい人物だった時も、自分をかばい、慰めてくれる心のよりどころとして母親を頼るようになるケースがある。特に、父親が暴力を振るっていたような家では、母子がお互いの身を守りながら、過酷な生活に耐えていくしかなかっただろう。

また、父親が仕事人間でなかなか家に帰ってこなかったり、子育てを妻に任せっきりにしていたような場合も、マザコンになりやすい。本来父親が果たすべき役割を放棄しているため、代わりに母親が父親の役まで担うようになり、子供にとって一般の家庭以上に母親の存在感が大きくなっていくのだ。

親が子離れできていない

子供が親離れできない以上に、親が子離れできていないことも珍しくない。過保護・過干渉の親は、子供が大きくなってからも支配下に置いて、「幸せになるための最善の道」と自分が考えているレールに子供を乗せようとし続ける。そのため、30代といった立派な年齢になっても、息子のやることに口を出し続けるし、息子の方も「母親の言うことを聞いていればすべて上手くいく」と思い込んでいるならマザコンと判断して間違いない。自ら考え、行動することができない。

義母の過干渉がさらにエスカレートすると、孫の教育方針にまで口をはさんだり、内助の功が足りないなどと妻を責めたりして、息子の家の実権まで握ろうとし始めるので要注意だ。

マザコン夫との付き合い方

マザコン夫との付き合い方を考える妻

男性がマザコンになる原因が、いびつな親子関係や家庭環境からきている可能性が高いことがわかった。そのような環境が子供に与える影響は非常に大きく、後々まで残り、また本人も自分がマザコンだという自覚がないため、簡単にそれを変えることはできないかもしれない。

しかし、マザコンが大きなトラブルの種にならなければいいが、義母の意向で家庭がかき回され、実害が出たりするようであれば、そのまま放っておくことはできない。夫のマザコン度によっては、なんらかの対策が必要だ。夫のマザコンを完全に矯正することはできないとしても、夫とのコミュニケーションの取り方や、義母との関係を見直すことで改善を図れる可能性はある。マザコン夫とうまく付き合える、上手な扱い方のポイントを紹介する。

義母の悪口を言わない

マザコン夫は、母親のことを悪く言われるのが許せない。たとえ妻の言っていることが正しいとしても、義母を非難すれば夫は必ず反発する。義母がしょっちゅう家に押しかけてきて困っているようなケースでも、「迷惑だ」とは言わずに、「いつも気にかけて来てくれるのは嬉しいけど、こちらも気を遣ってしまうので少し回数を減らしてほしい」などと角が立たない言い方にしよう。

また、ことあるごとに義母と比較されるのは気に障るだろうが、だからと言って義母と張り合ってもしょうがない。マザコン夫に「母さんの料理の方がおいしい」と言われ、ムキになって豪華な料理を並べたとしても、「母親が一番」と信じ込んでいる夫の意見は変わらないので消耗するだけだ。そういう時は、「お義母さん、料理が上手よね」とでも持ち上げておけば丸く収まるし、母親を評価してくれる妻に対する夫の評価も上がるに違いない。

義母と仲良くする

義母と仲良くなっても夫のマザコンを改善できるわけではないが、義母との関係性が良好になれば、いろいろなメリットが生まれる。義母が妻のことを「可愛い息子を奪った相手」と見ている場合、妻のアラ捜しをしたり難癖をつけてきたりするかもしれないが、義母を尊敬する態度を見せて可愛がられるようになれば、欠点より長所を見てくれるようになるので、妻のやることなすことに文句を言うこともなくなるだろう。

また、そうなれば、夫の方も「母さんが妻を認めている」と認識し、妻を大切にして、妻の言葉に耳を傾けるようになる。義母と一緒になって、夫をコントロールしていくことができるのだ。

自分が母親代わりになる

義母との仲がなかなか上手くいかない場合は、とりあえず自分が夫の母親代わりになることも考えよう。複雑な家庭環境で育った男性の中には、親の愛情に飢えていて、いつか自分が見放されるのではないかと不安を感じている人もいる。また、母親にすべて面倒を見てきてもらった男性は、家事や育児を手伝うこともできない。そういう夫に対して、「私はあなたのママじゃない」と突き放すような態度を取ったり、家事や育児を強要したりすると、「妻には受け入れてもらえない」と感じて、心がますます義母の方に傾いていくかもしれない。

そうならないためにも、夫に指図したい気持ちをグッと堪えて、まずは小さい子供を扱うように夫に接しよう。そして、家事や育児のやり方を教えながら、徐々に夫・父親としての自覚を持たせていくのだ。それによって、夫は妻のことを義母と同じように信頼するようになるだろう。

夫をほめる

母親の過干渉が原因でマザコンになった男性には、自分に自信が持てない傾向が見られる。今までは母親の指示通りに人生を歩み、母親の期待に応えれば褒められたし、間違った行動をするとすぐに母親が修正してくれた。しかし、親元を離れたら自分1人で判断しなければならない場面も出てくるので、自分が正しいことをしているのか間違ったことをしているのか不安に襲われることもある。

そういう時に、夫の話をきちんと聞き、一緒に考え、良い決断をしたら夫をほめるようにすれば、夫は自信を取り戻し、夫婦の絆も強くなるだろう。また、ゴミ出しをしてくれたとか、洗濯物を片付けてくれたとか、特別なことでなくても、夫が家族のために何かしてくれた時に感謝するようにすれば、自分が認められたと感じて夫の承認欲求が満たされるようになる。

マザコンであることを夫に悟らせる

マザコン夫には、自分がマザコンの夫だと自覚していない男性も多く、単に母親と仲のいい息子だと思っていたり、母親を大切にする孝行息子だと自負しているケースもある。そのため、夫にマザコンであることを認識させなければならないが、男性は「マザコン」と呼ばれることに抵抗感があるので、ストレートに伝えると反発を招く恐れがある。

そこで、友達の旦那のエピソードとして、「妻や子供の意見をまったく聞かずに、母親の顔色ばかり見ている」などと、少し誇張した作り話を聞かせてみるのもいいだろう。そのうちに、夫は自分にも当てはまる部分があると気づいて、態度を改めてくれる可能性もある。

自立を促す

夫が、自分がマザコンであることに気づいたら、次は自立心を起こさせるようにしよう。子供の頃から作られてきた性格や考え方を変えるのは簡単なことではないが、根気良く働きかけていけば、徐々に自立できるようになる可能性はある。例えば、何かを決める時、夫が母親の気持ちを忖度しようとしたら、「あなた自身はどう思うの?」と問いかけて、自分で考えさせるようにするのも、マザコンを治す1つの手だ。

特に、家の購入や転勤による引っ越し、子供の誕生など、人生の節目となるイベントは、自立心が芽生える大きなチャンスになる。その際に、「パパを頼りにしている」「パパのおかげでマイホームが持てる」といった言葉で夫を立てれば、「自分が頑張らなければ家族を幸せにできない」と夫が奮起してくれるかもしれない。

夫婦で趣味を楽しむ

夫と母親の距離が近すぎるために、母親への依存心がなくならないという場合もある。人間には、同じ人やモノに接する回数が増えるほど、その対象に対して好印象を持つようになる「ザイオンス効果」という心理が働く。また、長い間、一緒に暮らした母親とは楽しい思い出もたくさんあるはずで、会うたびにその話で盛り上がるだろう。

そこで、できるだけ夫とデートする機会を設けて、2人きりで出かけたり、夫婦で一緒にできる趣味を始めたりしてみるのだ。夫が興味を持つ漫画を一緒に読むのも良いだろう。それによって2人の楽しい思い出を作ることができるし、夫婦で過ごす時間が増えれば、夫の気持ちも妻の方に向かうようになるだろう。

マザコン夫であることを受け入れる

男性には多かれ少なかれマザコンの傾向があるし、母親を大切にするという点ではマザコンにも取り柄がないわけではない。もちろん夫のマザコンのせいで実害が出れば問題だが、「マザコンは気持ち悪い」とか「自分より母親のことが好きなのが許せない」といった理由からマザコンを矯正しようとしているなら考え物だ。

マザコンが夫の愛すべき性格の1つだと容認することができるのなら、ある程度のことには目をつぶってもいいのではないだろうか。また、先ほどもお伝えしたように、義母と仲良しになれば、義母の訪問頻度が多少増えても苦にはならなくだろう。大切なのは、夫の気持ちを理解した上で、義母と同じように妻や子供も大切にしてくれるよう夫に求めることだ。

マザコン夫と離婚するには

離婚届

マザコン夫と円満な家庭を築こうと努力したにもかかわらず、うまくいかない時もある。それでも、義母の口出しや夫の母親依存が鼻につく程度ならまだ我慢できるかもしれないが、夫が妻に暴力を振るったり、家族を顧みない行動をとるようになったりすれば、もう末路だ。結婚生活を続けることはできなくなる。

そんな夫と離婚するにはどうしたらいいのだろう? マザコンを理由に夫と縁を切ることができるのだろうか? マザコン夫と離婚する方法や、離婚手続きを進める際に注意すべきこと、具体的な対策などについてお伝えする。

協議離婚や調停離婚は合意が必要

夫と離婚する方法には、主に協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3つがある。そのうち、最も一般的なのが協議離婚で、夫婦が話し合って離婚に合意し離婚届を提出すれば、理由を問われることなく離婚が成立する。性格の不一致による離婚などは、その1例だ。また、調停離婚は、夫婦の話し合いが上手くいかなかった時に、家庭裁判所の調停手続きを利用して合意を目指すもので、調停委員が仲介役となり、夫婦双方の言い分を聞いた上で、慰謝料や親権、養育費、財産分与などの条件を含めて意見のすり合わせを行う。

マザコン夫との離婚の際には、義母があれこれ口を出してくるケースがあるが、離婚調停には母親は同席できないので、進行の邪魔をされる心配はない。ただ、協議離婚も調停離婚も合意に至らなければ成立しないため、マザコン夫が離婚を拒否し続ければ別れることができない。

マザコンを理由に裁判離婚できるか?

調停でも離婚の合意ができなかった時は、裁判離婚で決着をつけることになる。裁判離婚とは、訴訟を起こして裁判所に離婚を認めてもらう方法で、当事者あるいは代理人が出廷して主張や立証を行い、それを基に裁判官が離婚の可否や離婚条件について判決を言い渡す。

だが、裁判で離婚の請求をするためには、特定の条件を満たしていなければならず、残念ながら「夫がマザコン」というだけでは請求が認められない可能性が高い。法律で定めている離婚理由の中に、マザコンは含まれていないからだ。ただし、マザコン夫が義母の家に入り浸って家庭を顧みないような場合は、「悪意の遺棄」と見なされるかもしれない。悪意の遺棄とは、夫婦が協力し合う義務を故意に放棄し、家出を繰り返したり生活費を家族に渡さなかったりすることで、法定の離婚理由の1つになっているのだ。

夫が浮気した場合は?

マザコン夫が浮気して相手と体の関係を持った場合も、離婚訴訟を起こすことができる。法律では、既婚者が配偶者以外の異性と肉体関係を持つことを「不貞行為」と呼び、離婚理由の1つとして定めている。夫婦には、お互いに貞操を守らなければならないという法的義務があるため、不貞行為を働けばその義務に違反したことになり、それが原因で夫婦関係が破綻した場合、離婚請求が認められるのだ。

姑が嫁のことを気に入らないと、嫁の悪口ばかり言うようになり、マザコン夫もそれに感化される場合がある。その結果、自分の目にも妻が嫌な人間のように映り始め、次第に不満が膨らんで浮気に走るケースもあるので用心しなければならない。

DVやモラハラの場合は?

マザコン夫の中には、何かにつけて母親と比較し、妻のアラ捜しをして嫌味を言ったり嫌がらせをしたりする者もいる。ひどいのになると、母親まで夫に加担して、2人がかりで嫁いじめを始めるケースもあり、それがエスカレートすると妻子に暴力を振るうようになる可能性もあるので非常に危険だ。

このようなDVやモラハラが日常的に行われている家庭は、常に高い緊張状態に置かれ、落ち着いて生活をすることができないばかりか、被害者が肉体的・精神的に深い傷を負うこと恐れもある。またDV、モラハラを治すのは難しく、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」として、法律上離婚が認められる理由になるため、裁判でその事実を立証すれば離婚を勝ち取れる公算が高い。

浮気やDVの証拠をつかむ

夫のDVや浮気が原因で夫婦関係が破たんした場合は、裁判で離婚を請求できるだけでなく、夫から慰謝料を取ることもできる。しかし、裁判で確実に勝つためには、DVや不貞行為の事実を証明する必要があり、その立証責任は請求を行う側にある。そのため、離婚手続きを始める前に、法廷でも通用する決定的な証拠を揃えておかなければならない。例えば、DVの証拠となるものは、DVを受けた時の音声・動画、怪我の写真や医師の診断書、警察への相談履歴などだ。

一方、不貞行為を立証する場合は、夫が浮気相手とラブホテルに出入りするシーンをカメラやビデオなどで撮影したものが決め手となる。ラブホテルは、性行為を行う場所なので、そこを利用すれば不貞行為があったと見なされるからだ。これらの証拠をつかむには、DVの証拠映像や音声を記録する機材の自宅設置、夫と浮気相手の尾行や張り込み、暗視カメラによる撮影などが必要になる。一般の人には難しい作業なので、探偵社などの調査のプロに相談した方がいいだろう。

離婚時の注意点

母親が離婚調停や裁判に直接関与することはできないが、マザコン夫は当然母親に相談するだろうし、母親がいろいろ口を出して交渉が難航することは十分に考えられる。例えば、夫との間で財産分与の話がまとまりかけたのに、母親が入れ知恵をしたおかげで交渉が振り出しに戻ってしまうというケースもある。

さらに気を付けなければならないのが親権問題だ。子供の面倒をまったく見てこなかったマザコン夫が、最初は親権を求めていなかったにもかかわらず、「孫を手放したくない」という母親の一言で突然態度を変え、親権を主張し始めることもある。夫の主張が二転三転するようなら、弁護士に相談することも考えよう。

まとめ

マザコンの男性は、決して珍しい存在ではない。付き合っていた頃は、単に母親思いの息子だと思っていたのが、結婚して時間が経つうちに筋金入りのマザコンだったことがわかるケースもよくある。マザコン夫は、妻子より母親を大事にし、明らかに間違った意見であっても母親の言いなりになりになって動くため、家庭生活が上手くいかなくなる恐れもある。 男性がマザコンになる原因には、幼少期の家庭環境や親子のコミュニケーションの在り方が関係していて、本人はマザコンの自覚がないまま成長したという場合も多い。そうなると、いくら母親への依存を止めさせようと頑張っても、なかなか改善できないこともある。 それでも、夫がただ母親に依存しているだけならまだ耐えられるかもしれないが、妻を軽蔑して暴力を振るったり浮気をするようになったら家庭生活が成り立たなくなる。調査のプロなどにも相談してDVや浮気の証拠をつかみ、マザコン夫ときっぱり別れよう。

監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣

2001年11月
司法書士試験合格
20023月
法政大学法学部法律学科卒業
20044月
中央大学法科大学院入学
20063月
中央大学法科大学院卒業
20069月
司法試験合格
2007年12月
弁護士登録(新60期)
20081月
AZX総合法律事務所入所
20105月
平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
20132月
伊倉総合法律事務所開設
2015年12月
株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
2016年12月
株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
20203月
社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
2020年10月
株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
20216月
社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
20224月
HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)

※2023年11月16日現在

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