その他もう離婚しかない! 決断の前にやるべきこととは?
厚生労働省の「離婚に関する統計」によると、2019年9月から2020年8月の1年間の離婚件数は19万9,024件。2~3分に1組の割合で離婚している計算になる。離婚に至るまでには夫婦それぞれの事情があるはずだが、中には売り言葉に買い言葉で、一時の激情で離婚を決断してしまうこともあるだろう。しかし、感情が高ぶった状態では正しい判断を下せないこともあるし、実際パートナーと別れ、しばらくして復縁するというケースも少なくない。子供がいる場合は、離婚が及ぼす影響や養育費を含めた生計の立て方をどうするかなど、先々まで考えた上で決断を下すことが必要だ。 ここでは、離婚の原因について改めて確認するとともに、離婚によるメリット・デメリット、離婚する前にやらなければならないことを解説する。「離婚しかないのかな」と思う前に、ぜひ読んでほしい。
離婚に多い原因は?
司法統計データから、裁判所に申し立てられた男女別の離婚の動機を紹介しよう
2019年のデータを見ると、妻から申し立てられた離婚動機の上位は、
1位性格が合わない(39.2%)2位生活費を渡さない(29.4%)3位精神的に虐待する(25.2%)4位暴力を振るう(20.5%)5位異性関係(15.4%)
以下、「浪費する」「家庭を捨てて顧みない」「性的不調和」「家族親族と折り合いが悪い」「酒を飲みすぎる」と続く。
一方、夫の動機は、
1位性格が合わない(60.3%)2位精神的に虐待する(20.2%)3位異性関係(13.4%)4位家族との折り合いが悪い(13.1%)5位浪費する(12.1%)
以下、「性的不調和」「暴力を振るう」「同居に応じない」「家庭を捨てて顧みない」「生活費を渡さない」など。妻、夫ともに上位に挙げられているのが、性格の不一致や異性関係、つまり浮気問題だ。では、それぞれの原因を具体的に見ていこう。
性格の不一致
夫・妻ともに離婚の動機の第1位になっているのが、性格の不一致だ。そもそも人間は皆、異なる性格を持っているのは当然のことで、恋愛期間や結婚して間もない頃は、お互いの性格の違いを面白がったり、好ましく思うことも多いだろう。しかし、結婚生活が長くなるにつれて次第に相手の性格が嫌になり、やることなすことすべて気に入らなくなってくる人もいる。
また、性格の不一致とよく似たものに、『価値観の相違』がある。どこに住むかに始まり、子供を作るか作らないか、子供の教育をどうするのか、優先的に何にお金を使うのかなど、結婚すれば夫婦で相談して決めなければならないこともたくさんある。その際に、お互いの意見がまったく合わず、さらに相手の価値観を否定して譲歩もしないようだと、喧嘩が絶えなくなり、離婚を考え始めるようになっていく。
浮気
浮気も離婚の動機の上位に挙げられる。信頼していたパートナーが浮気していたことを知って大きなショックを受け、夫婦の信頼関係が崩れて修復できなくなってしまうのだ。浮気の原因には、元々パートナーが浮気性だったという場合もあるし、「夫が仕事人間で家族を顧みない」「妻が子供にかかりっきりで夫に冷たい」などの理由で不満が溜まり、自分の心を満たしてくれる異性と関係を結んでしまうというパターンもある。浮気が早期に発覚し、それが1回限りものであれば、パートナーを許して夫婦関係の修復を図るケースも見られるが、もちろん1回限りでも自分を裏切ったパートナーを許すことができず、離婚に至るケースも少なくない。逆に、浮気相手に本気になってしまったパートナーの方から別れ話を切り出してくる場合もあるので、浮気問題には迅速に対処しなければならない。
DV・モラハラ
リモートワークの増加とともに、家庭内暴力(DV)も増加傾向にある。圧倒的に多いのは妻に対する夫のDVだが、中には逆のパターンも見られる。家庭内暴力には、身体に危害を加える暴力だけでなく、言葉によって相手をいじめたり嫌がらせをしたりするモラハラ(モラルハラスメント)なども含まれる。日常的にDVが行われていると、被害者側は深い精神的ダメージを受け、平穏な家庭を築くことも不可能になる。
また、子供のいる家庭であれば、子供の心にも深刻な影響が出る。DVが日常化しているケースでは、夫婦で話し合おうとしても、話している途中で相手の機嫌が悪くなり、暴力を振るわれる危険性があるのでまともに話し合うこともできない。そして、暴力や恐怖に耐えきれなくなるところまで追い詰められ、「離婚しかない」という判断で裁判所に離婚請求をするといった結末を迎えるのだ。
生活費を渡さない
金銭問題も、離婚の原因の一つだ。家庭を維持するには、最低限の生活費が必要になるが、それだけの収入がないと、まともに暮らすこともできなくなる。病気やケガによって収入が減るのならやむを得ないところもあるが、そもそも夫に働く気がなく、酒浸りになって妻の収入だけに頼るようになる場合もある。こういう夫は、妻が何を言っても簡単に態度を改めるわけではないので、困窮状態に耐え続けるか、離婚を選ぶしかなくなる。
また、これとは別に、稼ぎはあるのに夫が生活費を渡さないというケースもある。妻が家計の管理をしていて、夫が給料を全額妻に渡す、あるいは毎月決まった額を渡すというパターンだったのが、突然一銭もお金を渡さなくなる夫がいるのだ。妻は当然、家にお金を入れるように催促するが、夫がまったく応じず、困り果てた挙句、離婚に至るという事態になる。
浪費癖
夫婦のどちらかが金遣いが荒く、それが原因となって離婚するケースも少なくない。男性の場合の浪費は、パチンコや競馬などのギャンブルにお金をつぎ込み、女性の場合は高級ブランドなどの買い物に浪費する傾向が見られる。その出費が収入の範囲内に収まっていればまだいいが、収まらなければ家計が圧迫されていくことになる。
特に、ギャンブル依存症になっていたりすると、生活に困ってもギャンブルに手を出し続けるため、やがて借金を重ねるようになるかもしれない。それなれば、生活費の確保だけでなく、借金返済にも追われることになり、ついには自己破産するところまでいってしまうこともある。当然、家庭は崩壊し、離婚の決断を迫られるだろう。また、浮気が原因で借金ができるケースもあり、浮気と借金が重なると夫婦の信頼は完全に崩れ、離婚しかないのかと思うほど関係修復は難しくなる。
家庭を顧みない
最近は、夫婦共働きが当たり前になってきており、それに伴い、家事・育児をどうするかが問題になっている。専業主婦であっても、妻が家事と育児の両方を1人で担うのは大変なことなので、共働きの場合は、夫婦で話し合って分担するしかない。しかし、実際には夫に比べて妻の分担が多くなる傾向があり、さらには『仕事が忙しい』『自分の方が稼いでいる』などの口実で、家事・育児を妻任せにし、自分は一切しないというケースもある。
中には、子供を作ったものの、子供が嫌いでまったく子育てに協力しない夫もいるのだ。また、特異な例として、愛人を何人も囲って別宅を転々としたり、外で遊びまわって家に帰ってこなかったりする放蕩者も存在する。このように、夫が家庭を顧みない状態が続くと、妻は精神的・肉体的に疲れ果て、離婚を決意せざるを得なくなる。
セックスレス
法律では、夫婦には自然的に性交渉をする義務があると考えられており、結婚してから一度も性交渉がなかったために離婚になり、慰謝料の支払いを命じられた事例もある。もちろん、性交渉に関しては夫婦ごとに違いもあり、双方にその気持ちがない「しない」という選択もある。
しかし、夫婦の一方にはその欲求があるのに、一方が拒否し続けている場合は、お互いにストレスや負担を感じるようになり、それが蓄積していくと深刻な事態に発展しかねない。自分が求めても、いつも拒否されていると、『自分が愛されていないのではないか』と思い悩むようになるかも知れず、それがきっかけで離婚を考えたり、浮気に走ったりする可能性も出てくる。
家族親族との折り合いが悪い
パートナーの家族や親族との折り合いが悪いというのも、離婚の原因になり得る。愛し合って結婚した夫婦でさえ、性格や価値観の違いから喧嘩することがあるのだから、その家族や親族が相手となればなおさらだろう。折り合いが悪くなるケースとしては、夫が妻の実家から嫌われるというケースもあるが、昔から『嫁姑問題』がよく話題に上るように、やはり妻と姑が上手くいかないケースが多く見られる。
そういう時、夫が間に立って仲裁をすれば衝突を避けられるが、姑の肩を持ったり、逃げ腰になったりすると夫への信頼が失われていく。家族や親族がたまにやってくる程度ならまだ我慢もできるが、親と同居していて、諸事情により引っ越すこともできないようだと、いつしか我慢が限界を超えて、まずは別居、やがては離婚に至るリスクも高くなる。
離婚のメリットは?
パートナーと別れた方がいいと思っていても、なかなか最終的な決断ができない場合もあるだろう。しかし、そのまま手をこまねいていても、不満やストレスが溜まるばかりで、やがて精神的・肉体的に耐えきれなくなって「離婚しかないのか」と思ってしまうかも知れない。離婚のメリットを紹介する。
肉体的・精神的苦痛から解放される
夫からDVやモラハラを受けていた人にとっては、まずその苦痛から逃れられるというのが離婚の最大のメリットだ。DVの被害者は、直接的な暴力の苦痛だけではなく、パートナーにいつまた暴力を振るわれるのかと怯え、顔色をうかがいながら暮らすという精神的苦痛を毎日のように味わい、体調を崩したり、うつ症状などに悩んだりする人もいる。
そんな状態が続けば、やがて体を壊し、まともな生活ができなくなってしまう危険性がある。だが、離婚してパートナーと縁を切って別居ができれば、もう暴力に悩まされることはなく、毎日安心して暮らすことができる。その結果、心身の健康も取り戻すことができるのだ。
望まない夫婦関係を解消できる
DVやモラハラはなくても、性格の不一致や価値観の違いから夫婦のいさかいが絶えないような場合も、離婚すれば我慢やストレスから解放される。結婚生活を続けている間は、嫌でもパートナーと話さなければならない場面があるし、親族や知り合いなどの前では夫婦仲が上手くいっているように取り繕う必要も出てくるだろう。
また、パートナーが浮気をしているような場合は、家族の行く末や、浮気が周りに知られた時のことなども心に重くのしかかり、ストレスはさらに高まる。しかし、離婚を選べば、もう仮面夫婦を演じる苦痛や嫌悪感を味わわなくて済むし、パートナーとの将来の生活について悩むこともなくなるだろう。
人生をやり直せる
離婚すれば、1人、あるいは子供との新しい生活を始めることができる。パートナーからDVを受けていたり、パートナーの借金のせいで家計が火の車だった時は、その日その日を無事に乗り切ることだけで精いっぱいだったのが、離婚によってすべてがリセットされるのだ。また、パートナーへの不満が溜まり、夫婦関係が冷え切っていると、『なぜこの人と結婚したのだろう』『他の人と結婚していたらもっと幸せだったかも』と考え始める人もいるだろう。
結婚しているうちは、それは単なる後悔や空想でしかないが、離婚して人生を再スタートさせれば、新しい出会いがあるかも知れない。そして、その時は、1度結婚に失敗した経験を活かし、自分によりふさわしい相手を選ぶことができる可能性もある。
自由に生活ができる
離婚によって、自分の好きなように生活できるようになるのも一つのメリットだ。例えば、結婚していた時は夫のために割かなければならなかった時間を、自分のために使うことができる。もちろん、離婚すれば家事や育児を1人でこなすことになるが、結婚中も同じような状態だった場合は、夫の面倒を見なくていい分、時間に余裕ができる。また、パートナーがモラハラ夫で、結婚している時は自分の意見がすべて否定されたり、最低限の生活費しかもらえず、好きなもの一つ買えないでいたのが、離婚によって夫の束縛から解放される。
自立して生活することになれば、その責任は自分で取らなければならないが、家のことやお金の使い道について、自分の意志で決めることができるのは、大きな利点だ。
子供のためになる場合がある
親の離婚は、良くも悪くも子供に大きな影響を及ぼすが、夫が妻や子供に暴力を振るう、夫の浮気によって家庭生活に支障をきたしている、といった状況が続き、改善の余地もない場合は、離婚した方が子供のためになるだろう。母親や自分がひどい暴行にあった子供は、精神的ショックを受け、心に闇を抱えてしまうケースがある。
また、親の悪い素行を毎日見せつけられて育った子供は、大きくなってから無意識のうちに同じようなふるまいをするようになる可能性もあるのだ。離婚すれば、母と子だけの生活になる。その生活に不安を感じる反面、お互いに相手をサポートしなければという意識が高まり、親子の絆が以前より深まることもある。
離婚のデメリットは?
離婚しかないのかなと思っても、離婚にはメリットばかりではないことは思い出して欲しい。パートナーと別れれば、1人で生活していかなければならないし、子供がいるのであれば、子供の将来をどのようにして守っていくかも考えなければならない。離婚のデメリットを具体的に見ていこう。
愛情が残っていると後悔する
パートナーの浮気やギャンブルによる借金が発覚したことでカッとなり、相手の弁解も頭からはねつけて、即座に離婚してしまう人がいる。もちろん、浮気は重大な裏切り行為で、簡単に許されるものではないが、一時の感情で、後戻りできない決断を下すのは避けた方がいい。夫婦の関係が冷めきっているわけでもなく、パートナーへの愛情がまだ残っている場合は特にそうだ。
パートナーの裏切りに激しい怒りを覚えるのは、裏を返せば、それだけパートナーに愛情を感じ、信頼していたという証かも知れない。衝動的に離婚すれば、その当座はすっきりするだろうが、しばらく経つとパートナーの良いところを再認識したりして、別れたことを後悔する人も少なくない。
子供がつらい思いをする
両親の離婚は、子供にとってもショッキングな出来事だ。幼い子供であれば、大人の事情も分からないため、突然家族一緒に暮らせなくなったことに戸惑い、不安を感じることも多いだろう。また、片親だけになると、寂しさや辛い思いを味わう機会も増える。離婚によって家を引っ越すことになれば、転校しなければならず、仲良しの友達とも離れ離れになる場合もある。
また、子供を引き取った親は、生計を立てるために働く必要があるだろうから、家にいる時間が少なくなったり、子供を預かってもらったりするなど、親子でゆっくり過ごす時間がなかなか取れなくなる。さらに、学校の行事などにも、いつも片親しか参加できないため、子供はもちろん、親自身も引け目を感じてしまうかも知れない。
親子問題で悩む
離婚によって親権者となった親は、自分で子供の面倒を見なければならない。着替えや食事の用意に始まり、習い事や塾の送り迎え、病気になれば看病まですべて1人でこなす覚悟が必要になる。近くに実家の親でも住んでいれば話は別だが、そうでなければ、自分自身が病気で寝込むようなことになっても、他に子供の世話を頼めるような人が誰もいない可能性もあるのだ。
特に、男性が親権者になった場合、今まで通りの仕事を続けながら不慣れな家事や育児をこなすのが難しければ、転職も考えなければならない。一方、別れたパートナーが親権を握った場合は、子供に会いたいと思っても、パートナーが応じてくれず、なかなか子供に会わせてもらえないケースも少なくない。
生活水準が下がる場合がある
結婚していた時に、夫の収入で家計を支えていた場合や、夫の収入が高かった場合は、離婚したことで生活水準が下がってしまう可能性がある。もともと共稼ぎで、経済的に自立できる目途が立っているのであればいいが、専業主婦歴が長く、すぐに働きに出るのが難しいようだと、生活は厳しくなるだろう。
特に、子供を抱えている場合、それだけでハンデになることも多く、なかなか条件のいい職に就けないことも考えられる。子供が大きくなれば、教育費もかさんでいくので、ますます負担は重くなる。養育費やシングルマザーのための助成金制度などもあるが、それだけでは十分ではないかも知れないし、別れた相手が養育費を支払わなくなるケースもあるので、不安はぬぐえない。
バツイチになる
当然のことだが、離婚すればバツイチになる。離婚に対する風当たりは、昔ほど強くはないとは言え、世間体が悪いだの何だのと、とやかく言う親戚がいないとも限らない。結婚を祝福してくれた友人や会社の人たちに対しては、本人が『期待に応えられずに申し訳ない』という気持ちを抱くこともある一方、事情をよく知らない人たちからは、離婚の原因がパートナーにあったとしても、『本人に何か問題があったのではないか』と勘繰られることもあるだろう。また、離婚によって新たな出会いの機会も広がるが、バツイチ、子持ちという事実が、再婚の妨げになる可能性も否定できない。
離婚の手続きが大変
『結婚より離婚の方が大変』とよく言われる。そもそも、パートナーが離婚に応じなければ、家庭裁判所を介して離婚調停や離婚訴訟をする必要に迫られる。お互いに離婚に同意していたとしても、財産分与や親権をどちらが取るかといった協議をしなければならない。さらに、年金・保険の変更手続きや各種名義変更、子供と一緒に引っ越すなら引っ越しの段取りや転校の手続きなどもある。これらの手続きの中には、夫婦双方で行わなければならないものもあり、自分1人で進めることができない分、手間がかかってしまうのだ。
離婚を決める前にやらなければならないこと
離婚しかないと思って、何の準備もしないまま離婚に突っ走ってしまうと、あとから悔んだり、先々自分が損をすることにもなりかねない。パートナーに対する自分の気持ちをもう一度問い直し、それでも離婚すると決めた場合は、慰謝料請求なども視野に入れて証拠集めなどをしておくことが重要だ。
問題の根本を見つめ直す
離婚すべきかどうかを考える前に、まず問題の根本に何があるのかを見極める作業が必要だ。性格の不一致が原因であれば、相手の性格のどこが嫌なのか、どのような行動に腹が立つのかを明確にするとともに、それに対してなぜ嫌悪感を覚えるのかと自分に問いかけ、その理由や自分の気持ちも整理してみるのだ。そうすることで、相手に行動を変えてくれるよう提案することもできるし、自分の物の見方も変えられるかもしれない。その結果、相手が提案を受け入れてくれれば、性格の不一致を克服できる可能性が出てくる。
また、浮気など、パートナーの素行が問題の焦点になっている場合は、パートナーと冷静に話し合い、なぜ浮気に走ったのかを明らかにしよう。浮気の原因には、夫婦のセックスレスの問題や、家族からいつも冷たくあしらわれて家に居場所がないように感じるなど、パートナーの日頃の悩み・ストレスが絡んでいるケースも多い。浮気をしたこと自体は許されないが、家庭の環境を変えることで、昔のような暖かな家族生活を取り戻せるかもしれない。
別居などで時間をおいてみる
関係修復の可能性があるなら、『離婚を考えている』とパートナーに伝えてからすぐ行動を起こすのではなく、しばらく猶予期間を設けるのも一つの方法だ。長年連れ添った相手に、突然別れ話を切り出されたパートナーはショックを受け、最初は混乱状態になるだろう。離婚しかないのかどうか、問題の原因がどこにあるのかを考える時間が自分に必要だったように、パートナーにも気持ちを整理する時間が必要になる。例えば半年程度、別居してみることで、パートナーは自分自身を見つめ直して、問題点に気づき、自分にとって家族がいかに大切な存在だったかを再認識するかもしれない。
また、試験的な別居は、離婚後の生活のシミュレーションにもなるので、そのメリット・デメリットを知る機会になる。パートナーがいない生活の方が楽なのか、それとも一緒に暮らす価値を再発見するのか、猶予期間のうちに見えてくるだろう。
カウンセラーに相談してみる
離婚した方がいいのかどうか迷う時や、夫婦関係を修復したい時は、離婚カウンセラーに相談するという方法もある。離婚カウンセラーは相談者の気持ちに寄り添い、離婚や夫婦問題に関して客観的な立場で分析を行い、適切なアドバイスをしてくれる。カウンセリングは1人でも受けられるし、夫婦で受けるのもいい。ただし、カウンセラーの中には詐欺まがいの業者もいるので、NPO法人日本家族問題相談連盟が認定する資格を持っているかどうかを確認しておこう。
なお、深刻なDV被害に遭っている場合は、内閣府が開設した相談窓口DV相談+(プラス)や、最寄りの配偶者暴力相談支援センターに電話がつながる『DV相談ナビ』を利用してみることをおすすめする。また、もしDV加害者であるパートナーに『自分を変えたい』という意思があるのなら、カウンセラーのもとで教育プログラムなどに参加させる手もある。
経済的自立の準備
離婚しかないとしても、考えておかなければならない重要事項の1つが経済的自立だ。特に、専業主婦であれば、仕事を探すところから始めなければならないが、今まで働いた経験がなく、専門技能も持っていない人だとすると、望むような職に就くのはなかなか難しい。子供がいて、自分が親権者になった場合はなおさらだ。そのため、離婚を考え始めた時点で職探しを開始し、離婚後も最低限の収入を維持できるようにしておく必要がある。
さらに、その仕事や日々の節約で得たお金で、できる限り自分の貯金を増やしておくことも必要だ。離婚して家を出ていくことになれば、すぐに新しい住まいを用意しなければならない。賃貸の契約金や引っ越し費用、家具・電化製品など、新生活を始めるにはそれなりの費用がかかる。なお、離婚の準備を進めていることをパートナーに知られたくないのなら、自分名義の通帳などを相手に見られないよう、自分の手元に置いて管理するようにしたい。
請求可能なお金のリストアップ
別居や離婚をする際には、お金や資産を受け取る権利が生まれる。何をどれぐらい受け取れるかは、家庭の状況によって異なるので、受け取ることができる可能性のある項目についてリストアップし、その金額も試算しておけば、離婚後の生計のめども立てられる。
具体的な項目としては、婚姻費用、財産分与、慰謝料、養育費などが挙げられる。婚姻費用は、別居中にパートナーに対して請求できる生活費のこと。財産分与とは、結婚中に夫婦で協力して築いた財産を、離婚時にそれぞれの貢献度に応じて分配することで、結婚後に建てた家などの不動産が含まれる。慰謝料は、浮気やDVが原因で離婚した場合、被害者側に支払われる賠償金。養育費は、子供が成人するまで親権者側に支払われるもので、支払う側の年収や子供の数などによってその額が決まる。
DVや浮気の証拠を取っておく
パートナーのDVや浮気が原因で離婚する場合、裁判になった時に離婚の請求や慰謝料の請求を認めてもらうために、法的に有効な証拠が必要になる。例えば、DVの証拠となるものは、怪我の写真や医師の診断書、DVを受けた時の音声・動画、警察への相談履歴や日記などだ。モラハラはDVより立証しにくいが、モラハラの音声録音や心療内科の診断書が有力な証拠になり得る。
一方、浮気の証拠を自力で集めるのは難しい。浮気を裏づける確実な証拠となるのは、パートナーが浮気相手とラブホテルなどに出入りする場面を写真や動画に収めたものだが、相手に絶対に気づかれないように尾行し、決定的瞬間を逃さず撮影しなければならないからだ。しかし、確実な証拠があれば、慰謝料請求や離婚請求ができるだけでなく、ごまかしようのない事実をパートナーに突きつけて反省を促し、関係修復を図ることもできる。浮気が問題の焦点であるなら、探偵社などを利用して密かに証拠集めを進めよう。
まとめ
性格の不一致やパートナーの浮気など、夫婦の間では様々な問題が起こりうる。それが許容できる範囲ならいいが、お互いの不満やストレスがどんどん膨らんでいくと、やがて「離婚しかない」と思うようになってしまう。もちろん、離婚にはメリットもあるが、子育ての問題や別れた後の生活の問題など、デメリットも少なくないため、離婚を決断する前に今一度よく考えてみなければならない。 また、浮気が原因で離婚する場合、慰謝料請求のために調査のプロに頼んで、事前に確実な証拠を集めておく必要がある。離婚を切り出す前に、しっかりと準備しよう。
監修者プロフィール
伊倉総合法律事務所
代表弁護士 伊倉 吉宣
- 2001年11月
- 司法書士試験合格
- 2002年3月
- 法政大学法学部法律学科卒業
- 2004年4月
- 中央大学法科大学院入学
- 2006年3月
- 中央大学法科大学院卒業
- 2006年9月
- 司法試験合格
- 2007年12月
- 弁護士登録(新60期)
- 2008年1月
- AZX総合法律事務所入所
- 2010年5月
- 平河総合法律事務所
(現カイロス総合法律事務所)
入所
- 2013年2月
- 伊倉総合法律事務所開設
- 2015年12月
- 株式会社Waqoo
社外監査役に就任(現任)
- 2016年12月
- 株式会社サイバーセキュリティクラウド
社外取締役に就任(現任)
- 2020年3月
- 社外取締役を務める株式会社サイバーセキュリティクラウドが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2020年10月
- 株式会社Bsmo
社外監査役に就任(現任)
- 2021年6月
- 社外監査役を務める株式会社Waqooが東京証券取引所マザーズ市場に新規上場
- 2022年4月
- HRクラウド株式会社、
社外監査役に就任(現任)
※2023年11月16日現在
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