その他探偵と便利屋の違いは?調査業務は信頼できる探偵に
近年、高齢化の進行や共働き世帯の増加によって便利屋の需要が増えている。高齢者だけの世帯だと、ちょっとした力仕事や買い物をするのも大変な場合があるし、共働きで仕事や育児に追われていると家事まで手が回らないこともある。そのような悩みを抱えている人にとっては、いろいろな頼み事を引き受けてくれる便利屋は、ありがたい存在に違いない。 別名「よろず屋」「何でも屋」とも呼ばれる便利屋は、家の片づけや引越しの手伝い、草刈り、家事代行など、30分から1時間、時には数時間、日常生活の雑務をサポートしてくれるイメージが強い。だが、中にはサービスメニューの1つとして、探偵業務を行っている業者もいる。プロの探偵でなくても、張り込みや尾行調査はできるのだろうか? その力量や信頼性はどの程度なのか?――探偵と便利屋の違いや、プロの探偵に調査を依頼するメリット、信頼できる探偵社の選び方などについて解説する。
便利屋の仕事とは?
便利屋は、日常生活にまつわるさまざまな仕事を幅広く引き受けるビジネスで、自分でやるよりも効率的、忙しい時に手を借りられる、専門業者より安く済むといった理由から、多くの人に利用されるようになった。便利屋には、大きく分けて2つのタイプがある。その1つは、水道工事や建築などの専門業者が、事業を拡張して便利屋になったもので、家に関するトラブルや悩み事全般に対応しているケースが一般的だ。
もう1つは、フランチャイズの加盟店として便利屋を起業するパターンで、加盟店の数だけ対応エリアは広くなるが、取り立てた専門スキルがない店も多いため、「誰にでもできるが手間がかかって面倒」といった仕事の依頼に向いている。便利屋を始めるに当たって、特に必要な資格や免許などはない。ただし、家庭や事業所から出るゴミを処分するためには一般廃棄物収集運搬業、トイレや台所の水漏れを修理するには給水装置工事主任技術者など、資格を取得しなければならない仕事もある。
便利屋によく依頼される仕事をピックアップしてみよう。
清掃・片付け
便利屋の仕事の中でも特に多いのが、家の清掃や片付けだ。なかなか取れない浴室の水垢などの汚れ落としや、エアコン内部のクリーニング清掃は、自分でやるより専用の清掃道具を持っている便利屋に頼んだ方がはるかに効率的だ。また、仕事が忙しくて掃除をする暇がなかったり、心身に不調があってゴミが片付けられない状態が続くと、家がゴミ屋敷化してしまう。そういうゴミを片付けて、生活環境を整えるのも便利屋の仕事だ。
一方、大型の不要品や粗大ゴミを運び出すことができず、処分に困っている人もいる。そんな時、荷物の運搬からリサイクル、廃棄までやってくれる便利屋がいたら重宝するだろう。最近では、1人暮らしの高齢者が亡くなって、遺族だけで家の後片付けをするのは手に余るというケースも多く、遺品整理の需要も増えている。
庭の手入れ
庭の手入れは、毎年夏前から秋頃までの季節に依頼が集中する。自宅の家の庭だけでなく、自分が所有している土地が空き地だったりすると、手入れをしないでいるうちに、いつの間にか雑草が生い茂るジャングルになってしまう。そのまま放っておくと、虫が大量発生したりして近所の住人からクレームをつけられる可能性があるので、定期的に草刈りをしなければならない。
しかし、敷地を埋め尽くした雑草を刈り取るのは大変な重労働だし、高く伸びた木の枝を切るのも簡単な作業ではない。かと言って、剪定や伐採などを専門業者に依頼すると高くつくケースが多いため、リーズナブルな料金で対応してくれる便利屋によく依頼が来るのだ。
トラブル解決
生活していれば、突然のトラブルに悩まされることもある。特に困るのは、害虫の発生だ。郊外の家では、軒下やベランダにハチが巣を作ることがある。それがスズメバチだったりした場合、刺されると命にもかかわるので、自分では対処できず、便利屋の手を借りることになる。また、シロアリの駆除は、縁の下に長時間潜って薬剤を散布し続けなければならず、体力に自信のある人でもきつい作業だし、ネズミやゴキブリを家から一掃しようと思えば、相当大がかりで根気のいる作業が必要になる。
最近では、パソコン関係のトラブルも増えており、デジタル機器に不慣れな人から「インターネットがつながらない」「パソコンがフリーズしたので直してほしい」といった依頼が寄せられるようになった。
修理・DIY
老朽化して故障・破損した住宅設備の修理もよくある案件だ。特に多いのが水漏れで、水道の蛇口が壊れる、トイレの水が止まらなくなるといったトラブルは、どこの家庭でも起きるため、水道工事の資格を持っている業者は仕事に困ることはない。さらに、雨漏りの修理や壊れた雨どいの補修、障子や網戸の張り替え、アンテナの修理など、メンテナンス業務はたくさんある。
また、大工仕事のノウハウがある業者なら、収納棚を設置してもらったり、階段に手すりを取り付けてもらう、購入した家具を組み立ててもらうといった作業も依頼することができるだろう。
家事代行
家事代行も、無数と言っていいほどの種類がある。買い物の代行にはじまり、料理、洗濯、子供の一時預かりや保育園の送り迎えなど、共働き世帯やシングルマザーにとって、困った時に自分に代わって家事をこなしてくれる便利屋は頼れる存在だろう。
近年問題化している老老介護の世帯にとっても、サポートは必要だ。お風呂に入るにしても、誰かの手を借りなければ怪我をするリスクがあるし、運転免許を返上していれば、病院などに行く時も送迎や付き添いをしてくれる人がいれば安心だ。また、ペットを飼っていて、出張などで留守にする際に、狭いペットホテルに閉じ込めておくのは忍びないと、便利屋にペットを預かってもらったり、散歩を頼んだりする人も珍しくない。
探偵業務
インターネットで便利屋を検索すると、サービスメニューに探偵業務を掲げている業者もいる。その内容を見ると、「ゴミ捨てのルールを守らない人がいるから、調べて注意してほしい」といった簡単なものから、帰りが遅い娘の行動調査や人探し、パートナーの浮気調査まで、業者それぞれに対応可能な案件を掲載している。
しかし、具体的な調査実績や調査体制、料金システムなどについて、詳しく説明している業者は少ないようだ。後述するように、依頼主が期待する成果を確実に上げるためには、高い調査能力が求められ、便利屋がその水準を満たしているかどうかは疑問と言わざるを得ない。ただ人探しなどは高額を請求でき、便利屋としては儲かる可能性が高いので、業務内容に入れている例もある。 なお、ちまたにある「別れさせ屋」といった、男女間の問題解決を「別れる」ことで解決しますというサービスがあるが、これと探偵業務は一切関係がない。
探偵が行う調査の種類
探偵は、クライアントから依頼を受けて調査や情報収集を行い、クライアントの悩みを解決するエージェントだ。しかし、ドラマやアニメに登場する探偵は観たことがあっても、実際の探偵がどんな仕事をしているのか知っている人は少ないのではないだろうか。
世の中にはさまざまな悩みを抱えている人がいる。それに対して、探偵は犯罪に加担するような依頼は除き、クライアントが求めるあらゆる情報を入手するために各種の調査を行う。まずは探偵の業務がどのようなものなのかを知るために、探偵社が扱っている主な調査案件について見ていこう。
浮気・不倫調査
探偵社への依頼の中で、特に多いのが浮気・不倫調査だ。この調査では、調査員が尾行や張り込みを行って、パートナーと浮気相手がラブホテルなどに出入りするところを撮影し、浮気の事実を明らかにする。密会シーンを写真・動画に収めた決定的な証拠を突きつけることで、パートナーも言い逃れすることができなくなり、浮気相手との関係を清算せざるを得なくなる。
また、パートナーと結婚している場合は、浮気の証拠映像があれば、精神的苦痛を受けたことに対しパートナーや浮気相手に慰謝料を請求できる。相手が支払いを拒否して裁判で争うことになると、請求者側が浮気の証拠を提出しなければならないが、この証拠映像を使えば慰謝料を勝ち取ることができる。
家出・行方調査
パートナーや子供が突然行方不明になった場合、事件に巻き込まれている恐れもあるので、一刻も早く探し出さなければならない。また、大金を貸した知り合いが、名前を隠し音信不通になってしまったり、連絡先が分からなくなった昔の学友にもう一度会いたいといったケースで調査依頼が来ることもある。
探偵は、家に残された失踪者の私物をくまなく調べるとともに、失踪者のパソコンのデータを徹底的に解析。さらに、SNSもチェックして、交友関係や失踪者が現れそうな場所を推測する。大手の探偵社であれば、全国のネットワークを駆使して、目星をつけた場所での聞き込みや張り込みを行い、短期間で失踪者を見つけ出せる。
結婚信用調査
最近では、出会い系アプリや婚活サイトなどで知り合い、相手の本性がよくわからないうちに結婚してしまう人がいる。そして、後から相手がギャンブル依存症だったり、ブランド物を買いあさる浪費癖があったり、元カノ・元カレと結婚後も交際を続けていたりといった裏の顔があることがわかり、スピード離婚するケースも増えている。
そういうリスクを避けるには、結婚する前に交際相手の身辺調査をしておいた方がいいが、調査していることを相手に気づかれると、2人の関係にヒビが入ることにもなりかねない。その点、訓練を積んだ探偵であれば、調査目的を知られることなく近隣住人や知人に聞き込みを行い、尾行などもして交際相手の素顔を明らかにする。
企業・個人信用調査
代金が支払われる前に倒産されたり、反社会的勢力とつながりのある会社と契約してしまったといったトラブルを防ぐためには、取引を始める前に相手企業の信用調査を行わなければならない。また、自社の従業員による情報の漏洩や取引先へのリベート要求、出張費の水増しなどの疑いがあるようなら、その個人の信用調査が必要になる。
企業の場合は、商業登記簿や不動産登記簿のチェック、所在地の確認などをして、企業としての実態があるかどうかを調べるとともに、経営陣の行動調査なども行って、信頼できる人物かどうかを見極める。個人の場合は、尾行・張り込みをして、誰と接触したか、不審な行動はないかなどを調査していく。
素行調査
素行調査とは、尾行などを行って、調査対象者がいつ誰と一緒にいたか、どこに行ったか、何をしていたかなど、その行動の詳細を調べるものだ。大くくりにすると浮気調査もその中に入るが、浮気以外では、「離れて暮らす子供の生活の様子が知りたい」「夫がギャンブルにはまっているようなので確かめたい」「子供が非行に走っていないか調べたい」といった依頼がある。また、企業の人事担当者が、内定者の経歴や身元を確認するために、素行調査を依頼するケースもある。
盗聴器発見調査
盗聴は、好意を持った相手をストーキングしたり、恨みを抱いた相手に嫌がらせをしたり、空き巣に入る前に情報収集したりするために行われる。盗聴器は、相手に贈ったプレゼントの中に仕込まれていることもあるが、無断で家に侵入して盗聴器を設置するケースも多く、これは明白な犯罪行為だ。
設置場所は1個所とは限らず、エアコンの上部や電灯の中、コンセントなど、複数個所に巧妙に隠されていることもある。探偵は、専用の機器を用いてすべての盗聴器・盗撮カメラを発見し、撤去するが、犯人の特定が難しい時などは、あえて盗聴器を残しておいて偽の情報を聞かせ、犯人をおびき寄せることもある。
ストーカー・嫌がらせ調査
最近は、交際を断った相手をしつこく付け回したり、近隣トラブルで理不尽な恨みを抱いた住人が玄関先にゴミを投げ込む・車を傷つけるといった事件が増えてきた。このようなストーカー行為や嫌がらせ行為を放置しておくと、どんどんエスカレートして、身に危険が及ぶ恐れもある。
そのような時に探偵に調査を依頼すれば、尾行や張り込み、暗視カメラによる定点撮影などを行って、犯行の詳細を明らかにするとともに、犯人を特定して速やかに問題解決を図ることができる
探偵に依頼するメリットと便利屋に依頼するリスク
冒頭の章で触れたように、ネットなどを見ると浮気調査や人探しを低料金で行うことを謳っている業者も見かけられる。便利屋に探偵社と同じ業務ができるなら、便利屋に頼んだ方が安上がりだと考える人もいるかも知れない。
だが、探偵の業務には高度なスキルや知識が求められ、専門的な訓練を受けたプロでないと調査に失敗するだけでなく、思わぬトラブルに巻き込まれる恐れもある。探偵と便利屋の違いを解説するとともに、探偵に調査を依頼するメリット、便利屋に調査を依頼した時に起こりうるリスクについてお伝えする。
探偵と便利屋の違い
探偵と便利屋の大きな違いは、探偵業法に基づいて探偵業の届出をしているかどうかだ。探偵業法は、正確には「探偵業の業務の適正化に関する法律」と言う。これは、探偵業務が適正に行われ、個人の権利や利益が守られるように定めた法律で、正式に探偵業を営むためには、各都道府県の公安委員会へ探偵業を実施する旨の届出をしなければならない。
探偵業法では、他者の依頼を受けて聞き込み、尾行、張り込みなどを行うことを認めているが、探偵業の届出をしていない一般人がこれらの調査を行えば、ストーカー規制法や軽犯罪法に問われる恐れがある。また、届出がない業者が浮気の証拠などを集めても、裁判では認められない可能性があるため、慰謝料の請求などが難しくなる。
ただし、便利屋を営んでいても、探偵業の届出をすることはできるので、その場合は調査をしても違法にはならない。
探偵のメリット①早期に問題解決できる
しっかりとした調査体制を整えている探偵社であれば、トレーニングにも力を入れているため、高い専門スキルを身につけた調査員が揃っている。調査案件には、あらかじめターゲットの行動パターンや行き先がわかっていて、尾行や張り込みがしやすいものもあるが、難易度が高いケースも少なくない。
そのような場合にも、豊富な経験とスキルを備えた調査員であれば、ターゲットの行動を予測し、最も効率的な調査プランを立てることができるし、調査時にターゲットが電車やタクシーを乗り継いでも自在に対応し、見失うことはない。また、データ解析やネット捜索の専門スタッフを置いている探偵社もあり、失踪者なども迅速に捜索することができる。
探偵のメリット②慰謝料請求や賠償請求ができる
実績のある探偵は、裁判で争うことになった時にも、依頼主が有利な立場に立てるような、法的に有効な証拠の集め方について熟知している。法的に有効な証拠とは、例えばパートナーと浮気相手が密会しているシーンや、自分の所有車に犯人が傷をつけているような現場を写真や動画に収めたものだ。
このような証拠を裁判所に提出すれば、10万円から場合によっては100万円を超すと言われる慰謝料請求や賠償請求が認められやすくなる。ただし、浮気の場合は、キスをしたり、手をつないだりしている場面ではなく、ラブホテルに何度も出入りするシーンなど、パートナーと浮気相手が肉体関係にあったことを立証する鮮明な画像が必要になるため、高性能の撮影機材と撮影スキルを備えた探偵でなければ困難だ。
探偵のメリット③人に知られず調査できる
浮気調査や信用調査の場合、調査を行っていることが相手にバレないようにするのが大原則だ。そのため、まともな探偵社であれば、尾行や張り込みを行う際には、1チーム2人以上の体制で臨む。1人だけで調査していると、相手に気づかれたり、見失ったりするリスクがあるが、複数名で入れ替わりながらターゲットを追えば、そのような心配もないからだ。
また、調査でパートナーの浮気が判明した場合、その情報が外部に漏れるのではないかと不安になる人もいるだろう。しかし、探偵業法では「探偵の業務に従事する者は、正当な理由なく、業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない」と定められており、調査に関する文書や写真も、鍵のかかる保管庫やセキュリティ対策が講じられたパソコンで保管し、一定期間後シュレッダーで廃棄するなどの規則が設けられている。
探偵のメリット④無料相談ができる
探偵社の中には、専門の相談員を置いて電話やメールで無料相談に乗ってくれるところもある。浮気調査をした方がいいかどうかがわからず、その段階で他人にパートナーの浮気のことを知られたくない人などは、匿名での相談も可能な事務所を選べばいい。
信頼できる探偵社であれば、相談しても強引に契約を迫るようなことはしないはずだ。パートナーについての悩みをスタッフが丁寧に聞き取り、浮気の兆候を見抜くポイントや、浮気調査が必要かどうかなどをアドバイスしてくれるだろう。
探偵のメリット⑤アフターフォローがある
浮気調査やストーカー・嫌がらせ調査は、証拠をつかんだだけで完結するものではなく、その証拠を使ってどのようにして問題を解決するのかを考えなければならない。しかし、単品の調査業務だけを請け負っている業者の場合、調査後の対応はしてくれず、自分でまた1から弁護士探しなどを始めなければならなくなる。
その点、アフターフォローまできちんとしてくれる探偵社を選べば、過去の事例も参照しながら、経験に基づいたアドバイスをくれる。また、弁護士や警察OBとのネットワークがある探偵社であれば、弁護士探しや法的手続きの相談、警察とのやり取りなどもスムーズに進められるだろう。
便利屋のリスク①探偵業の資格がない可能性も
尾行や張り込みなどの調査を行うためには、探偵業の届出が必要だとお伝えしたが、この届出もしていないのに探偵の看板を掲げている便利屋も存在する。そのような業者に間違って調査を依頼すると、まともな仕事をしてくれないばかりか、後々大きなトラブルに巻き込まれる恐れもある。
届出がきちんと行われていれば、公安から探偵業届出番号が割り当てられるとともに、「探偵業届出証明書」が交付されることになっている。探偵は、その証明書を見やすい場所に表示することが義務付けられているので、事務所を訪れた際には、まず探偵業届出証明書が決まり通りに表示されているかどうか確認することが必要だ。また、証明書は、探偵社のサイトの拠点紹介ページなどにも掲載されている場合が多いので、事前にチェックしておこう。
便利屋のリスク②調査スキルが低い
便利屋の業務は実に幅広く、さまざまな依頼をこなしながら、その中の1案件として探偵業務を引き受けているケースがほとんどだ。そのため、専門の訓練を受けたスタッフが充実しているわけでもない。「餅は餅屋」と言うが、専門的な知識やスキルがなければ、短期間で満足のいく成果を上げることはできないし、高難度の調査にも対応できない。
さらに、下手な尾行や写真撮影によって、調査をしていることが相手にバレてしまうリスクも高い。そうなれば、当然相手は警戒して尻尾をつかませないようにするだろうし、依頼者も苦しい立場に立たされる。
便利屋のリスク③法律の知識がない
探偵は、探偵業法で認められている方法で調査を行わなければならず、決定的な証拠をつかんだとしても、それが違法な手段で入手したものなら裁判では認めてもらえない。例えば、依頼者とターゲットが一緒に住んでいる家に盗聴器を取り付けたり、家族名義の車にGPSを設置したりするのは問題ないが、本人に無断でカバンにGPSを忍ばせるのは違法行為だ。
ましてや、浮気相手の敷地に勝手に入って盗撮カメラや盗聴器を仕掛けた場合、住居侵入罪や迷惑行為防止条例違反に問われる恐れもある。法律を知らない業者に調査を依頼すると、慰謝料請求どころか逆に相手に訴えられるかもしれないのだ。 探偵のような、ある意味リスクが伴う調査において法律知識の欠如はあきらかなデメリットといえる。
便利屋のリスク④料金設定が曖昧
料金体系が明確な探偵社であれば、ホームページなどに調査員1名1時間当たりいくらと記載しているが、便利屋の場合は、探偵業務の料金について明示していないところも多い。調査は、当初の想定以上に難航することもあり、長引けば、その分費用もかさんでいく。特に、便利屋の調査能力が低ければ、延々と調査を続けた挙句、何の成果も得られないということにもなりかねない。
それでも、途中段階で調査を続行するかどうかを依頼人に確認するのならまだいいが、経過報告もせずに調査を長引かせるだけ長引かせ、後から高額な料金を請求してくる業者もいるので要注意だ。
信頼できる探偵社の選び方は?
専門的なスキル・知識を持たない便利屋への調査依頼には、さまざまなリスクがあることがわかった。一方、探偵社は、依頼主の要望に従ってきちんと調査を行い、納得のいく成果を上げることができるが、残念なことに、中にはまともな調査をしなかったり、高額な追加料金を請求してきたりする悪徳業者もいる。万が一、そんな業者に引っかかったら災難だ。
しかし、今まで調査依頼をしたことがない人は、ネットなどに載っている情報を見ても、どの探偵社に相談すればいいのか見当がつかないだろう。探偵社選びに失敗しないために、信頼できる事務所を見分けるポイントを紹介する。
探偵業の届出をしている
繰り返しになるが、正規の探偵社であれば、探偵業の届出をして、その証明書を事務所やホームページの拠点案内に表示している。また、ホームページに調査実績などを掲載している事務所もあるので、比較検討してみてもいいだろう。逆に、違法な調査などを行っている事務所をチェックする方法もある。探偵業法に違反した業者には、業務改善指示や営業停止、営業廃止などの行政処分が科されるとともに、事務所の所在地の警察や公安委員会のホームページで社名が公表されるので、誰でも確認することができる。
スタッフ・拠点が多い
大手探偵事務所の中には、スタッフが100人近くいるところもある。これは、調査員だけでなく、相談員やカウンセラーも配置しているからだ。たくさんのスタッフを抱える事務所は、教育体制もしっかりしていて、高いスキルを備えた調査員が揃っている場合が多い。また、調査員が豊富にいれば、人手をかけなければならない調査案件にも対応することができる。
事務所の拠点数も、調査能力を測る1つの目安になる。全国に拠点ネットワークがあれば、失踪者の捜索にも有利だし、ターゲットが浮気相手と旅行などに出かけた時も、旅行先にある拠点に業務を引き継ぐことで効率的に調査ができる上、調査員の宿泊費などの経費も抑えられる。 また、弁護士と提携しているなど、法律への対処に信頼のおける探偵社もある。ただし、報酬を得る目的で弁護士事務所を紹介することは弁護士法で禁止されているので、注意が必要だ。
調査機材が充実している
スタッフのスキルと同時に、調査機材も整っていなければ、満足のいく成果は上げられない。浮気や嫌がらせ問題で慰謝料や賠償金を請求する場合、浮気相手との密会現場や嫌がらせの犯行現場を撮影した証拠映像などを提出しなければならないが、その映像はターゲットの顔と行動がはっきりわかるものである必要がある。
しかし、ターゲットに気づかれないようにするには、離れた場所から隠し撮りしなければならないし、暗闇の中でも鮮明な映像を撮らなければならない。そのため、望遠カメラや暗視カメラなどの高性能機材と、それを使いこなす撮影技術が要求されるのだ。
価格や調査方法が明確
信頼できる探偵社は、料金体系も明解だ。調査員1名1時間当たりの料金が決まっているので、調査にかかる費用をすぐに試算できるし、経費以外の追加料金も取らない。中には、料金を完全後払い制にしている探偵社もあり、それによって先にお金を取るだけ取っておいていい加減な調査しかしないといったトラブルを避けることができる。
調査方法についても、きちんとした探偵社であれば、最も効率的でリーズナブルなプランを作り、それを依頼主に分かりやすく説明するし、調査が思うように進まない場合も、調査を継続するかどうかを必ず依頼主に確認するはずだ。
調査報告書のレベルが高い
調査完了後に探偵が作成・提出する調査報告書も、事務所選びの重要なポイントになる。信頼できる探偵の調査報告書であれば、「いつ・どこで・誰と・何をしたか」が詳細に記載され、ターゲットの行動がすべてわかるようになっているし、報告書に添付された写真やDVDの映像のレベルも高いはずだ。そのような報告書は、裁判でも十分な証拠能力を持っていると見なされる。調査を依頼する際に、報告書のサンプルを見せてもらうのもいいし、ホームページでサンプルを公開している事務所もあるので、ぜひチェックしておこう。
まとめ
家の設備の修理や家事のサポートを求めている人にとって、便利屋はありがたい存在だ。実際、便利屋は、いろいろな仕事を幅広く引き受けてくれるが、中には専門スキルや資格が必要なものもある。探偵業務も、その1つだ。探偵業務をサービスメニューに掲げている便利屋も見かけるが、プロの探偵に比べると、やはりスキルや知識が不足していて、依頼主が望んだような成果を上げられないケースも多い。 また、探偵業の届け出もせずに違法な業務を行った挙句、依頼主に不当な料金を請求してくる悪徳業者もいる。これは、便利屋だけにとどまらず、探偵を名乗る業者の中にも、詐欺まがいの行為を働く事務所が少数ながら存在する。そんなところに引っかかると、まともな調査をしないばかりか大きなトラブルになることも考えられる。 そのようなリスクを避けるためにも、調査を依頼する際は、調査実績やスタッフ・機材の充実度などをしっかりチェックして、信頼できる探偵事務所を選ばなければならない。
監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣
- 2001年11月
- 司法書士試験合格
- 2002年3月
- 法政大学法学部法律学科卒業
- 2004年4月
- 中央大学法科大学院入学
- 2006年3月
- 中央大学法科大学院卒業
- 2006年9月
- 司法試験合格
- 2007年12月
- 弁護士登録(新60期)
- 2008年1月
- AZX総合法律事務所入所
- 2010年5月
- 平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
- 2013年2月
- 伊倉総合法律事務所開設
- 2015年12月
- 株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
- 2016年12月
- 株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
- 2020年3月
- 社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2020年10月
- 株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
- 2021年6月
- 社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2022年4月
- HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)
※2023年11月16日現在
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