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その他熟年離婚における財産分与を有利に進めるためのヒント

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「夫が浮気しているみたいだけど、離婚したら財産分与はどうなるのか?」そんな相談が、探偵事務所に寄せられることが少なくない。相談してきたのが熟年夫婦の妻、ということもここ最近は珍しくない。 『熟年離婚』という言葉を目にしたり、耳にしたりしたことはないだろうか。ある程度の年齢になって、パートナーとの離婚を考える人が増えている。熟年離婚に明確な定義はないが、しいていうなら、50代以上の夫婦の離婚のことだろうか。この記事では熟年離婚と、いざ離婚するとなったら気になるであろう、財産分与について説明しよう。

1.数字で見る熟年離婚の増加

熟年離婚に関する記事や報道はいつの頃からか増え、今では目新しい話題とはいえないだろう。厚生労働省の「平成30年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、婚姻件数586,438組に対し、離婚件数208,333組。ざっくり計算するなら、3分の1以上が離婚、ということになるだろうか。

次に、熟年離婚に話を寄せよう。1985(昭和60)年の離婚総数は166,640組で、そのうち20,434組が同居期間20年以上の夫婦。それが2018(平成30)年の離婚総数は208,333組で、そのうち同居期間20年以上の夫婦は38,539組となっている。

1985(昭和60)年から2018(平成30)年にかけて、離婚総数は41,693組多くなり、同居期間20年以上で離婚した夫婦は18,105組増加した。同居期間20年以上の夫婦による離婚を、熟年離婚だと考えた場合、割合の変化はこうなる。1985(昭和60)年には全体の約12.2%が熟年離婚だったが、2018(平成30)年には約18.5%が熟年離婚ということになる。

2.熟年離婚が増加する4つの理由

熟年離婚が増えている原因はひとことではいえないが、いくつかの理由が挙げられる。

2-1.共働きが熟年離婚を増加させる!?

一概にはいえないが、妻が専業主婦で夫だけが仕事をして収入を得ている場合に比べ、妻も仕事をしている共働き夫婦のほうが、離婚という選択をしやすい。

女性の社会進出が叫ばれてからずいぶん年月が経つ。結婚後に就業する女性はまったく珍しくない存在になっている。そのこととも関連するだろう。女性が安定した収入を得ることで、離婚してもやっていける自信が女性の側に生まれた、というような一面もあるのではないか。

2-2.人生100年時代と自分らしく生きること

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平均寿命が100歳というわけではないが、「人生100年」という言葉を目にしたことはないだろうか。平均寿命や健康寿命が延びたともに、「自分らしく生きたい」と考える人が増えたことも、熟年離婚が増えたことと関係しているのではないだろうか。

子育ては一段落。50歳や60歳で自分の人生は終わりじゃない、人生はまだまだこれから。もう夫のためにガマンしない。妻と私の人生は別だ。そのように考える人が増えているのではないか。熟年以降の人生をポジティブにとらえる人が増えたことが、熟年離婚の増加に拍車をかけているのかもしれない。

2-3.日頃の不満が積み重なって最後は破局へ

また、特に決定的な原因があったというわけでなく、長年にわたり、パートナーへの不満が少しずつ塵(ちり)のように積もり、もうこれ以上はガマンしたくないから離婚を考えた、というような人も実は少なくないかもしれない。

以前、芸能人どうしの離婚でよく見られた、「性格の不一致による離婚」のようなケースは、今でも一定数あるだろう。

恋をしている人の状態を表すのに「あばたもえくぼ」といわれるが、これは好きな人のことは短所も長所に思えるということ。夫婦の場合も、新婚からしばらくの間はおたがいが「あばたもえくぼ」状態にあることも、不思議ではない。

それが熟年夫婦ともなると「あばたもえくぼ」の逆の状態、つまり、相手の短所ばかりに目が向きがちになる。いつしかそれが積もりに積もって、爆発イコール破局へ、ということになりかねないのだ。

2-4.浮気・不倫から熟年離婚へ

長年連れ添った夫婦がそれぞれ、自分らしい生き方を見つける。というとかっこよく聞こえるが、そのような、どちらかというとポジティブな理由による熟年離婚ばかりではない。夫婦のどちらかが浮気や不倫をし、そのことを(夫婦のうちの)もう一方が知り、離婚という結果へつながることも少なくない。

夫婦ともに、それぞれ好きな人ができて発展的に離婚を選ぶ、というようなケースはごく少数派かもしれない。実際のところ、熟年世代に限らず、やむにやまれぬ理由があって離婚を決意する、という流れになることも珍しくないだろう。

理由はどうあれ、熟年離婚をするとなれば、避けて通れないのが財産分与についてだろう。次章からはいよいよ、『熟年離婚の財産分与』に関する説明をしていく。

3.財産分与と退職金

熟年離婚うんぬんの前に、財産分与とはどういうものか、知っておく必要があるだろう。財産分与とは、夫婦の共有財産を、夫婦それぞれの貢献度に応じて分け合うこと。

夫婦それぞれの貢献度というと、「わが家では、家のことはほとんどすべて妻ががんばっている」とか「うちの大黒柱は夫だから」など、さまざまな解釈が生まれるかもしれない。

しかし、財産を半分ずつ分けるのが基本となっている。熟年離婚の財産分与について、まずは退職金に関連するケースから解説していこう。

3-1.退職金をすでに受け取っている場合

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定年退職後で、退職金をすでに受け取っていて、退職金がまるごと残っている場合、次の計算式が成り立つ。

退職金総額×婚姻期間÷勤続年数×1/2=財産分与の対象額

たとえば、退職金総額が3,000万円で勤続年数40年、婚姻期間30年の場合、このようになる。

退職金3,000万円×30年÷40年×1/2=1,125万円

熟年夫婦の離婚の場合、この「財産分与の対象額」を2で割った額が(夫婦どちらかの)1人分となる、というのが一般的だ。

通常、婚姻期間が長いほど、財産分与の金額は多くなる。ただし、この場合の婚姻(結婚)期間は 同居期間を指す。退職金の金額がわからないという場合は、雇用契約書や就業規則などで確認するのがいいだろう。

3-2.退職金がまだ支払われていない場合

退職金がまだ支払われていなくても、現時点で退職金が支払われることがほぼ確実だと思われる場合は、前項の計算式が当てはまる、と判断される可能性が高いだろう。

ただし、退職金が支払われるかどうかは、次のような点から判断されることがある。

・勤務先企業の規定に退職金の支給が定められているか ・勤務先企業の経営状況 ・パートナーの勤務状況 ・退職金が支払われるまでの期間

まず、重要なこととして、勤務先の規定に退職金支給が記載されているか、という点がある。そもそも退職金の支払いが、就業規則に書かれていない場合、退職金支給はないと考えたほうがいいだろう。

退職金支給は当たり前の制度だと思われているかもしれないが、退職金制度はすべての会社に義務付けられているわけではない。就業規則に定められていない限り、退職金を支払わなかったから、といって違法にはならないのだ。

また、退職金制度が就業規則に定められている場合でも、勤務先の経営状況の影響を受けたり、(現状、まだ婚姻関係にある)パートナーが何度も転職していて、その企業で勤務した期間が短い場合を考慮したりする、必要が出てくる可能性もある。

それらによって、退職金が支給されたとしても予想していた金額より少なかったり、まったく支給されなかったりすることもあるかもしれない。いずれにしても、退職金は必ず支給しなければならないと、法律で定められているものではないことを知っておこう。

退職金の支給が始まるまでに10年以上かかるような場合も、そこまで先となると現実的ではないと判断され、退職金は財産分与の対象とならない可能性が出てくる。

3-3.退職年金制度と退職一時金制度の割合

前項でひとまとめに退職金制度と書いたが、退職金についてもう少し説明しておこう。実は、退職金制度には2種類ある。それは『退職一時金制度』『退職年金制度』だ。

退職一時金制度は、社員が定年や自己都合で退職する際に、企業がまとまった退職金を一時金として、1回限りで支給する制度だ。

退職年金制度は、退職した人の老後をサポートするために、企業が退職金を分割して定期的に支給するもの。近年は、確定拠出年金(日本版401k)などが注目され、これは「自分でそだてる年金制度」とも呼ばれ、たとえば、60歳で退職した場合、公的年金の支給開始年齢である65歳までの生活費を補う、といった活用も考慮してつくられた年金だ。

ちなみに、東京都産業労働局が発表する「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版」によると、「退職金制度」がある企業は71.3%。そのうち、「退職一時金のみ」が75.9%、「退職年金のみ」が3.4%、「退職一時金と退職年金の併用」が20.6%という回答が得られている。これらの数字をどうとらえるか、個人差はあるだろうが、従業員が10人から299人の東京都内の中小企業が回答したこの調査によると、3割近くの会社には退職金制度がない。

熟年離婚に際し、退職金は基本的に財産分与の対象となるが、退職金そのものが支給されない会社も少なくないことを知っておいてもいいだろう。

4.退職金以外に財産分与の対象となる財産【不動産】

退職金に関する財産分与を説明したが、それ以外の財産分与についても説明していこう。財産分与は、夫婦の共有財産をもとに行われ、その対象は退職金に限らない。夫婦が結婚してからともに築いた財産が対象で、給料からの貯金、給料を元手に購入した不動産や車なども夫婦の共有財産となる。まずは、不動産の場合を説明しよう。

土地または建物などの不動産を婚姻期間中に取得した場合、財産分与の対象となる。不動産はケーキのように簡単には切り分けられないので、次の2通りの方法のどちらかで分けるのが一般的だ。

4-1.不動産を売却して得られた金額を2分割する方法

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不動産を切り分けるのは困難なので、その土地またはマンションなどを売却。ローンが残っている場合は、売却益でローンを完済し、さらに手数料などを差し引き、残った利益を2人で分割する。

4-2.一方が不動産を取得して財産価値の半分を他方に支払う方法

不動産を売却するのでなく、どちらか一方がその不動産を取得。不動産の財産価値を2で割って、算出された金額を残りの一方に支払うというもの。その際、ローン残高が不動産価値を超えている(オーバーローンの)場合は、財産分与の対象とならない。

そのような場合、市場価値をもとに客観的だと思われる不動産価格が求められるが、金銭面で折り合いがつかない場合、不動産鑑定士に依頼することもある。第三者の専門家にお願いすることで、おたがいに納得しやすくなるわけだ。

5.退職金以外に財産分与の対象となる財産【車】

車についても、婚姻期間中の収入から購入した場合は、誰が名義人かにかかわらず、共有財産となる。

財産分与の方法は不動産の場合と同様、車を売却して売却益を分割する方法と、どちらか一方が車を取得し、評価額の半分を他方に支払うという方法がある。

車の場合、評価額を算出するのに『レッドブック』を用いることも珍しくない。レッドブックとは、有限会社オートガイドが発行する「オートガイド自動車価格月報」の別名で、自動車の平均取引価格を年式やグレード別にまとめた冊子だ。

レッドブックはプロ向けにつくられ、業界(自動車・損保・法曹・官公庁)向けのものだが、一般人でも入手することができる。購入方法についてはオートガイドのウェブサイトに掲載されている。

ちなみに車の場合も、評価額よりもローン残額のほうが高い場合は、財産分与の対象とならない。

6.退職金以外に財産分与の対象となる財産【その他】

不動産や車以外に財産についても説明しよう。預貯金については、別居時または離婚時の残高を2分割し、財産分与の対象とする。加入している生命保険に解約返戻金がある場合は、預貯金と同じく、別居時または離婚時の返戻金を確認して、その額を2分割して財産分与の対象とする。

また、隠し財産がある場合、どうなるだろう。夫婦の共有財産は財産分与の対象となることからすると、隠し財産があることじたい、本来は良くないし、フェアだとはいえない。ただし、財産分与の請求をするなら、離婚時から2年以内にしないと権利が消滅する。

よって、離婚から2年を過ぎたあとに、隠し財産が相手に見つかっても、もう請求されることはない。とはいえ、隠し財産は持たないほうがいいのは間違いないだろう。

7.財産分与がまとまらない場合

熟年離婚において財産分与の話がまとまらない場合、離婚がまとまらないときと同様、一般的な手順がある。

7-1.財産分与のための話し合い

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なんといっても、まずは話し合いが大切だろう。おたがいの財産をつつみ隠さず相手に見せたうえで、財産分与についてきちんと話し合うこと。財産を計算して分割するだけでなく、あとからもめないよう、『離婚協議書』を作成しておくのがいい。離婚協議書については「離婚協議書 書き方」などでインターネット検索すると、いくつか見つかるはずだ。

7-2.財産分与の話し合いがまとまらないなら離婚調停へ

離婚だけでも話し合いがまとまらない場合は少なくないのに、財産分与となると、なおさらだ。おたがいが感情的になって、いつまでたっても話がまとまりそうにない場合、裁判所の離婚調停を利用するのがいい。

調停ではおたがいが顔を合わせることなく、調停員を通じて意見を調整するので、それまでよりもスムーズに進むことが多い。おたがいに順番に調停室に呼ばれるだけでなく、待合室も別々なので、顔を合わせてヒートアップするようなことがないのもいい。

7-3.離婚調停でもまとまらないなら離婚裁判へ

離婚調停ではおたがいが直接顔を合わさないからいい、とはいえ、調停員が話をまとめてくれるわけではないので、決着がつかないこともある。その場合は離婚裁判という手段がある。

裁判では話し合うのでなく、財産分与について争うことになるのだが、いつまでも結論が出ないよりは、この段階まで来たら争ってでも決着をつけたほうがいいだろう。

未成年の子どもがいる場合、養育費や親権などの問題も出てくるかもしれないが、いずれにしても結論を先延ばしにしているのは、子どものためにも良くないはずだ。離婚裁判では、おたがいの主張の食い違いについて、判官が証拠をもとに判断することになる。

親権や、離婚がまとまらない場合の流れについては、この記事「浮気?離婚?気になるなら親権と監護権の違いも知っておくべき」も参考になるかもしれない。

まとめ

ここまで説明してきたが、熟年離婚の財産分与は、内容がまとまらない場合も少なくない。それはそうだろう。そもそも何の問題もなければ、ある程度の年月、ともに歩んできた夫婦が離婚の道を選ばないはずだから。長いつきあいだからこそ、おたがいに言いたいことがありすぎて、簡単にはいかないこともある。もしも熟年離婚をちょっとでも考えていたり、財産分与を有利に進めたいと思っていたりするなら、探偵事務所や弁護士事務所などに相談してみてはどうだろう。